中学受験辞典

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田中貴著『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』Kindle版 表紙

新刊「中学受験で子どもと普通に幸せになる方法」のお知らせ

Kindle版『中学受験で子どもと普通に幸せになる方法』を刊行しました。

中学受験の準備は、ずいぶん早く始まるようになりました。塾に入る学年が早くなり、課題も増え、毎月の組み分けの成績に親子で振り回されてしまうことも少なくありません。

しかし、早く塾を始めれば楽になるわけでも、授業の日数を増やせば勉強が進むわけでもありません。受験までの時間が長くなった分、子どもが消耗してしまうこともあります。

この本では、「子どものため」と思って陥りやすい五つの思い込みから、受験準備を始める時期、学校別対策、公開模試と個別指導の使い方、親の関わり方までをまとめました。

大事なのは、みんなと同じやり方に合わせることではなく、その子に合った受験を組み立てることです。中学受験の結果だけで、子どもの幸せが決まるわけではありません。だからこそ、親子が受験のために苦しくなりすぎない進め方を考えていただきたいと思います。

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お役立ていただければ幸いです。

偏差値は合格ラインを超えているが、過去問がとれない

という子がたまにいます。

親としては、合格ラインは超えているからと安心したいところではあるのですが、こういうタイプが一番危険です。

というのも、摸擬試験の偏差値というのは、いろいろな要素を盛り込んだ1種類の試験で、すべての学校を統計的に判定するものです。

しかし、そのいろいろな要素を盛り込んだ1種類の試験が、志望校の過去問と食い違っていれば、それは合格しない、と考えた方が良いでしょう。

逆のタイプもいます。偏差値はとれていないが、過去問はできる。これは逆に合格しそうだ、と考えて良いのです。

摸擬試験の偏差値自体は統計的に出すことだから、その考え方は間違ってはいません。

ただ、摸擬試験の中身と、過去問の出題傾向が大きく違う場合は、摸擬試験の偏差値はあくまで参考程度にしておくべきでしょう。

差が開くのはやさしい問題

試験中は、どうしても難しい問題が気になります。何とか解こうとして、そこへ気持ちが向く。それは無理もありません。難しい問題ができれば、ずいぶん力がついたようにも感じられるでしょう。

しかし、実際の入試で差がつくのは、難しい問題とは限りません。できる生徒が少ない問題なら、解けなかった子も多い。そこで点が取れなくても、差はそれほど開かないのです。反対に、みんなができそうな問題を落とせば、その失点で確実に離されます。入試で点数をまとめるには、取れそうな問題をきちんと取る方が大事です。

保護者は、難しい問題ができたかどうかに目を向けがちです。難問が解ければうれしいし、解けなければ力が足りないように思えるかもしれません。ただ、答案について考えるなら、先に確かめたいのは、やさしそうな問題を落としていないかどうかです。難問への挑戦ばかりを気にすると、本当に差がついた失点が隠れてしまいます。

子どもも同じです。できそうだと思った問題を軽く扱い、難しい一問に長く気持ちを残してしまえば、前半で取れるはずだった点が残りません。難問が解けなかったことより、やさしい問題で失点したことの方が苦しい。そう考えると、試験でどこに注意を向けるかも変わってきます。

最初のやさしそうな問題こそ、本当に気を付ける。前半をノーミスで進められれば、合格が近づきます。

塾の授業は有益な時間になっているか?

塾に通っていれば、それだけで力がつくわけではありません。

当然のことながら、塾には宿題も課題もあります。授業でわからなかった問題を自宅でどう復習するか。出された課題をどこまでやり切るか。そのひとつひとつの積み重ねで、できるようになるか、ならないかが決まってきます。

ですから、塾ももちろん子どもたちにやらせようとします。宿題をチェックしたり、声をかけたり、いろいろな形で働きかけてきたでしょう。

しかし、この時期になってもまだエンジンがかからない。やると決めたことをやらない。宿題も提出しない、復習もしない、ということが続くと、だんだん扱いが変わってきます。

また宿題をやっていないことがわかっても、それほど強く言われなくなる。そのうち、細かいチェックそのものがなくなっていくかもしれません。

なぜなら、この時期の塾は、しっかり勉強している子どもたちを前に進めなければならないからです。

授業のペースも、だんだん頑張っている子に合わせるようになります。これはある意味当然でしょう。やるべきことをやっている子どもたちの時間を、そこで止めるわけにはいかないからです。

クラス数の多い大きな塾であれば、なおさらです。全員に同じように細かく手をかけることは難しくなります。

だから、ここで一度確認してほしいのです。

今、塾で過ごしている時間は、本当に子どもの力をつける時間になっているでしょうか。

塾には行っている。授業も受けている。しかし、宿題ができていない。復習も十分ではない。授業でわからなかったことが、そのままになっている。

それでは、毎週かなりの時間を塾に使っていても、成果につながらない可能性があります。

そして面談になって初めて、志望校について「さすがにそこは難しいでしょう」という話になってしまうこともあるでしょう。

「塾に行っているから大丈夫」ではなく、実際に何ができるようになったのか。過去問の点数は上がっているのか。苦手だった分野は改善しているのか。

塾の授業が今、本当に力をつけるために役立っているのかを、成果と照らし合わせて考えてみてください。

東京、神奈川の入試まで、もう100日余りです。

もし今のやり方で成果が出ていないのであれば、「もう少し様子を見る」時期ではありません。何を減らし、何を増やし、どこに時間を使うのか。

今こそ、具体的に手を打つ時期だと思います。