6年生は組み分け対策から手を引く

6年生は組み分け対策から手を引く

今の勉強は、どうしても組み分けテストやマンスリーテストがひとつの目標になります。

次のテストでクラスを落としたくない。席順を下げたくない。偏差値を維持したい。そう考えるのは自然なことですし、これまでの学習では、それがひとつの励みになっていた面もあるでしょう。

しかし、6年生はそろそろ目を入試に切り替えていかなければなりません。

なぜなら、これから先に待っている試験は、だんだん「範囲のある試験」ではなくなっていくからです。

ここまで習ったこの単元から出ます、という試験ではなく、何が出るかわからない。これまでに身につけた力を、その場でどう使うかが問われる。模擬試験も、過去問も、そして本番の入試も、基本的にはそういう試験です。

ですから、いつまでも組み分けテストの範囲に合わせて、直前にそこだけを仕上げる勉強を続けていると、入試に必要な力とは少しずつズレていきます。

組み分けテスト対策は、たしかに点数を取りやすくする方法ではあります。

出題範囲がわかっている。テキストのどこを見直せばよいかもだいたい決まっている。類題を何度か解いておけば、点数につながることも多いでしょう。

しかし、それはあくまで「範囲のある試験」に対する対策です。

入試では、そうはいきません。

「この単元から出ます」とは言ってくれない。図形だと思って読んでいたら比の問題だったり、速さの問題だと思っていたら条件整理の問題だったりする。文章題も、どの解法を使うかを自分で判断しなければなりません。

つまり、入試で問われるのは、覚えた解き方を再現する力だけではなく、問題を読んで、条件を整理し、自分で方針を立てる力です。

その力をつけるためには、そろそろ「素手で受ける」練習が必要になります。

素手で受ける、というのは、何も準備をしないという意味ではありません。

直前に出題範囲だけを詰め込んで、無理に点数を取りにいくのをやめる、ということです。

普段から積み上げている力で、今どのくらい取れるのかを見る。できなかった問題を見て、どこが弱いのかを考える。単元の知識が抜けているのか、問題文の読み取りが甘いのか、計算で崩れているのか、時間配分に問題があるのか。

そういう確認のためにテストを使うようにするのです。

もちろん、そう言われると不安になるでしょう。

「そんなことをしたら、クラスが落ちてしまうのではないか」

そう思われるかもしれません。

しかし、ここで考えなければならないのは、クラスを守ることと、入試で合格点を取る力をつけることは、必ずしも同じではないということです。

組み分け対策に時間をかければ、次のテストでは多少点数が上がるかもしれません。けれど、その分、志望校対策や過去問研究、弱点補強、基礎のやり直しに使う時間は減っていきます。

6年生の時間は限られています。

毎回の組み分けに合わせて勉強の中心を動かしていると、結局、入試に向けた大きな準備が後回しになります。

しかも、範囲つきのテストで点数を取るための勉強ばかりしていると、子ども自身も「何が出るかわかっている試験」に慣れてしまいます。

これは意外に大きな問題です。

入試では、最初に問題を見たときに、「これは何の問題だろう」と考えなければなりません。ところが、いつも範囲を前提にしていると、問題を分類する力が育ちにくい。

この問題は比なのか、速さなのか、場合の数なのか。どの条件を使えばよいのか。どこから手をつければよいのか。

そういう判断を、その場で自分でしなければならないのが入試です。

だから、6年生は、テストの受け方を変えていく必要があります。

組み分けテストのために勉強するのではなく、組み分けテストを使って自分の力を測る。

この発想に切り替えるのです。

案外、上位の子どもたちは、もうそういう受け方をしています。

直前に範囲を必死に詰め込むというより、普段の勉強を淡々と続け、その結果としてテストを受けている。もちろん見直しはします。間違えた問題も直します。しかし、毎回の組み分けに振り回されて、勉強の軸を変えることはあまりありません。

それは、入試に向けて必要な力が何かを、ある程度わかっているからです。

では、組み分け対策から手を引くとき、何をすればよいのでしょうか。

まず、これまでのテスト結果を見直してください。

ただし、偏差値やクラスを見るのではありません。見るべきなのは、失点の中身です。

計算ミスなのか。問題文の読み落としなのか。知識不足なのか。解法が思いつかなかったのか。時間が足りなかったのか。

同じ失点でも、原因によって対策はまったく違います。

計算ミスが多いなら、毎日の計算練習の質を上げる。問題文の読み落としが多いなら、線を引く、条件を整理する、最後に聞かれていることを確認する、といった読み方の練習をする。知識不足なら、理科や社会の基本事項を計画的に戻す。時間が足りないなら、解く順番や見切る判断を練習する。

