終わらせるだけ?

塾にも通っている。家に帰ってからも宿題をしている。それなのに、なかなか成績が上がらない。

そういうお子さんに多いのが、「勉強を終わらせること」が目的になってしまっているケースです。

もちろん、課題をやっていないわけではありません。宿題も出している。ノートも埋まっている。けれども、その中身を見ると、「わかった」「できるようになった」というところまで届いていないことがあります。

とにかく終わらせる。丸つけをする。直しも一応書く。これで本人としては「やった」という気持ちになります。しかし、実際には同じ問題をもう一度出されても解けない。少し形を変えられると手が止まる。そうなれば、時間をかけているわりに力がつかないのは当然です。

では、なぜこれほど多くの宿題が出るのでしょうか。

理由はいろいろありますが、ひとつには「やることがない」と家庭に思われたくない、という事情もあるでしょう。子どもが家で手持ちぶさたにしていれば、保護者は「この塾だけで大丈夫だろうか」「個別指導も必要ではないか」と考えます。そうならないように、塾は一定量の課題を出します。

ただし、その宿題が本当に一人ひとりの理解につながっているかどうかは、別問題です。大量の宿題を丹念に確認し、どこでつまずいたかまで見ていけば、授業時間は足りなくなります。実際には、ときどき提出状況を見て、「やっていないのか」と注意する程度になっていることも少なくありません。

すると子どもたちは、「理解するため」ではなく、「叱られないため」「提出するため」に宿題を進めるようになります。これが続くと、勉強時間は長いのに、成績につながらない状態が生まれます。

大事なのは、宿題を全部やったかどうかではありません。

その宿題を通して、何ができるようになったのか。どの問題で止まったのか。解説を読んで本当に理解したのか。もう一度、自力で解けるのか。そこを見なければ、勉強の質は変わりません。

もちろん、すべての課題が無駄だというわけではありません。しかし、お子さんにとって今必要ではないもの、量をこなすだけになっているもの、ただ時間を奪っているだけのものが混じっていることはあります。

「勉強しているのに上がらない」と感じたら、まず確認すべきなのは勉強時間ではありません。

何をやっているのか。なぜそれをやっているのか。それによって何ができるようになっているのか。

ここを一度、具体的に見直してみてください。終わらせるだけの勉強から抜け出さない限り、時間を増やしても、塾を増やしても、なかなか結果にはつながりません。

行ける学校はひとつだけ

中学受験では、複数の学校を受けるのが普通です。

午前入試、午後入試、1月校、2月校と考えていくと、受験する学校の数はどうしても増えていきます。合格をいくつかいただくこともあるでしょう。けれど、最終的に通える学校はひとつだけです。

ここを忘れてしまうと、受験準備がどんどん広がっていきます。

この学校も良い、あの学校も気になる。ここも対策しておいた方が良いかもしれない。そう考え始めると、学校ごとの傾向も気になり、やるべきことが増えていきます。もちろん併願校を考えることは大事です。しかし、全部の学校に同じだけ力を入れようとすると、結局どれも中途半端になりやすいのです。

だから、まずは「本当に行きたい学校」をはっきりさせることが大切です。

子どもがその学校に通う姿を思い浮かべられるか。毎日通いたいと思えるか。合格したら本当にうれしいと思えるか。そういう気持ちがある学校を中心に据えることで、勉強の方向も決まりやすくなります。

第一志望校が決まれば、やるべきことも絞られてきます。その学校の出題傾向を見て、何を優先するかを考える。過去問を通して、どこで点を取るか、どこを補強するかを決めていく。これは、ただたくさんの問題を解くよりも、ずっと実戦的な準備になります。

もちろん、第一志望校に必ず合格できるとは限りません。思うような結果にならないこともあります。だからこそ併願校を考える必要がありますし、受験の安全策も大切です。

ただ、それでも中心に置く学校はひとつで良いのです。

「ここに行きたい」という気持ちがあるから、子どもは苦しい時期も踏ん張れます。何となくいくつもの学校に向けて勉強するよりも、目標がはっきりしている方が、本人の気持ちも続きやすいのです。

入試当日まで、受験校はいくつかあるかもしれません。でも、進学する学校はひとつだけです。

だからこそ、早い段階で「わが家にとって一番大事な学校はどこか」を決めておきたい。その軸があることで、勉強の優先順位も、親のサポートの仕方も、ずっと整理しやすくなります。

たくさん受けることよりも、本当に行きたい学校に近づくこと。

中学受験では、その考え方を忘れないようにしたいものです。

進める時は進む

勉強は、いつも同じペースで進むわけではありません。

すっと理解できる単元もあれば、何度説明を聞いてもなかなか腑に落ちない単元もあります。だから本来、学習の進め方は、その子の理解度に合わせて変えられる方が良いのです。

オンライン学習の良いところは、まさにそこにあります。

わかるところは、自分でどんどん進めることができる。授業の進度を待つ必要もありませんし、周りに合わせて立ち止まる必要もありません。理解できている内容であれば、テンポよく先へ進めばよいのです。

もちろん、急ぎすぎて雑になるのは困ります。問題を解き、確認し、間違えたところを直す。その基本は守らなければいけません。しかし、きちんと理解できているのであれば、必要以上に同じところに時間をかけることはありません。

むしろ、進める時に進んでおくことが大事です。

後になれば、必ず難しいところが出てきます。算数であれば、条件整理が複雑になる問題。理科であれば、実験やグラフを読み取って考える問題。国語であれば、本文の根拠を正確に拾って答える記述問題。そういうところでは、どうしても時間がかかります。

そのときに、前の単元で必要以上に足踏みをしていると、じっくり考える時間がなくなってしまいます。

だから、できるところは前へ進む。わからないところは立ち止まる。この切り替えが大切なのです。

一斉授業では、どうしても全体のペースがあります。わかっている子も、まだわかっていない子も、同じ時間を同じ内容に使うことになります。それが悪いというわけではありませんが、子どもによっては、もったいない時間が生まれることもあります。

オンラインで自分のペースを作れるなら、その利点を活かすべきです。

今日は調子が良い。内容もよくわかる。問題もきちんと解ける。そういう日は、少し多めに進めてよいのです。反対に、引っかかるところが出てきたら、そこは無理に進まない。説明を見直し、質問し、類題を解き、時間をかけて理解する。

大事なのは、毎日同じ量を機械的にこなすことではありません。

その日の学習内容を見て、進めるところは進み、止まるべきところでは止まる。その判断を少しずつ身につけていくことです。

受験勉強では、後半になるほど時間の使い方が重要になります。過去問、弱点補強、志望校対策と、やるべきことは増えていきます。そのときに余裕を作るためにも、今、進めるところはしっかり進んでおく。

オンライン学習は、そのための道具としてとても有効です。

ただ画面の前に座っているだけでは意味がありません。自分で進める、自分で止まる、自分で確認する。その使い方ができるようになると、学習の効率は大きく変わります。

進める時は進む。

そして、難しいところに出会ったら、そこでしっかり時間をかける。

このメリハリが、後半の伸びにつながっていくのです。