中学受験辞典

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田中貴著『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』Kindle版 表紙

新刊「中学受験で子どもと普通に幸せになる方法」のお知らせ

Kindle版『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』を刊行しました。

中学受験の準備は、ずいぶん早く始まるようになりました。塾に入る学年が早くなり、課題も増え、毎月の組み分けの成績に親子で振り回されてしまうことも少なくありません。

しかし、早く塾を始めれば楽になるわけでも、授業の日数を増やせば勉強が進むわけでもありません。受験までの時間が長くなった分、子どもが消耗してしまうこともあります。

この本では、「子どものため」と思って陥りやすい五つの思い込みから、受験準備を始める時期、学校別対策、公開模試と個別指導の使い方、親の関わり方までをまとめました。

大事なのは、みんなと同じやり方に合わせることではなく、その子に合った受験を組み立てることです。中学受験の結果だけで、子どもの幸せが決まるわけではありません。だからこそ、親子が受験のために苦しくなりすぎない進め方を考えていただきたいと思います。

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お役立ていただければ幸いです。

断片的な知識

暗記テキストを進めていると、答えは合っているのに、「では、それは何?」と聞くと止まってしまうことがあります。

言葉は覚えている。しかし、その言葉が何を意味しているのかは、よくわかっていない。つまり、知識が断片的なのです。

受験勉強では覚えなければならないことがたくさんあります。ですから、答えられた問題は○にして、どんどん先へ進みたくなる。しかし、用語を答えられることと、その内容がわかっていることは同じではありません。

特に社会では、こういうことがよく起こります。

例えば「地方交付税交付金」と答える問題には正解できる。しかし、「地方交付税交付金とは何ですか?」と聞かれると説明できない。いくつかの言葉の中から正解を選ぶことはできても、その中身までは理解していない、ということがあるのです。

歴史でも同じです。「大塩平八郎」「二・二六事件」と名前は覚えていても、それがどんな人物なのか、どんな事件なのかを短く説明できなければ、まだ知識はつながっていません。

ですから、ときどき逆から確かめてみると良いでしょう。

「これは何?」と聞いてみるのです。長く説明する必要はありません。二、三文で中身を説明できれば、言葉と内容が結び付いています。

暗記はどうしても先へ進むことが中心になります。しかし、断片的な知識をいくら増やしても、問題の聞かれ方が変わると使えません。

覚えた言葉について、「これは何だろう」と考える。そのひと手間で、ばらばらだった知識が少しずつつながっていきます。

1問1問を大切に

入試までの時間が少なくなってくると、どうしてもたくさんの問題を解きたくなります。しかし、今解いているその一問と、入試までにもう一度出会えるとは限りません。次に同じような問題が出てくるのが、本番かもしれないのです。

入試が終わってから、「これ、前にやった問題と同じだったよ」と言っても、本人は覚えていない、ということがあります。たくさんの問題を解いているのですから、それも無理はありません。ただ、一度やった問題が何も残らないまま通り過ぎてしまうのは、やはりもったいない。

ですから、できた問題も「正解したから終わり」にしないことです。本当にわかって解いたのか。たまたま答えが合っただけではないか。少しでもあやしいところがあれば、もう一度考えてみる。解き方を説明できるか確かめてみる。それだけでも、その一問から得られるものは違ってきます。

残り時間が少なくなると、保護者も「今日は何問やったか」が気になりがちです。しかし、これからは問題数よりも、一問から何を身につけたかの方が大事です。十問を急いで通り過ぎるより、必要な一問をしっかり理解した方が、本番につながることも多いでしょう。

もう一度やった方が良いと思った問題は、そのままにしない。間違えた理由も、正解した理由も確かめておく。今解いている一問が、入試前に練習できる最後の一問かもしれません。

だからこそ、一問一問を大切にしてください。

行く学校をベストにする

この時期になると、どうしても第一志望に合格させたい、という気持ちが強くなります。

だから、もっと勉強しなさい、これでは間に合わない、という話にもなりやすい。

もちろん第一志望に合格するためにがんばっているわけですから、それは当然のことなのですが、ただ、受験ですから必ず思い通りになるとは限りません。

どんなにがんばっても、残念な結果になることはある。

でも、それで中学受験が失敗だった、ということではないのです。

受験する学校はいくつかあっても、実際に通う学校はひとつです。そして進学したら、そこでまた6年間が始まる。

だったら、行くことになった学校をベストにすればいい。

第一志望に合格したなら、もちろんそこでがんばればいいし、第二志望、第三志望になったとしても、そこで充実した学校生活を送ればいい。場合によっては公立に進むことになったとしても、そこからまた次を考えればいいのです。

実際、どこの学校に入ったかだけで、その後が決まるわけではありません。

むしろ大事なのは、そこで何をするかでしょう。

だから、親の方も「絶対にこの学校に入らなければいけない」と思い詰めすぎない方がいい。

もちろん最後まで第一志望を目指してがんばる。しかし、結果が出たら、それを受け止めて、行く学校を一番良い学校にする。

そう考えておけば、少し気持ちに余裕ができます。

残りの時間、子どもたちは子どもたちなりに一生懸命やればいい。

受験はゴールではありません。

進学した学校から、また次が始まるのです。