このように、テストは「次のクラスのため」ではなく、「入試までに何を直すかを見つけるため」に使うのです。

次に、志望校の出題を少しずつ見始めることです。

まだ過去問を本格的に解く段階ではないとしても、問題の雰囲気、分量、時間、設問の作り方を知ることは大切です。

自分の志望校では、どんな力が問われるのか。算数は速さが必要なのか、図形が重いのか。国語は記述が多いのか、選択肢が細かいのか。理科社会は知識中心なのか、資料や実験を読む力が必要なのか。

それを知らないまま、塾の組み分けだけを追いかけていると、夏以降に慌てることになります。

そしてもうひとつ大事なのは、普段の勉強を「範囲対策」から「力をつける勉強」に変えることです。

算数であれば、できなかった問題をもう一度自分で解き直す。解説を読んで終わりにしない。式の意味を説明できるようにする。

国語であれば、答え合わせだけでなく、なぜその答えになるのかを本文に戻って確認する。

理科社会であれば、暗記で終わらせず、なぜそうなるのか、どこで間違えやすいのかを整理する。

こういう勉強は、すぐには組み分けの点数に反映されないかもしれません。

しかし、入試に近づくほど効いてきます。

6年生の勉強で大事なのは、毎回のテストで少しでも点を上乗せすることではありません。

本番までに、どれだけ自分で考え、判断し、解き切る力を育てられるかです。

組み分けテストは大事です。マンスリーテストも無視する必要はありません。

ただ、それを最終目標にしてはいけない。

6年生は、そろそろ目標を入試に切り替える時期です。

クラスを守るための勉強から、合格するための勉強へ。

範囲を追いかける勉強から、どんな問題が出ても対応するための勉強へ。

その切り替えができるかどうかで、これからの伸び方は大きく変わっていきます。

組み分け対策から手を引くのは、手を抜くことではありません。

むしろ、本当の入試準備に入るということです。

6年生は、もうその段階に来ています。

子どもの疲れを見逃さない

受験勉強が進んでくると、子どもたちはだんだん疲れてきます。

もちろん、勉強ですから多少のがんばりは必要です。毎日決めたことを続ける、難しい問題にも向き合う、できなかった問題をもう一度やり直す。そういう積み重ねが力になることは間違いありません。

ただ、その一方で、子どもの疲れを見逃さない、ということも大事です。

子どもは、大人が思っているほど自分の状態をうまく説明できません。

「疲れているの?」と聞いても、「別に」と答えるかもしれません。あるいは、本人も疲れていることに気づいていない場合があります。眠い、集中できない、すぐにイライラする、字が乱れる、簡単な計算を間違える。そういう形で、疲れが表に出てくることが多いのです。

ところが、親の側も忙しい。塾の予定、宿題、テストの結果、偏差値、志望校対策。見なければいけないものがたくさんあります。そうすると、つい「まだ終わっていない」「もっとやらないと」という方に意識が向いてしまう。

しかし、疲れている子にさらに量を積ませても、あまり効果は上がりません。

机には向かっているけれど、頭に入っていない。問題は解いているけれど、ただ手を動かしているだけ。復習しているつもりでも、実は同じところを何度も読み流しているだけ。そういう時間が増えてくると、勉強時間は長くなっているのに、成果は出にくくなります。

だから、子どもの様子を見ることが大切です。

たとえば、いつもより反応が鈍い。食事中にぼんやりしている。朝なかなか起きられない。塾から帰ってくると、すぐに横になってしまう。ちょっとしたことで涙が出る。そういう変化が出てきたら、「気合いが足りない」と見る前に、まず疲れているのではないか、と考えてみる必要があります。

受験勉強は、短距離走ではありません。

一時的に無理をしても、その後に大きく崩れてしまえば、結局遠回りになります。特にこれから夏に向かって、塾の授業も増え、課題も増え、模擬試験も入ってきます。ここで疲れをためすぎると、本来力を伸ばしたい時期に、集中力が落ちてしまうことになりかねません。

では、疲れていると感じたときに、どうすればよいか。

まず、全部をやろうとしないことです。

今日やるべきことの中で、本当に大事なものを絞る。計算だけはやる。漢字だけはやる。直しは2問だけ丁寧にやる。そういう形で、量を減らしても質を落とさないようにするのです。

