第19回 模擬試験

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■6年生の夏休み以降はいろいろな塾で多くの模擬試験が行われます。最近の模擬試験ではデータ処理をコンピューターで行い、なかなかカラフルな成績表が出てくるようになりました。このデータの中でやはり気になるのが合格可能性です。では、この合格可能性はどのように計算されているのでしょうか。

■各塾とも昨年の模擬試験の結果を踏まえて追跡調査を行います。そして模擬試験の成績と実際の入試の合否の相関関係を算出します。その結果としてある学校について、80%以上の合格者が出ている偏差値をモデル化して80%ラインを決めます。それ以上の偏差値をとれば合格可能性は80%ということになるわけです。また20%くらいが合格しているラインを同様にモデル化して20%ラインと決めます。その間を正規分布でとらえて、合格可能性を出すのです。

■ただ、どの模擬試験もひとつの試験ですべての学校の合格可能性を算出しますので、多少の無理が生じます。その模擬試験とほぼ同じ出題内容であれば合格可能性の信憑性が増しますが、一方で形式や傾向がまったく違う試験では、ぜんぜん違う結果が出てくる場合があるのです。

■その意味では模擬試験の合格可能性は参考値といえるでしょう。ただまったく的外れというわけでもありませんから、試験の内容をしっかり復習しながら、冷静に判断して受験校を絞り込んでください。当然のことながら模擬試験は秋以降、少なくとも月に一度は受験して、複数回の結果から内容を吟味していくことが重要になります。例えば合格可能性が低くても次第に右肩上がりになってくれば合格ラインを突破することは十分考えられますから、一度の試験の結果に一喜一憂することなく、データを見ていってほしいと思います。

(田中 貴)

(2005年8月30日)

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