理科計算を出す学校、出さない学校

理科の計算問題が苦手、という子は少なくありません。

特に6年生になると、溶解度、気体の発生、中和、電気、力のつり合いなど、いろいろな分野で計算が出てきます。算数で比や割合を勉強しているとはいえ、それを理科の条件にあてはめて考えるとなると、また別の難しさがある。

だから、理科計算でつまずく子が出てくるのは、ある意味当然です。

ただ、ここで考えておきたいのは、すべての学校が理科計算を同じように重視しているわけではない、ということです。

学校によっては、かなりしっかり計算問題を出してくるところがあります。例えば、物理や化学の分野で、条件を整理し、比例関係を使い、場合によっては何段階か計算を重ねる問題を出す。こういう学校では、理科計算を避けて通ることはできません。

一方で、あまり理科計算を出さない学校もあります。

もちろん、まったく計算が出ないというわけではありません。基本的な割合やグラフの読み取り、表の数値を使った簡単な計算ぐらいは出るでしょう。しかし、受験生が大きく時間を取られるような本格的な計算問題は、それほど出さない学校もあるのです。

なぜそうなるのか。

ひとつには、理科の計算問題は正答率が低くなりやすい、という事情があります。難しく作れば作るほど、ほとんどの受験生ができない問題になってしまう。そうなると、問題としては出しても、合否を分ける材料になりにくい場合があるのです。

また、学校によって理科で見たい力が違います。計算力を見たい学校もあれば、知識を正確に使えるか、実験や観察の意味を理解しているか、文章や図表から考えられるかを重視する学校もあります。

ですから、理科計算が苦手だからといって、ただちに理科全体がだめだと考える必要はありません。まず志望校がどの程度、理科計算を出しているのかを見ておくことが大事です。

過去問を数年分見れば、かなりはっきりします。

毎年のように電気や力学、化学計算が出ている学校なのか。出るには出るが、基本的な計算にとどまっているのか。あるいは、計算よりも知識や観察、実験の考察を重視しているのか。

この違いを見ずに、ただ「理科計算をもっとやらなければ」と考えると、勉強の配分を間違えることがあります。

もちろん、基本的な理科計算はできるようにしておいた方が良いでしょう。溶解度の基本、気体の発生量、電流と抵抗、ばねやてこの基本などは、入試に出る出ない以前に、理科の理解として必要な部分です。

ただし、どこまでも難しい問題に突っ込んでいく必要があるかどうかは、志望校によって違います。

理科計算をしっかり出す学校を受けるなら、早めに対策を始める必要があります。計算の型を覚えるだけでなく、条件を整理する練習をしていく。図を書く、表にまとめる、比例関係を見つける。そういう練習が必要になります。

一方、理科計算の比重がそれほど高くない学校であれば、難問に時間をかけすぎるより、基本知識、実験の理解、グラフや表の読み取りを安定させた方が得点につながる場合があります。

入試は満点を取る試験ではありません。

特に理科は、すべての分野を完璧に仕上げようとすると時間がいくらあっても足りません。だからこそ、志望校に合わせて、どこに時間をかけるかを決める必要があります。

理科計算が出る学校なのか、出ない学校なのか。

ここをまず確認してください。その上で、必要なレベルまで練習する。必要以上に怖がらない。逆に、出る学校なのに後回しにしない。

この見極めが、理科の勉強では案外大事なのです。

今のやり方が合わないと感じる場合は、家庭で進めやすい形に切り替えることも大事です。こちらもあわせてご覧ください。

学校説明会、何を聞けば良い?

学校説明会に行くと、施設のきれいさや進学実績、あるいは先生方の話し方に目が向きます。もちろん、それも大事な情報ではありますが、そこで終わってしまうと、あとで「結局、わが子に合う学校なのか」がよくわからない、ということになりがちです。

説明会で一番確かめたいのは、その学校が子どもたちをどう育てようとしているのか、という点です。宿題を多く出して、日々の学習をかなり管理していく学校なのか。それとも、自分で考え、動くことを重んじ、多少の失敗も含めて経験させていく学校なのか。同じ進学校でも、この違いはかなり大きい。

