いっしょにいる時間が少ないからこそ

共働きのご家庭が増え、平日に子どもといっしょにいる時間はどうしても少なくなりがちです。

朝は送り出すだけで精一杯。夕方以降は食事や家事に追われ、気がつくともう寝る時間。子どもの勉強を見てやりたいと思っていても、実際にはなかなか時間が取れない、というご家庭は多いでしょう。

だからといって、「親が見られないから塾を増やす」「個別指導を足す」という方向にすぐ進む必要はありません。もちろん必要な場合もありますが、子どもが自分でできることまで、全部外に預けてしまうと、かえって自分で考える機会を失ってしまうことがあります。

大事なのは、長い時間いっしょに勉強することではありません。

むしろ短い時間でも、「今日は何をやったの?」「どこが難しかった?」「明日は何から始める?」と確認するだけで、子どもは自分の勉強を振り返るようになります。親が横について全部教えるのではなく、子ども自身が説明する時間を作ることが、案外大きな意味を持つのです。

親が忙しいと、つい「ちゃんとやったの?」「まだ終わってないの?」という確認だけになりがちです。しかし、それでは子どもにとってはチェックされているだけになってしまいます。少しだけ聞き方を変えて、「今日はどこまで進んだ?」「一番時間がかかったのはどれ?」と聞いてみる。そうすると、子どもも自分の勉強を整理しやすくなります。

いっしょにいる時間が少ないからこそ、その時間を叱る時間にしてしまうのはもったいない。

できていないことを責めるよりも、まずは今の状況を一緒に確認する。できたことを認める。次にやることをひとつだけ決める。それだけでも、子どもにとっては「見てもらっている」という安心感になります。

また、親がすべてを管理しようとしないことも大切です。いつ何をやるか、どの順番で進めるか、最初はうまくいかなくても、少しずつ子ども自身に任せていく。失敗したら、そこでまた一緒に考えればよいのです。

中学受験の勉強は、親が全部背負うものではありません。むしろ、子どもが自分で勉強を進められるようにしていくことが、本来の目的でもあります。

いっしょにいる時間が少ないから、何もできないのではありません。

少ない時間だからこそ、子どもが自分で考え、自分で進める力を育てるきっかけにすることができます。親がそばにいる時間の長さよりも、その時間に何を話すか、どう関わるかの方が大事なのです。

今のやり方が合わないと感じる場合は、家庭で進めやすい形に切り替えることも大事です。こちらもあわせてご覧ください。

この学校に入れたい

学校選びを考えていると、いろいろな条件が気になってきます。

偏差値はどうか。大学進学実績はどうか。共学校か、男子校・女子校か。附属校なのか、進学校なのか。通学時間はどのくらいか。

もちろん、そういう条件を比べることは大事です。

ただ、最後のところで大切になるのは、やはり親が「この学校に入れたい」と思えるかどうかではないでしょうか。

説明会に行ったとき、校舎を歩いたとき、先生の話を聞いたとき、あるいは在校生の様子を見たときに、何となく「ここはいいな」と感じることがあります。

逆に、数字の上では悪くないのだけれど、どうもピンとこない、ということもあるでしょう。

その感覚は、案外大事にした方が良いのです。

親は、毎日子どもを見ています。どんなときに元気になるのか。どんな環境だと萎縮してしまうのか。どういう先生や友だちの中で力を出せそうなのか。そういうことを、無意識のうちに感じ取っているところがあります。

だから、「この学校は合っているかもしれない」という直感は、単なる思いつきではないのです。

もちろん、親が気に入ったからといって、すべてがうまくいくわけではありません。子ども本人の気持ちも大事ですし、入試の難度も考えなければならない。

けれども、親がその学校に共感できている、ということは、受験を支える上で大きな力になります。

受験勉強は、どうしても点数や偏差値に引っ張られます。

塾のクラスが上がった、下がった。模試の判定が良かった、悪かった。そういう数字に一喜一憂しているうちに、そもそもなぜその学校を目指しているのかが、だんだん見えにくくなることがあります。

でも、本来は「この学校で育ってほしい」という思いが先にあるはずです。

この学校なら、子どもが少しずつ自分らしさを出せるのではないか。この学校なら、良い友だちや先生に出会えるのではないか。この学校なら、6年間を通して何か大事なものを身につけてくれるのではないか。

そういう思いがあるから、受験をがんばろうという話になるのです。

学校には、それぞれ空気があります。

自由な学校もあれば、きちんとした生活習慣を大事にする学校もあります。勉強を強く引っ張る学校もあれば、生徒の自主性を大切にする学校もあります。

どれが正しい、ということではありません。

その子に合うかどうか。そして、家庭としてその方針に納得できるかどうかです。

だから、学校選びでは、数字だけで決めない方が良い。

偏差値表の上下だけを見ていると、つい「届く学校」「届かない学校」という見方になってしまいます。しかし本当は、「入れたい学校」「入ってから伸びそうな学校」という視点も必要なのです。

この学校に入れたい。

そう思える学校があるなら、その気持ちは大事にして良いと思います。

もちろん、現実的な作戦は必要です。併願校も考えなければならないし、過去問との相性も見ていかなければならない。

ただ、その中心に「この学校で学ばせたい」という思いがあると、受験の進め方も少し落ち着いてきます。

塾のペースに振り回されるだけでなく、わが家として何を大事にするのかが見えてくるからです。

受験は、子どもを追い込むためにするものではありません。

子どもに合う環境を選び、そこで力を伸ばしていくためにするものです。

だからこそ、学校選びの最後のところでは、親の「ここに通わせたい」という気持ちを、もう一度確かめてみてください。

その思いがはっきりしてくると、受験勉強の意味も、家庭での支え方も、少しずつ見えやすくなっていくはずです。

塾のペースから少し離れて、まずは確実に自信を取り戻す、という方法もあります。こちらもあわせてご覧ください。

家族が疲弊するようではいけない

新学年が始まってから、そろそろ2か月が経ちました。

この時期になると、少しずつ疲れが見えてきます。子どもも疲れているし、お父さん、お母さんも疲れている。毎週の授業、宿題、復習テスト、組み分け、マンスリー。気がつけば、家の中の会話が勉強のことばかりになっている、というご家庭もあるかもしれません。

「こんなに大変なの?」

「このまま続けられるのかしら?」

そう思われるのは、決しておかしなことではありません。むしろ、そう感じる方が自然です。中学受験の勉強は、最初からかなり負荷が高い。しかも新学年になれば、塾も一段ギアを上げてきます。宿題の量も増えるし、内容も難しくなる。親もそのペースに合わせようとして、つい無理をしてしまうのです。

しかし、ここで一度考えておきたいことがあります。

今やっていることは、本当に全部必要なのか、ということです。

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