休ませることも、勉強の一部です。

早く寝る。少し散歩をする。何もしない時間をつくる。好きなことを少しやる。そういう時間があるから、また机に向かう力が戻ってきます。休んだら遅れる、と思いがちですが、疲れたまま続ける方が、実は遅れる原因になることも多いのです。

また、親の声かけも大切です。

「どうしてできないの?」ではなく、「今日は少し疲れているかな」と受け止める。

「全部やりなさい」ではなく、「今日はここまでにしよう」と区切る。

そういう言葉で、子どもはずいぶん楽になります。

子どもが安心して休める家庭であることは、受験勉強において大きな力です。

もちろん、いつも休んでばかりでは困ります。けれども、本当に疲れているときに、ちゃんと休ませてもらえる。自分の状態を見てもらえている。そう感じられることは、子どもにとって大きな支えになります。

受験勉強で大事なのは、最後まで続けられることです。

そのためには、がんばらせるだけではなく、疲れを見逃さないこと。無理をしているサインに早く気づき、必要なら勉強の量やペースを調整すること。

子どもの力を伸ばすためには、勉強を増やすことばかりが答えではありません。

今の子どもの状態をよく見て、必要なときには休ませる。その判断ができることも、受験を支える大事な親の役割なのです。

先生の予約

個別指導では、どうしても「先生の予約」という問題が起こります。

特に夏期講習や冬期講習のように、みんなが同じ時期に授業を増やしたいと考えると、人気のある先生の時間はすぐに埋まってしまいます。いつもの先生に見てもらいたい、できればこの曜日、この時間がいい、と思っていても、なかなか希望通りにはいかないことがあるでしょう。

ただ、これは個別指導である以上、ある程度避けられない問題でもあります。

ひとりの先生が同時に見ることのできる生徒は限られています。集団授業であれば、ひとつの教室に多くの生徒を入れることができますが、個別指導ではそうはいきません。子どもの状況を見て、今何がわかっていて、どこでつまずいているのかを確認しながら進めるからこそ、先生の時間には限りがあるのです。

ですから、先生の予約が取れないからといって、すぐに「この塾はだめだ」と考える必要はありません。むしろ大事なのは、その限られた時間をどう使うかです。

たとえば、先生にすべてを教えてもらう、という考え方にしてしまうと、授業時間はいくらあっても足りません。しかし、家庭でできることを先に進めておき、わからないところ、判断に迷うところ、答案の直し方などを先生に見てもらう形にすれば、短い時間でも効果は上がります。

先生の役割は、すべてを最初から説明することだけではありません。今の勉強の方向が合っているか、優先順位は間違っていないか、子どもがどこで止まっているのかを見つけることも、大事な役割です。

特に受験学年になると、あれもこれもと授業を増やしたくなります。しかし、授業を増やせば成績が上がる、というものでもありません。授業を受ける時間が増えれば、その分、自分で考える時間、復習する時間、やり直す時間は減っていきます。

だから、先生の予約が取りにくいときほど、少し冷静に考えた方が良いのです。

本当にその授業は必要なのか。家庭で進められる部分はないのか。先生に見てもらうべきところはどこなのか。そこを整理しておくと、限られた指導時間をかなり有効に使うことができます。

また、先生が変わることを必要以上に不安に思わないことも大切です。もちろん、子どもとの相性はあります。しかし、別の先生に見てもらうことで、違う角度から課題が見えることもあります。同じ問題でも、説明の仕方が変わると、子どもがすっと理解することもあるのです。

大事なのは、「この先生でなければだめ」と決め込みすぎないことです。もちろん信頼できる先生に継続して見てもらうことは大切ですが、それ以上に、子どもが自分で勉強を進められる形を作っていくことの方が、長い目で見れば大きな力になります。

先生の予約は、確かに悩ましい問題です。

しかし、それは同時に、勉強の進め方を見直すきっかけにもなります。先生に頼るところと、家庭で進めるところを分ける。授業を受けることよりも、授業で何を解決するかをはっきりさせる。そういう使い方ができるようになると、個別指導の効果はずいぶん変わってきます。

先生の時間は限られています。だからこそ、その時間をどう生かすかを考えることが大事なのです。

今のやり方が合わないと感じる場合は、家庭で進めやすい形に切り替えることも大事です。こちらもあわせてご覧ください。