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行きたい学校の準備をすればよいだけ

塾は、どうしても「全部やる」方向に進みます。

いろいろな学校を受ける子どもたちが集まっているわけですから、塾としては、どの学校にも対応できるようにカリキュラムを組まざるを得ません。したがって、あれもやる、これもやる、ということになる。

しかし、子どもによって志望校は違います。必要な力も違います。出題されやすい分野も違えば、答案の作り方も違う。だから、本当はある時期から先は、志望校に合わせて勉強を組み立てていく必要があります。

ところが、集団塾ではなかなかそれができません。

みんなが同じ授業を受け、同じ宿題を出され、同じテストで席順やクラスが決まる。そうなると、子どもたちはどうしても塾のペースに合わせることになります。志望校に必要かどうか、今の自分に必要かどうか、という判断よりも、まず塾で出されたものをこなすことが優先されてしまう。

その結果、子どもたちの負担はどんどん大きくなります。

もちろん、基礎を固める時期には、ある程度幅広く学ぶことも必要です。しかし、受験までの時間は限られています。すべてを同じ重さでやろうとすれば、肝心なところに時間をかけられなくなる。

だから、ある段階からは「何をやるか」と同じくらい、「何をやらないか」が大事になります。

志望校にあまり出ないことに多くの時間を使うより、よく出る分野、合否を分ける問題、答案の作り方に時間をかけた方が良い。これは決して手を抜くということではありません。むしろ、限られた時間を子どもにとって一番意味のある形で使う、ということです。

そのためには、塾のペースから少し離れて考える時間が必要です。

今、この子に本当に必要なことは何か。志望校に向けて、どこを強くすればよいのか。逆に、今無理に追いかけなくてもよいものは何か。そういう整理をしていくと、勉強の負担はかなり変わってきます。

子どもが自信をなくしているときほど、まずは量を増やすのではなく、やることを絞るべきです。できる問題を確実に増やし、「これならやれる」という感覚を取り戻す。そこからでないと、なかなか前には進めません。

オンラインの個別指導や、志望校に合わせた学習設計が必要になるのは、まさにこの部分です。全部を塾任せにするのではなく、その子に必要な学習を組み直す。そうすることで、無駄な負担を減らしながら、合格に必要な力をつけていくことができます。

受験勉強は、たくさんやればよいというものではありません。

その子にとって必要なことを、必要な順番で、しっかり積み上げていくことが大事です。塾のカリキュラムに振り回されるのではなく、志望校と子どもの現状から逆算して、学習の道筋を考えていく。

その視点を持つだけで、親も子も少し楽になります。そして、勉強も前に進みやすくなるのです。

塾のペースから少し離れて、まずは確実に自信を取り戻す。そういう学び方もあります。こちらもあわせてご覧ください。

目標を置く

受験勉強を続けていく上で、やはり目標は大事です。

中学受験の場合、その目標は志望校になるでしょう。

ただ、子どもたち自身がいろいろな学校のことをよく知っているか、というと、そうでもありません。名前は知っていても、実際にどんな学校なのか、どんな子が通っているのか、何を大事にしているのかまでは、なかなかわからないものです。

だからこそ、ここは保護者のみなさんが一緒に考えてあげてほしいのです。

偏差値だけで決めるのではなく、その子がどんな学校生活を送りたいのか、どんな環境が合いそうなのかを話し合っていく。その中で、少しずつ「この学校に行きたい」という気持ちが育ってくれば、勉強に向かう姿勢も変わってきます。

志望校を考える上で、やはり学校を見に行くことは大事です。

説明会でもいいし、文化祭でもいい。体育祭のような行事でもいいでしょう。実際に学校に足を運ぶと、パンフレットだけではわからないことがたくさんあります。

教室の雰囲気、先生方の様子、生徒たちの表情、クラブ活動の空気感。そういうものに触れて、「ここに通いたい」と思えるようになる子は少なくありません。

特にクラブ活動は大事な要素です。これまでやってきた習い事が続けられるかもしれないし、新しく興味を持てることが見つかるかもしれない。学校に入ってからの生活が具体的に思い描けるようになると、受験勉強の意味もはっきりしてきます。

もちろん、今の成績を見て、最初から無理だと決めつける必要はありません。

受験勉強は、ここからのがんばりで伸びる部分がたくさんある。むしろ、「この学校に行きたい」という気持ちがはっきりしてから、子どもが変わることもよくあります。

目標が決まれば、勉強はやらされるものではなくなります。自分のためにやるものになる。その違いは大きいのです。

ですから、保護者のみなさんは、勉強をただ管理するのではなく、子どもが目標を持てるように手伝ってあげてください。

迷っているときは一緒に考える。不安になっているときは話を聞く。そして、勉強しやすい環境を整えていく。

受験は長い道のりですが、目指す学校が見えてくると、子どもは少しずつ前に進めるようになります。

その一歩を作るのは、家庭の役割でもあるのです。

努力ができる子

子どもが中学受験を経験する中で身につけるべき最も大切な力の一つは、「努力を続ける力」だと私は考えています。合格の成否にかかわらず、日々の積み重ねによって自分を高める姿勢は、その後の人生においても大きな財産となります。もちろん合格は喜ばしい結果ですが、それに安住して努力をやめてしまうと、その後の成長にとって好ましくない影響を及ぼすこともあるのです。

むしろ、思いがけず結果が望んだものにならなかった場合こそ、そこから立ち直り新たな目標に向けて歩みを進める経験は、子どもにとってかけがえのない糧となります。失敗や挫折に直面してもなお、諦めずに努力し続けられることが、将来の自立や自己実現の基盤となるのです。結果だけに目を奪われるのではなく、努力の過程やプロセスを認め、励ますことが子どものやる気を育てるうえで重要です。

また、成功を掴んだ子どもたちも安心しすぎて努力を怠ることのないよう、周囲が見守り続ける必要があります。努力を重ねる習慣があれば、どんな環境にあっても柔軟に対応し、さらなる成長を続けることができるでしょう。親としては、子どもが結果に一喜一憂するのではなく、挑戦し続ける姿勢を評価し、支えていくことが何より大切だと感じます。

教育の現場で日々感じるのは、子どもたちが努力を通じて経験する成功も失敗も、すべてがその成長の糧となるということです。どのような結果であれ、努力の価値を認め合う環境をつくることが、子どもたちの未来に向けての大きな力になるのだと信じています。