子どもの疲れを見逃さない

受験勉強が進んでくると、子どもたちはだんだん疲れてきます。

もちろん、勉強ですから多少のがんばりは必要です。毎日決めたことを続ける、難しい問題にも向き合う、できなかった問題をもう一度やり直す。そういう積み重ねが力になることは間違いありません。

ただ、その一方で、子どもの疲れを見逃さない、ということも大事です。

子どもは、大人が思っているほど自分の状態をうまく説明できません。

「疲れているの?」と聞いても、「別に」と答えるかもしれません。あるいは、本人も疲れていることに気づいていない場合があります。眠い、集中できない、すぐにイライラする、字が乱れる、簡単な計算を間違える。そういう形で、疲れが表に出てくることが多いのです。

ところが、親の側も忙しい。塾の予定、宿題、テストの結果、偏差値、志望校対策。見なければいけないものがたくさんあります。そうすると、つい「まだ終わっていない」「もっとやらないと」という方に意識が向いてしまう。

しかし、疲れている子にさらに量を積ませても、あまり効果は上がりません。

机には向かっているけれど、頭に入っていない。問題は解いているけれど、ただ手を動かしているだけ。復習しているつもりでも、実は同じところを何度も読み流しているだけ。そういう時間が増えてくると、勉強時間は長くなっているのに、成果は出にくくなります。

だから、子どもの様子を見ることが大切です。

たとえば、いつもより反応が鈍い。食事中にぼんやりしている。朝なかなか起きられない。塾から帰ってくると、すぐに横になってしまう。ちょっとしたことで涙が出る。そういう変化が出てきたら、「気合いが足りない」と見る前に、まず疲れているのではないか、と考えてみる必要があります。

受験勉強は、短距離走ではありません。

一時的に無理をしても、その後に大きく崩れてしまえば、結局遠回りになります。特にこれから夏に向かって、塾の授業も増え、課題も増え、模擬試験も入ってきます。ここで疲れをためすぎると、本来力を伸ばしたい時期に、集中力が落ちてしまうことになりかねません。

では、疲れていると感じたときに、どうすればよいか。

まず、全部をやろうとしないことです。

今日やるべきことの中で、本当に大事なものを絞る。計算だけはやる。漢字だけはやる。直しは2問だけ丁寧にやる。そういう形で、量を減らしても質を落とさないようにするのです。

休ませることも、勉強の一部です。

早く寝る。少し散歩をする。何もしない時間をつくる。好きなことを少しやる。そういう時間があるから、また机に向かう力が戻ってきます。休んだら遅れる、と思いがちですが、疲れたまま続ける方が、実は遅れる原因になることも多いのです。

また、親の声かけも大切です。

「どうしてできないの?」ではなく、「今日は少し疲れているかな」と受け止める。

「全部やりなさい」ではなく、「今日はここまでにしよう」と区切る。

そういう言葉で、子どもはずいぶん楽になります。

子どもが安心して休める家庭であることは、受験勉強において大きな力です。

もちろん、いつも休んでばかりでは困ります。けれども、本当に疲れているときに、ちゃんと休ませてもらえる。自分の状態を見てもらえている。そう感じられることは、子どもにとって大きな支えになります。

受験勉強で大事なのは、最後まで続けられることです。

そのためには、がんばらせるだけではなく、疲れを見逃さないこと。無理をしているサインに早く気づき、必要なら勉強の量やペースを調整すること。

子どもの力を伸ばすためには、勉強を増やすことばかりが答えではありません。

今の子どもの状態をよく見て、必要なときには休ませる。その判断ができることも、受験を支える大事な親の役割なのです。

先生の予約

個別指導では、どうしても「先生の予約」という問題が起こります。

特に夏期講習や冬期講習のように、みんなが同じ時期に授業を増やしたいと考えると、人気のある先生の時間はすぐに埋まってしまいます。いつもの先生に見てもらいたい、できればこの曜日、この時間がいい、と思っていても、なかなか希望通りにはいかないことがあるでしょう。

ただ、これは個別指導である以上、ある程度避けられない問題でもあります。

ひとりの先生が同時に見ることのできる生徒は限られています。集団授業であれば、ひとつの教室に多くの生徒を入れることができますが、個別指導ではそうはいきません。子どもの状況を見て、今何がわかっていて、どこでつまずいているのかを確認しながら進めるからこそ、先生の時間には限りがあるのです。

ですから、先生の予約が取れないからといって、すぐに「この塾はだめだ」と考える必要はありません。むしろ大事なのは、その限られた時間をどう使うかです。

たとえば、先生にすべてを教えてもらう、という考え方にしてしまうと、授業時間はいくらあっても足りません。しかし、家庭でできることを先に進めておき、わからないところ、判断に迷うところ、答案の直し方などを先生に見てもらう形にすれば、短い時間でも効果は上がります。

先生の役割は、すべてを最初から説明することだけではありません。今の勉強の方向が合っているか、優先順位は間違っていないか、子どもがどこで止まっているのかを見つけることも、大事な役割です。

特に受験学年になると、あれもこれもと授業を増やしたくなります。しかし、授業を増やせば成績が上がる、というものでもありません。授業を受ける時間が増えれば、その分、自分で考える時間、復習する時間、やり直す時間は減っていきます。

だから、先生の予約が取りにくいときほど、少し冷静に考えた方が良いのです。

本当にその授業は必要なのか。家庭で進められる部分はないのか。先生に見てもらうべきところはどこなのか。そこを整理しておくと、限られた指導時間をかなり有効に使うことができます。

また、先生が変わることを必要以上に不安に思わないことも大切です。もちろん、子どもとの相性はあります。しかし、別の先生に見てもらうことで、違う角度から課題が見えることもあります。同じ問題でも、説明の仕方が変わると、子どもがすっと理解することもあるのです。

大事なのは、「この先生でなければだめ」と決め込みすぎないことです。もちろん信頼できる先生に継続して見てもらうことは大切ですが、それ以上に、子どもが自分で勉強を進められる形を作っていくことの方が、長い目で見れば大きな力になります。

先生の予約は、確かに悩ましい問題です。

しかし、それは同時に、勉強の進め方を見直すきっかけにもなります。先生に頼るところと、家庭で進めるところを分ける。授業を受けることよりも、授業で何を解決するかをはっきりさせる。そういう使い方ができるようになると、個別指導の効果はずいぶん変わってきます。

先生の時間は限られています。だからこそ、その時間をどう生かすかを考えることが大事なのです。

今のやり方が合わないと感じる場合は、家庭で進めやすい形に切り替えることも大事です。こちらもあわせてご覧ください。

習うことが増えすぎてはいけない

中学受験の勉強を進めていると、どうしても「もっと習わせた方がいいのではないか」という気持ちになります。

塾の授業があり、個別指導があり、家庭教師があり、動画教材があり、さらにAIもある。今は、子どもが学べる手段が本当にたくさんあります。

しかし、ここで気をつけなければいけないのは、習うことが増えすぎると、子どもが自分で考える時間を失ってしまう、ということです。

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