ミスだけを記録する

過去問を始めると、どうしても点数が気になります。

「前回より下がった」
「同じ年度をもう一度やったのに、あまり取れなかった」
「こんな点数で大丈夫なのか」

そう考え始めると、親子ともに気分が重くなってしまいます。もちろん点数を記録することに意味がないわけではありません。しかし、過去問を使って力を伸ばすという意味では、点数以上に大事なものがあります。

それは、どんなミスをしたのかという記録です。

たとえば、算数で問題文を読み違えたとします。そのときに「読み違い」とだけ書いて終わりにするのではなく、どの部分をどう読み違えたのかまで記録しておきます。

「太郎君が先に出発したのに、次郎君だと思って解いた」
「片道の時間なのに、往復の時間として考えた」
「何個残ったかを聞かれているのに、使った個数を答えた」

このように具体的に残しておくと、あとから大事なことが見えてきます。

実は、子どもは同じようなミスを繰り返すことが少なくありません。一度直したはずの問題でも、二度目にまた同じ場所を読み違えることがあります。

そこで、つい「またやったの!」と言いたくなるかもしれません。しかし、ここで怒ってしまうのはもったいない。これは貴重なデータです。

なぜ同じところで目が飛ぶのか。なぜ人名を取り違えるのか。なぜ数字だけを追いかけて、条件を読み落としてしまうのか。そこを丁寧に見ていくと、その子特有の読み方、解き方の癖が見えてきます。

ある子は、長い文章になると途中の条件を飛ばしやすい。ある子は、図に書き込んだ数字を信じすぎて、問題文に戻らない。ある子は、「ただし」や「最も」などの言葉を軽く扱ってしまう。ある子は、急いでいると単位を確認しない。

こうした傾向は、点数だけを見ていてもわかりません。

大事なのは、ミスを分類することです。

「読み違い」
「条件の見落とし」
「計算ミス」
「転記ミス」
「設問の答え方のミス」
「時間不足による雑な処理」

このように分けて記録していくと、対策も立てやすくなります。

読み違いが多いなら、問題文に線を引く場所を決める。人名や単位に丸をつける。何を答えるのかを解く前に一言でメモする。

条件の見落としが多いなら、使った条件に印をつける。解き終わったあとに、使っていない条件がないか確認する。

計算ミスが多いなら、どの段階で間違えたのかを見る。途中式を書かないためにミスが出ているのか、暗算が多すぎるのか、分数小数の変換で崩れているのかを確認する。

転記ミスが多いなら、問題用紙から解答欄へ移すときの確認方法を決める。最後に答えだけを見るのではなく、「聞かれているもの」と「書いた答え」が合っているかを照合する。

こうしてミスの記録を重ねていくと、単なる反省ではなく、具体的な対策になります。

中には、原因を突き詰めていくうちに、思いがけないことがわかる場合もあります。以前、問題文の読み違いが続く子について調べていったところ、実はメガネの度が合っていなかった、ということもありました。本人の注意力だけの問題ではないこともあるのです。

