やるべき勉強を可視化する

受験勉強を進めていると、親としてはどうしても不安になります。

塾には行っている。宿題もやっている。テストも受けている。けれど、本当に力がついているのか。どこができて、どこがまだ弱いのか。そのあたりが見えないまま進んでいると、どうしても「このままで大丈夫だろうか」という気持ちになってしまいます。

だから大事なのは、やるべき勉強を可視化することです。

ただ「がんばろう」「もっと勉強しよう」と言っても、子どもにはなかなか伝わりません。何を、いつまでに、どのくらいやるのかが見えていないと、本人も動きにくいのです。

例えば算数であれば、平面図形、速さ、比と割合、場合の数、規則性、数の性質、立体図形、文章題など、分野ごとに状況を整理してみる。国語であれば、読解、記述、語句、漢字。理科や社会であれば、単元ごとに「覚えている」「あやしい」「もう一度やる必要がある」と分けてみる。

そうすると、漠然とした不安が、具体的な課題に変わります。

「算数が心配」ではなく、「速さのグラフと場合の数をもう一度やる必要がある」。

「理科が弱い」ではなく、「電気と天体の確認が必要だ」。

このように見えてくると、やるべきことはずっとはっきりします。

塾のカリキュラムに沿っていると、どうしても次から次へと新しい単元や課題が出てきます。もちろん、それについていくことも大事です。しかし、子どもによって得意不得意は違います。塾のペース通りに進んでいるからといって、本人に必要な勉強が十分にできているとは限りません。

むしろ、今の時期は一度立ち止まって、これから何を優先するのかを整理することが必要です。

そのためには、紙に書き出してみるのが一番です。教科ごと、分野ごとに、今できていること、まだ不安なこと、もう一度やるべきことを並べてみる。すると、全部を同じ重さでやる必要はないことが分かります。

すでにできているものに時間をかけすぎる必要はありません。逆に、できないまま放置されているところは、早めに手を入れなければいけない。そういう判断ができるようになります。

子どもにとっても、やるべきことが見えることは大きな助けになります。

「今日はこれをやればいい」「今週はここを直せばいい」と分かれば、勉強に向かいやすくなります。終わったものに印をつけたり、できるようになった分野を消していったりすれば、少しずつ前に進んでいる実感も持てるでしょう。

受験勉強でつらいのは、終わりが見えないことです。何をやってもまだ足りないように感じる。どれだけやっても不安が消えない。そういう状態が続くと、親も子も疲れてしまいます。

だからこそ、やるべき勉強を見える形にしておくことが大切なのです。

もちろん、すべてを完璧に管理する必要はありません。細かくしすぎると、かえって窮屈になります。大事なのは、今何を優先すべきかが分かる程度に整理することです。

塾の先生に相談するときも、ただ「成績が心配です」と言うより、「この分野ができていないように見えるのですが、どう進めればよいでしょうか」と聞いた方が、具体的なアドバイスを受けやすくなります。