ですから、質問するなら「中1の最初の半年は、家庭学習をどのくらい想定されていますか」「提出物や小テストの管理はどの程度ありますか」「成績が振るわない生徒には、どのようなフォローがありますか」といった聞き方が良いでしょう。これは単に面倒見が良いかどうかを聞いているのではありません。わが子がそのペースの中で、自分らしく成長できるかを見るためです。

また、部活動や行事についても、名前だけを聞くのではなく、実際にどのくらい時間を使うのかを聞いておくと良いと思います。やりたいことが多い子にとって、学校生活の自由度は大事です。一方で、自由な環境だと流されやすい子もいます。どちらが良い悪いではなく、子どもの性格との相性を考える必要があります。

大学附属校の場合も、大学受験がないから楽だ、と簡単に考えない方が良いでしょう。内部進学には内部進学なりの成績管理があります。希望する学部に進むために、どの時期からどの程度の成績が必要になるのか。留年や進級の基準はどうなっているのか。ここはかなり大事な確認事項です。

さらに、入試について聞ける機会があれば、「どういう子に入ってきてほしいと考えているのか」を聞いてみると良いと思います。問題の形式だけでなく、学校が求める力が見えてきます。記述を重んじるのか、処理力を重んじるのか、考えを説明する力を見たいのか。それがわかると、後の学校別対策も進めやすくなります。

説明会は、学校を採点しに行く場ではありません。わが子が6年間を過ごす場所として、何を大事にしている学校なのかを確かめに行く場です。偏差値や通学時間だけでは決めきれない部分を、少しずつ具体的にしていく。そのためには、聞く内容をあらかじめ家庭で整理しておくことが大事です。

帰ってきたら、良かった、悪かったで終わらせず、「この学校なら、うちの子はどこで伸びそうか」「逆に、どこで苦労しそうか」を話してみてください。その整理ができてくると、志望校選びは単なる一覧表ではなく、子どものこれからを考える作業になっていきます。

6年生は組み分け対策から手を引く

6年生は組み分け対策から手を引く

今の勉強は、どうしても組み分けテストやマンスリーテストがひとつの目標になります。

次のテストでクラスを落としたくない。席順を下げたくない。偏差値を維持したい。そう考えるのは自然なことですし、これまでの学習では、それがひとつの励みになっていた面もあるでしょう。

しかし、6年生はそろそろ目を入試に切り替えていかなければなりません。

なぜなら、これから先に待っている試験は、だんだん「範囲のある試験」ではなくなっていくからです。

ここまで習ったこの単元から出ます、という試験ではなく、何が出るかわからない。これまでに身につけた力を、その場でどう使うかが問われる。模擬試験も、過去問も、そして本番の入試も、基本的にはそういう試験です。

ですから、いつまでも組み分けテストの範囲に合わせて、直前にそこだけを仕上げる勉強を続けていると、入試に必要な力とは少しずつズレていきます。

組み分けテスト対策は、たしかに点数を取りやすくする方法ではあります。

出題範囲がわかっている。テキストのどこを見直せばよいかもだいたい決まっている。類題を何度か解いておけば、点数につながることも多いでしょう。

しかし、それはあくまで「範囲のある試験」に対する対策です。

入試では、そうはいきません。

「この単元から出ます」とは言ってくれない。図形だと思って読んでいたら比の問題だったり、速さの問題だと思っていたら条件整理の問題だったりする。文章題も、どの解法を使うかを自分で判断しなければなりません。

つまり、入試で問われるのは、覚えた解き方を再現する力だけではなく、問題を読んで、条件を整理し、自分で方針を立てる力です。

その力をつけるためには、そろそろ「素手で受ける」練習が必要になります。

素手で受ける、というのは、何も準備をしないという意味ではありません。

直前に出題範囲だけを詰め込んで、無理に点数を取りにいくのをやめる、ということです。

普段から積み上げている力で、今どのくらい取れるのかを見る。できなかった問題を見て、どこが弱いのかを考える。単元の知識が抜けているのか、問題文の読み取りが甘いのか、計算で崩れているのか、時間配分に問題があるのか。

