問題文が読み切れていない

算数の問題を見ていると、「考え方は分かっているのに、なぜか答えが違う」ということがあります。

その原因をたどっていくと、計算力の問題ではなく、実は問題文が最後まで読み切れていないということが少なくありません。

子どもたちは、問題文を読んでいないわけではありません。本人はちゃんと読んでいるつもりです。ところが、途中まで読んだところで、

「あ、これは前にやった問題だ」
「これは割合の問題だ」
「これは速さの問題だ」

というように、先に型を決めてしまうことがあります。

もちろん、これまでに学んだことと結びつけて考えるのは大事なことです。しかし、そこが早すぎると、問題の条件を最後まで確認しないまま解き始めてしまう。

すると、少しだけ条件が違っていたり、問われているものが違っていたりするところを見落としてしまいます。

たとえば、割合の問題で「もとの量」を求めるのか、「比べる量」を求めるのか。速さの問題で「分速」を答えるのか、「時速」を答えるのか。売買損益の問題で「原価」を聞かれているのか、「定価」を聞かれているのか。

考え方としてはかなり近いところまで行っているのに、最後の読み取りがずれているために、答えが違ってしまうのです。

これは、非常にもったいないミスです。

特に組み分けテストや模擬試験では、時間に追われます。だから子どもたちは、少しでも早く解こうとします。早く解こうとすること自体は悪いことではありませんが、その結果として問題文を飛ばし読みするようになると、かえって点数は安定しません。

まず大事なのは、問題文を読む段階で、すぐに手を動かさないことです。

最後まで読んで、何を聞かれているのかを確認する。必要であれば、大事な数字や条件に線を引く。単位や「何を求めるか」に丸をつける。そういうひと手間を入れるだけで、ミスはかなり減っていきます。

ただし、線を引けばよいというものでもありません。何でもかんでも線を引いてしまうと、結局どこが大事なのか分からなくなります。

線を引くべきなのは、主に次のようなところです。

ひとつは、数量の条件。もうひとつは、単位。そして最後に、何を答えるのかという問いの部分です。

特に最後の一文は大事です。「何を求めなさい」と書いてあるのかを、解き始める前と、答えを書く前の二度確認するくらいでちょうど良いでしょう。

また、答えが出たあとに、もう一度問題文に戻る習慣も必要です。

子どもたちは、答えが出るとそこで安心してしまいます。しかし、入試や模試で点になるのは、考えた途中ではなく、最終的に書いた答えです。

せっかく正しい方針で解いていても、答えるものを取り違えていれば点にはなりません。計算は合っているのに、単位が違う。人数を聞かれているのに割合を答えている。残りを聞かれているのに使った分を答えている。こういうミスは、最後に問題文を読み返せば防げることが多いのです。

家庭で勉強を見ていると、つい「なぜこんなところを間違えるの」と言いたくなることがあります。しかし、そこで叱っても、読み方はなかなか変わりません。

むしろ、どこで読み違えたのかを一緒に確認してあげる方が効果があります。

「ここでは何を聞かれていた?」
「この数字は何の数字だった?」
「最後に答えるものは何だった?」

そうやって、問題文に戻る練習を積み重ねていくことです。

問題文を正確に読む力は、すぐに身につくものではありません。しかし、ここが安定してくると、算数の点数は大きく崩れにくくなります。

難しい問題ができるようになることも大事ですが、その前に、いま解けるはずの問題を確実に取ること。そのためには、問題文を最後まで読み切り、答えを書く前にもう一度確認する。

この基本的な習慣を、ぜひ日々の学習の中で意識していきたいところです。

ひとりで勉強できるようにする

中学受験の勉強は、どうしても親の手がかかります。

宿題の確認、丸つけ、直し、スケジュール管理、塾のプリント整理。気がつくと、子どもよりも親の方が受験勉強を動かしている、ということも少なくありません。

もちろん、最初から子どもが全部ひとりでできるわけではありません。特に小学生ですから、放っておけば予定通りに進まないこともあるし、間違い直しをいい加減にしてしまうこともあるでしょう。

だから、親の関わりは必要です。

ただし、その関わり方は、少しずつ変えていかなければなりません。いつまでも親が先回りして、全部準備して、全部確認して、全部指示を出していると、子どもは「自分で勉強を進める」という感覚を持てなくなります。

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人のことは気にしない

入試は、確かに合格者数が決まっています。ですから、広い意味では同じ学校を受ける受験生との競争です。しかし、だからといって、具体的な誰かと勝負をしているわけではありません。

たとえばテニスの試合であれば、目の前に相手がいます。その相手に勝つことが、そのまま試合に勝つことになります。しかし入試は、そういう一対一の勝負ではありません。自分がその学校の求める力に届いているかどうかが問われるのであって、隣の誰かを負かすことが目的ではないのです。

したがって、「あの子に勝つ」とか「同じ学校を受ける子より上に行く」という意識は、あまり持たない方が良いでしょう。たとえ同じ学校を受ける友だちがいたとしても、「いっしょに入ろう」で良いのです。相手が落ちて自分が入れば良い、という考え方をしてしまうと、余計な不安や焦りが増えて、かえって準備が落ち着かなくなります。

これは、周りの大人も同じです。

「○○くんはがんばっているのに、君は何をしているんだ」

こういう言い方は、あまり良い結果を生みません。子どもは比較されると、自分の課題を見るよりも、相手のことばかり気にするようになります。そして、負けたくないという気持ちが強くなる一方で、何を直せば良いのか、どこを伸ばせば良いのかが見えにくくなってしまうのです。

比較するなら、過去の自分と比べるのが一番です。

「前はここで間違えていたけれど、今回はできるようになった」

「この単元は前より良くなっている」

「ただ、計算ミスはまだ減らさないといけない」

そういう見方で十分です。今の自分に何が足りないのか。どこが伸びてきたのか。それを具体的に見ていく方が、受験勉強はずっと整理しやすくなります。

入試で大事なのは、誰かを気にすることではありません。合格するために必要な力を、ひとつずつ身につけていくことです。

周りの子がどうしているか、どの塾で何番か、誰がどこを受けるのか。そういうことは、気にし始めればきりがありません。しかし、それを気にしたところで、自分の点数が上がるわけではないのです。

見るべき相手は、他人ではありません。昨日までの自分です。

昨日より少しできるようになる。先月より少し解ける問題を増やす。前回よりもミスを減らす。そうやって積み重ねていくことが、結局いちばん確かな受験準備になります。