親がすべきことは、子どもの勉強をすべて管理することではありません。むしろ、子どもが自分で状況を分かるようにしてあげることです。

何ができて、何がまだできないのか。

次に何をやればいいのか。

それが見えてくると、子どもは少しずつ自分の力で勉強を進められるようになります。

塾のペースに追われるだけではなく、本人にとって本当に必要な勉強を見つける。そのためにも、まずはやるべき勉強を可視化してみてください。

塾のペースからいったん離れて、確実に自信を取り戻す方法もあります。こちらもあわせてご覧ください。

問題文が読み切れていない

算数の問題を見ていると、「考え方は分かっているのに、なぜか答えが違う」ということがあります。

その原因をたどっていくと、計算力の問題ではなく、実は問題文が最後まで読み切れていないということが少なくありません。

子どもたちは、問題文を読んでいないわけではありません。本人はちゃんと読んでいるつもりです。ところが、途中まで読んだところで、

「あ、これは前にやった問題だ」
「これは割合の問題だ」
「これは速さの問題だ」

というように、先に型を決めてしまうことがあります。

もちろん、これまでに学んだことと結びつけて考えるのは大事なことです。しかし、そこが早すぎると、問題の条件を最後まで確認しないまま解き始めてしまう。

すると、少しだけ条件が違っていたり、問われているものが違っていたりするところを見落としてしまいます。

たとえば、割合の問題で「もとの量」を求めるのか、「比べる量」を求めるのか。速さの問題で「分速」を答えるのか、「時速」を答えるのか。売買損益の問題で「原価」を聞かれているのか、「定価」を聞かれているのか。

考え方としてはかなり近いところまで行っているのに、最後の読み取りがずれているために、答えが違ってしまうのです。

これは、非常にもったいないミスです。

特に組み分けテストや模擬試験では、時間に追われます。だから子どもたちは、少しでも早く解こうとします。早く解こうとすること自体は悪いことではありませんが、その結果として問題文を飛ばし読みするようになると、かえって点数は安定しません。

まず大事なのは、問題文を読む段階で、すぐに手を動かさないことです。

最後まで読んで、何を聞かれているのかを確認する。必要であれば、大事な数字や条件に線を引く。単位や「何を求めるか」に丸をつける。そういうひと手間を入れるだけで、ミスはかなり減っていきます。

ただし、線を引けばよいというものでもありません。何でもかんでも線を引いてしまうと、結局どこが大事なのか分からなくなります。

線を引くべきなのは、主に次のようなところです。

ひとつは、数量の条件。もうひとつは、単位。そして最後に、何を答えるのかという問いの部分です。

特に最後の一文は大事です。「何を求めなさい」と書いてあるのかを、解き始める前と、答えを書く前の二度確認するくらいでちょうど良いでしょう。

また、答えが出たあとに、もう一度問題文に戻る習慣も必要です。

子どもたちは、答えが出るとそこで安心してしまいます。しかし、入試や模試で点になるのは、考えた途中ではなく、最終的に書いた答えです。

せっかく正しい方針で解いていても、答えるものを取り違えていれば点にはなりません。計算は合っているのに、単位が違う。人数を聞かれているのに割合を答えている。残りを聞かれているのに使った分を答えている。こういうミスは、最後に問題文を読み返せば防げることが多いのです。

家庭で勉強を見ていると、つい「なぜこんなところを間違えるの」と言いたくなることがあります。しかし、そこで叱っても、読み方はなかなか変わりません。

むしろ、どこで読み違えたのかを一緒に確認してあげる方が効果があります。

「ここでは何を聞かれていた?」
「この数字は何の数字だった?」
「最後に答えるものは何だった?」

そうやって、問題文に戻る練習を積み重ねていくことです。

問題文を正確に読む力は、すぐに身につくものではありません。しかし、ここが安定してくると、算数の点数は大きく崩れにくくなります。

難しい問題ができるようになることも大事ですが、その前に、いま解けるはずの問題を確実に取ること。そのためには、問題文を最後まで読み切り、答えを書く前にもう一度確認する。

この基本的な習慣を、ぜひ日々の学習の中で意識していきたいところです。

ひとりで勉強できるようにする

中学受験の勉強は、どうしても親の手がかかります。

宿題の確認、丸つけ、直し、スケジュール管理、塾のプリント整理。気がつくと、子どもよりも親の方が受験勉強を動かしている、ということも少なくありません。

もちろん、最初から子どもが全部ひとりでできるわけではありません。特に小学生ですから、放っておけば予定通りに進まないこともあるし、間違い直しをいい加減にしてしまうこともあるでしょう。

だから、親の関わりは必要です。

ただし、その関わり方は、少しずつ変えていかなければなりません。いつまでも親が先回りして、全部準備して、全部確認して、全部指示を出していると、子どもは「自分で勉強を進める」という感覚を持てなくなります。

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