そういう確認のためにテストを使うようにするのです。

もちろん、そう言われると不安になるでしょう。

「そんなことをしたら、クラスが落ちてしまうのではないか」

そう思われるかもしれません。

しかし、ここで考えなければならないのは、クラスを守ることと、入試で合格点を取る力をつけることは、必ずしも同じではないということです。

組み分け対策に時間をかければ、次のテストでは多少点数が上がるかもしれません。けれど、その分、志望校対策や過去問研究、弱点補強、基礎のやり直しに使う時間は減っていきます。

6年生の時間は限られています。

毎回の組み分けに合わせて勉強の中心を動かしていると、結局、入試に向けた大きな準備が後回しになります。

しかも、範囲つきのテストで点数を取るための勉強ばかりしていると、子ども自身も「何が出るかわかっている試験」に慣れてしまいます。

これは意外に大きな問題です。

入試では、最初に問題を見たときに、「これは何の問題だろう」と考えなければなりません。ところが、いつも範囲を前提にしていると、問題を分類する力が育ちにくい。

この問題は比なのか、速さなのか、場合の数なのか。どの条件を使えばよいのか。どこから手をつければよいのか。

そういう判断を、その場で自分でしなければならないのが入試です。

だから、6年生は、テストの受け方を変えていく必要があります。

組み分けテストのために勉強するのではなく、組み分けテストを使って自分の力を測る。

この発想に切り替えるのです。

案外、上位の子どもたちは、もうそういう受け方をしています。

直前に範囲を必死に詰め込むというより、普段の勉強を淡々と続け、その結果としてテストを受けている。もちろん見直しはします。間違えた問題も直します。しかし、毎回の組み分けに振り回されて、勉強の軸を変えることはあまりありません。

それは、入試に向けて必要な力が何かを、ある程度わかっているからです。

では、組み分け対策から手を引くとき、何をすればよいのでしょうか。

まず、これまでのテスト結果を見直してください。

ただし、偏差値やクラスを見るのではありません。見るべきなのは、失点の中身です。

計算ミスなのか。問題文の読み落としなのか。知識不足なのか。解法が思いつかなかったのか。時間が足りなかったのか。

同じ失点でも、原因によって対策はまったく違います。

計算ミスが多いなら、毎日の計算練習の質を上げる。問題文の読み落としが多いなら、線を引く、条件を整理する、最後に聞かれていることを確認する、といった読み方の練習をする。知識不足なら、理科や社会の基本事項を計画的に戻す。時間が足りないなら、解く順番や見切る判断を練習する。

このように、テストは「次のクラスのため」ではなく、「入試までに何を直すかを見つけるため」に使うのです。

次に、志望校の出題を少しずつ見始めることです。

まだ過去問を本格的に解く段階ではないとしても、問題の雰囲気、分量、時間、設問の作り方を知ることは大切です。

自分の志望校では、どんな力が問われるのか。算数は速さが必要なのか、図形が重いのか。国語は記述が多いのか、選択肢が細かいのか。理科社会は知識中心なのか、資料や実験を読む力が必要なのか。

それを知らないまま、塾の組み分けだけを追いかけていると、夏以降に慌てることになります。

そしてもうひとつ大事なのは、普段の勉強を「範囲対策」から「力をつける勉強」に変えることです。

算数であれば、できなかった問題をもう一度自分で解き直す。解説を読んで終わりにしない。式の意味を説明できるようにする。

国語であれば、答え合わせだけでなく、なぜその答えになるのかを本文に戻って確認する。

理科社会であれば、暗記で終わらせず、なぜそうなるのか、どこで間違えやすいのかを整理する。

こういう勉強は、すぐには組み分けの点数に反映されないかもしれません。

しかし、入試に近づくほど効いてきます。

6年生の勉強で大事なのは、毎回のテストで少しでも点を上乗せすることではありません。

本番までに、どれだけ自分で考え、判断し、解き切る力を育てられるかです。

組み分けテストは大事です。マンスリーテストも無視する必要はありません。

ただ、それを最終目標にしてはいけない。

6年生は、そろそろ目標を入試に切り替える時期です。

クラスを守るための勉強から、合格するための勉強へ。

範囲を追いかける勉強から、どんな問題が出ても対応するための勉強へ。

その切り替えができるかどうかで、これからの伸び方は大きく変わっていきます。

組み分け対策から手を引くのは、手を抜くことではありません。

むしろ、本当の入試準備に入るということです。

6年生は、もうその段階に来ています。