次の課題を考える

夏休みが終わると、「どこまでできるようになったか」が気になるものです。しかし、この時期に大事なのは、夏の成果を評価することよりも、次に何を課題にするかを決めることです。

6年生であれば、ここから入試まではそれほど長い時間が残されているわけではありません。だからといって、すべてを一度に完成させようとしても無理があります。算数の基礎に不安があるなら、まずそこを固める。理科や社会の知識が不足しているなら、覚える時間をしっかり確保する。国語の記述が弱いのであれば、そこを重点的に練習する。今の状況から、次に取り組むべきことをひとつずつ決めていけばよいのです。

また、志望校がだんだん固まってくれば、必要な勉強も変わってきます。すべての学校に対応できるように勉強するのではなく、志望校の出題傾向を見ながら、必要な分野に時間を振り向けることが大切になります。過去問をやってみて初めて見えてくる課題もあるでしょう。

秋になると、塾の授業や模擬試験、学校別対策なども増えてきます。そのため、与えられたものを全部こなそうとすると、自分の課題に取り組む時間がなくなってしまうことがあります。ここからは、塾のペースに合わせるだけではなく、「今、この子に一番必要な勉強は何か」を考えていかなければなりません。

夏休みにできなかったことを数える必要はありません。今の力を確認して、次の課題を決める。そして、その課題ができるようになったら、また次を考える。その繰り返しで、入試までに必要な力を積み上げていけばいいのです。

解説を読んでもわからない

問題を間違えたら、解説を読んで理解する。受験勉強では当たり前のように言われることですが、実際には「解説を読んでもわからない」ということはよくあります。

解説には、書いてあることを理解するための前提があります。例えば算数なら、途中の式が省略されていたり、「ここからこの考え方を使う」という部分が当然のこととして進んでいたりする。解説を書いた側にとっては簡単な一歩でも、子どもにとってはそこが大きな飛躍になっている場合があります。

ですから、解説を何度読んでもわからないからといって、いつまでも一人で考え続ける必要はありません。

大事なのは、「どこからわからなくなったのか」をはっきりさせて、質問できるようにすることです。

「この式になる理由がわからない」「なぜここでこの図を使うのかわからない」「解説の3行目まではわかるけれど、その次がわからない」。そこまで整理できれば、先生も説明しやすくなりますし、本人も自分が何を理解できていないのかが見えてきます。

逆に一番困るのは、わからない問題をそのままにして、次々と先へ進んでしまうことです。

もちろん、すべての問題を完全に理解しなければ先へ進めない、ということではありません。しかし、今後もよく使う考え方や、志望校で必要になりそうな問題については、やはりきちんと解決しておいた方が良いでしょう。

そのためには、質問できる環境を用意しておくことが大切です。塾の先生に聞く、個別指導で確認する、オンラインで質問するなど、方法はいろいろあります。ポイントは、「わからないことが出てきたら解決できる」という流れをつくっておくことです。

6年生の後半になれば、過去問や学校別の問題に取り組む機会が増えます。当然、これまで以上に「解説を読んでもよくわからない」という問題も出てくるでしょう。

そんなときに、何となく答えを写して終わるのではなく、わからないところを見つけ、質問し、納得して次へ進む。この習慣がある子は、過去問演習から吸収できるものも多くなります。

解説はゴールではありません。解説を読んでもわからなければ、そこからが勉強です。

一人で抱え込ませず、「わからなければ聞ける」という環境をつくっておくことが、これからの受験勉強では大切だと思います。

粘り強く考える

受験勉強を続けていると、どうしても「今日は何題やったか」「この教材をどこまで進めたか」ということが気になってきます。塾の宿題もありますし、やらなければならないことも多いので、子どもたちも次々と問題を処理することに慣れていきます。

しかし、問題をたくさん解けば、それだけ力がつくとは限りません。特に算数や理科の計算問題では、すぐに答えが出ないときに、そこでどのくらい粘れるかが大事です。

「わからない」と思ったところですぐに解説を見るのではなく、まず図を描いてみる。条件を書き出してみる。簡単な場合で試してみる。あるいは途中まででも式を作ってみる。そうやって手を動かしているうちに、「もしかすると、こう考えればいいのではないか」という糸口が見えてくることがあります。

この経験が大切なのです。

入試では、見た瞬間に解き方がわかる問題ばかりが出るわけではありません。むしろ、初めて見るような問題を前にして、持っている知識を組み合わせながら答えに近づいていく力が必要になります。その力は、普段から「すぐにわからなくても、もう少し考えてみる」という練習をしていなければ、なかなか身につきません。

ですから、時には問題数を減らしてもいいのです。10題を急いで終わらせるより、3題についてしっかり考え、なぜそうなるのかまで納得した方が、結果として大きな力になることがあります。

もちろん、いつまでも一題に時間をかければよい、ということではありません。しかし、「わからないから次へ」という癖がついているのであれば、少し学習の進め方を変えた方がよいでしょう。

特にこれから学校別の問題に取り組んでいくと、簡単には解けない問題も増えてきます。そんなときこそ、すぐに答えを求めず、自分の知っていることを使って、もう一歩考えてみる。その粘りが、やがて入試問題を自分の力で解き明かす力につながっていきます。

塾のペースに追われ、問題を終わらせることばかりが目的になっているのであれば、一度そこから離れて、じっくり考える時間を取り戻すのもひとつの方法です。