だから、ミスを責めるのではなく、研究してください。

我が子はどこで目が止まり、どこを飛ばし、何を思い込みやすいのか。どんな場面で焦り、どんな問題で確認が甘くなるのか。

間違え方にも個性があります。であるならば、その克服方法もまた、その子に合わせたものであるべきです。

過去問の記録は、点数表だけでは足りません。

むしろ本当に役に立つのは、ミスの細かな記録です。

何を間違えたのか。なぜ間違えたのか。次に同じミスを防ぐには、どんな行動を入れればよいのか。

そこまで踏み込んで記録していくと、過去問は単なる採点材料ではなく、その子を伸ばすための大切な資料になります。

やりきる

子どもが何かに取り組むとき、最後まで続けることは簡単ではありません。

最初はやる気があっても、途中で面倒になったり、思ったより時間がかかったりして、いつの間にかやらなくなってしまう。そういう経験は、どの子にもあります。

ただ、そこで大事なのは「根性が足りない」と考えることではありません。そもそも最初に立てた目標が大きすぎると、やりきることは難しくなります。

たとえば夏休みの計画を立てるとき、子どもはつい理想的な予定を作りがちです。朝から晩まで勉強するような計画にしても、実際には数日で崩れてしまうことが多いでしょう。

ですから、最初から完璧な計画を作ろうとする必要はありません。まずは「少しがんばればできる」ぐらいの目標にすることです。

そのうえで、一週間ほどやってみる。続けられそうならそのまま進めればよいし、無理があるなら修正すればよいのです。

ただし、修正するときにも、何でも削ってしまってはいけません。「これだけはやりきる」という中心を決めておくことが大切です。

計算を毎日3題やる。漢字を1ページ進める。過去問の直しを必ず終える。内容は子どもによって違ってかまいませんが、決めたことを最後までやる経験を積ませたいのです。

一度やりきると、子どもは少し自信を持ちます。

「自分にもできた」という感覚は、次の勉強に向かう力になります。逆に、いつも途中で終わってしまうと、「どうせ続かない」という気持ちが強くなってしまいます。

だからこそ、目標は大きくしすぎない方がよいのです。

小さくても、最後までやる。終わったことがはっきりわかる。親もそれを認める。こういう積み重ねが、子どもの中に「やりきるくせ」を作っていきます。

もちろん、無理をさせすぎる必要はありません。疲れ切ってしまえば、かえって続かなくなります。

大事なのは、少し負荷をかけながらも、実際に達成できるところに目標を置くことです。

やることを増やすより、決めたことをやりきる。

夏の勉強でも、そこを意識して計画を作っていくと、子どもは少しずつ自分で進める力を身につけていきます。

家庭のペースで学習を立て直したいときは、やることを絞って進める形が合う場合もあります。こちらも参考にしてください。

学校別傾向を色濃く出す学校

入試問題には、その学校の考え方がよく表れます。

もちろん、出題される単元や難度が学校によって違う、ということもあります。しかし、それだけではありません。どのように考えさせたいのか、どこで差をつけたいのか、どんな答案を評価したいのか。そうした学校側の姿勢が、問題の作り方に反映されているのです。

中には、学校別傾向をかなり色濃く出す学校があります。

たとえば、知識を広く問う学校もあれば、記述で考え方を見ようとする学校もあります。算数でも、答えだけではなく途中の考え方を重視する学校がありますし、理科や社会で資料や文章を読み取らせる学校もあります。国語であれば、選択肢中心なのか、記述中心なのか、あるいは作文や要約を重視するのかによって、準備の仕方は大きく変わります。

これは、受験生にとって大事な手がかりです。

多くの学校は、受験生に自分の学校をよく理解したうえで受けてほしいと考えています。そのため、最近では過去問を公式サイトで公開したり、説明会で出題方針について話したりする学校も増えてきました。学校によっては、どのような力を見たいのか、どのような答案を評価するのかをかなり具体的に説明してくれることもあります。

一方で、すべての学校が出題意図をはっきり言葉にしてくれるわけではありません。

しかし、過去問をよく見ていくと、その学校が何を大事にしているのかは少しずつ見えてきます。同じ問題がそのまま出ることはありませんが、問われ方や設問の作り方、時間配分、記述量、資料の扱い方などには、一定の方向性があります。

だから、過去問は単に「解いて点数を出すもの」ではありません。

その学校がどんな力を求めているのかを読み取る材料です。どの教科でどのような処理が必要なのか。どこで時間がかかるのか。どのレベルの問題を確実に取らなければならないのか。そうしたことを確認していくことで、勉強の優先順位がはっきりしてきます。

特に、学校別傾向が強い学校を受ける場合、一般的な模試や塾のカリキュラムだけでは十分でないことがあります。模試では取れるのに、その学校の問題になると点が伸びない、ということも起こります。逆に、偏差値だけで見ると届いていないように見えても、その学校の出題形式に慣れてくることで合格点に近づいていく子もいます。

大事なのは、やみくもに問題量を増やすことではありません。

志望校の問題を見て、何を鍛えるべきかを絞ることです。記述が必要なら、短く正確に書く練習をする。資料読み取りが多いなら、条件を整理する練習をする。算数で途中式が求められるなら、普段から式や考え方を残す習慣をつける。

学校別傾向を理解することは、決して小手先の対策ではありません。

その学校が求めている力に合わせて、限られた時間をどう使うかを決めるための大事な判断材料です。受験勉強の後半では、ただ多くの問題をこなすよりも、志望校に向けて必要な練習を積み重ねることが重要になります。

学校ごとの特色を読み取り、それに合わせて準備を進める。

それが、合格に近づくための学校別対策の基本です。