家族が疲弊するようではいけない

新学年が始まってから、そろそろ2か月が経ちました。

この時期になると、少しずつ疲れが見えてきます。子どもも疲れているし、お父さん、お母さんも疲れている。毎週の授業、宿題、復習テスト、組み分け、マンスリー。気がつけば、家の中の会話が勉強のことばかりになっている、というご家庭もあるかもしれません。

「こんなに大変なの?」

「このまま続けられるのかしら?」

そう思われるのは、決しておかしなことではありません。むしろ、そう感じる方が自然です。中学受験の勉強は、最初からかなり負荷が高い。しかも新学年になれば、塾も一段ギアを上げてきます。宿題の量も増えるし、内容も難しくなる。親もそのペースに合わせようとして、つい無理をしてしまうのです。

しかし、ここで一度考えておきたいことがあります。

今やっていることは、本当に全部必要なのか、ということです。

塾ではよく、「これをやらないと受かりません」と言われます。もちろん、塾としてはカリキュラムを組み、テストを実施し、宿題を出す。その流れに乗せることで学力を上げようとしているわけですから、そう言うのは当然でしょう。

ただし、それがすべての子どもにとって正しいとは限りません。

子どもによって、理解のスピードも違います。得意不得意も違います。体力も違えば、家庭の状況も違う。にもかかわらず、全員が同じ量を、同じスピードで、同じようにこなさなければいけない、ということになると、どこかで無理が出ます。

そして、その無理が一番出やすいのが家庭です。

子どもが宿題を終えられない。親が横について何とか終わらせる。終わらないから叱る。叱られるから子どもはますます嫌になる。親も「何のためにここまでやっているのだろう」と思い始める。

こうなると、勉強そのものが家庭を疲弊させる原因になってしまいます。

本来、中学受験は子どもの可能性を広げるためのものです。より良い教育環境を選ぶために始めたはずです。であるならば、その準備の過程も、子どもにとって意味のあるものでなければなりません。

ただ量をこなす。怒られながら机に向かう。親子で消耗しながら毎日を過ごす。そういう形で続けていっても、子どもの力はなかなか伸びません。

むしろ大事なのは、「何を減らすか」を考えることです。

全部をやろうとするから苦しくなる。だから、今の子どもにとって本当に必要なものは何かを見極める必要があります。計算練習は必要かもしれない。漢字も続けた方が良いでしょう。しかし、すべての応用問題を今すぐ完璧にする必要があるのか。毎回のテスト対策にそこまで時間をかける必要があるのか。そこは家庭で判断してよいのです。

「塾に言われたから」ではなく、「今のわが子にはこれが必要だから」という基準を持つことが大切です。

受験勉強は長丁場です。今、家族全員が疲れ切ってしまえば、夏も秋ももちません。特に6年生はこれからさらに負荷が高くなりますし、5年生であってもこの先まだ長い道のりがあります。

だからこそ、家庭の中に余白を残しておかなければなりません。

睡眠時間を削り続ける。食事中も勉強の話ばかりする。休日も休む時間がない。そういう状態が続けば、子どもは当然疲れます。そして親も疲れます。親が疲れてくると、どうしても言葉が強くなる。子どもも反発する。そうして家庭全体が受験に振り回されていくのです。

でも、中学受験は家族を壊すためにやるものではありません。

子どもが成長するためにやるものです。親子で一緒に考え、工夫し、少しずつ力をつけていく。その過程に意味があるはずです。

もちろん、楽なことばかりではありません。ある程度の努力は必要です。やりたくないことにも向き合わなければならない時はあります。しかし、それと、家族全体が追い詰められることとは違います。

もし今、「もう大変だ」と感じているのであれば、それは一度立ち止まる合図です。

宿題を全部やることより、今理解すべきことを理解する。テストの点数を追いかけることより、毎日の生活を立て直す。塾のペースに合わせることより、子どもが続けられる形を作る。

その方が、結果として力はついていきます。

本当は、そんなに追い込まれなくても合格していく子どもたちはいます。すべてを完璧にこなしているわけではありません。必要なことを選び、無理をしすぎず、自分のペースを守りながら力をつけているのです。

家族が疲弊するほど、受験勉強に追い込まれてはいけません。

子どもの教育環境を整えるために始めたことなのですから、そのプロセスもまた教育的であるべきです。子どもが自分で考える。親がそれを支える。家庭の中に安心できる空気がある。その土台があってこそ、勉強は前に進みます。

今、大変だと感じているなら、まず少し減らしてみることです。

全部を抱え込まない。全部に反応しない。塾の言うことをすべて絶対にしない。

わが家にとって、子どもにとって、今いちばん大事なことは何か。

そこに戻って考えることが、これからの受験勉強を続けていくうえで一番大切なことなのです。