中学受験辞典

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田中貴著『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』Kindle版 表紙

新刊「中学受験で子どもと普通に幸せになる方法」のお知らせ

Kindle版『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』を刊行しました。

中学受験の準備は、ずいぶん早く始まるようになりました。塾に入る学年が早くなり、課題も増え、毎月の組み分けの成績に親子で振り回されてしまうことも少なくありません。

しかし、早く塾を始めれば楽になるわけでも、授業の日数を増やせば勉強が進むわけでもありません。受験までの時間が長くなった分、子どもが消耗してしまうこともあります。

この本では、「子どものため」と思って陥りやすい五つの思い込みから、受験準備を始める時期、学校別対策、公開模試と個別指導の使い方、親の関わり方までをまとめました。

大事なのは、みんなと同じやり方に合わせることではなく、その子に合った受験を組み立てることです。中学受験の結果だけで、子どもの幸せが決まるわけではありません。だからこそ、親子が受験のために苦しくなりすぎない進め方を考えていただきたいと思います。

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お役立ていただければ幸いです。

学校別対策が増えてきました。塾の通常授業を減らしても大丈夫ですか?

学校別の講座が始まると、それまでの通常授業に過去問や添削が加わります。塾へ行く日が増えるだけでなく、宿題もそれぞれに出る。気がつくと、直したかった答案が一週間そのまま、ということが起こります。

全部続けておけば安心、とは限りません。学校別対策の時間を作るために、通常授業を減らしても構いません。ただし、塾を続けるかやめるかではなく、教科ごとにその授業が何を補っているかを考えます。

過去問で基本知識の抜けが続いているなら、その範囲を復習できる授業や教材は残した方がよい。一方、すでにできる問題を大量に繰り返し、その宿題のために過去問の解き直しができないのであれば、優先順位は逆です。学校別対策も、受けるだけで終わるなら増やす意味はありません。

一週間の予定には、授業時間だけではなく、移動、宿題、答案の直しまで書き入れてください。そのうえで、本人が間違いを考え直す時間が残っているかを確かめる。空き時間がなく、ただこなすだけになっているなら、何かを減らす必要があります。

塾には「休んでも大丈夫ですか」と聞くより、その授業を休んだ場合に家庭で補う範囲を聞いた方が話は具体的になります。減らした時間で何をするかも本人と決め、次の過去問で確かめてください。減らしたことで過去問の解き直しまで終わるようになったか。そこを基準にすればよいでしょう。

自分で変わろうと思わないと変わらない

試験が近づいてくると、子どもの欠点がいつも以上に目につきます。普段なら気にせずにいられることまで気になり、つい注意が増えてしまう。保護者からすれば、本番までに直せるものは直しておきたいと思うでしょう。受験が迫っているだけに、黙っているのも難しいところです。

しかし、気がついたのが親であっても、それを変えられるのは本人だけです。何度言われても、自分でその気にならなければ変わりません。反対に、本人が変わろうと思えば、直せることはいくらでもあります。親が直してやることはできないのです。

ですから、うるさく言ってはいけません。言葉を重ねるほど、子どもは何がよくなかったのかを自分で考えなくなります。考えるより先に、また言われたことへ感情的に反応して、それで終わってしまう。注意の回数を増やしても、本人が変わろうと思うことにはつながりません。

大事なのは、本人が「これは変えよう」と思うことです。言われたから直すのではなく、自分のこととして考える。そこまで来た子は、本当に数日のうちにいろいろなことを変えてしまいます。何度言っても直らなかったことが、本人の考えひとつで変わることもあるのです。

試験前は時間が気になり、保護者の言葉も多くなりがちです。しかし、欠点を次々に並べても、直すのは子ども自身です。本人が考え、自分から変えたいと思えるようにする。その力を引き出すことを、今は心がけてください。

心配しやすい子

まじめな子は、コツコツやっています。親からすれば、勉強を続けているのだから、比較的安心していられるでしょう。ところが、本人にはできていないところもよく見えています。まじめに取り組む子ほど、そこを気にしてしまうのです。

「これはできないな」と思っただけなら、それだけの話です。しかし、そこから「まずい」となり、「合格しないかもしれない」と考え始める。できなかったことが、そのまま入試の結果にまでつながってしまいます。あまり気にしない子なら、そのまま次へ進めることでも、まじめな子は先まで考えてしまいます。

親は何とか安心させたくなります。そこで「大丈夫」「よくできている」と褒めても、本人は自分ができなかったことを知っています。安易な言葉では、かえって見透かされてしまう。日ごろからきちんと考えている子ですから、都合のよい言葉だけを受け取るわけではありません。

だからといって、親まで一緒に心配するのもよくありません。一つできなかっただけなのに、この先もだめなのではないか、合格できないのではないかと、話をどんどん大きくしてしまえば、本人はそこから抜け出しにくくなります。親が不安になる気持ちはあっても、その不安を子どもの考えに重ねないことです。

できなかったことは、できなかったこととして考えればよいのです。褒めて打ち消す必要もなければ、先の先まで心配する必要もありません。まじめな子は、よく考えるからこそ心配しやすい。突き詰めて考えさせないようにしてください。