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男子校、女子校の「落ち着き」

男子校のメリットとして、よく言われることがあります。

それは、中学生のうちに精神年齢の高い女子にやり込まれずに済む、ということです。

確かにこの時期は、一般的に女子の方が男子よりも精神的に大人であることが多い。言葉のやり取りにしても、人間関係の作り方にしても、男子の方が幼く見える場面は少なくありません。

共学校であれば、そういう女子たちの中で、男子が少し気後れしたり、萎縮したりすることもあるでしょう。もちろん、それも大事な経験ではあるのですが、男子校の先生方は、「そこを気にせず、男子が男子らしくのびのびできるところが男子校の良さです」と話されます。

なるほど、と思います。

では、女子校のメリットは何でしょうか。

女子校の先生方からよく聞くのは、校内に恋愛沙汰が持ち込まれにくいということです。

これもまた、確かにそうでしょう。

中学生にもなれば、彼氏がいる、彼女がいる、誰が誰を好きだ、という話は自然に出てきます。共学校であれば、それが学校生活の中に入り込んでくることもある。もちろん、それも成長の一部ではありますが、時には友人関係や学習の集中に影響することもあります。

女子校では、少なくとも校内の日常にそういう要素が入りにくい。その分、学業や学校行事、クラブ活動に集中しやすい、という面はあるでしょう。

ただし、それが6年間続くわけです。

ですから、最後までそうした話にあまり巻き込まれず、自分のペースで学校生活を送る子もいます。一方で、「そんなことはしていられない」とばかりに、他校との交流や部活動、文化祭などを通じて、外に世界を広げていく子もいる。

結局のところ、男子校にも女子校にも、それぞれの良さがあります。

男子校は、男子が必要以上に背伸びをせず、少し幼さを残したままでも安心して成長できる環境になりやすい。女子校は、女子が恋愛や異性の目を過度に意識せず、自分たちの世界の中で力を伸ばしやすい。

もちろん、すべての学校がそうだというわけではありません。共学校にも共学校の良さがありますし、別学校が合わない子もいるでしょう。

しかし、別学校には別学校なりの落ち着きがあります。

思春期の6年間を、少し守られた環境の中で、自分のペースで過ごす。その意味では、男子校、女子校という選択には、今でも十分な意味があるのだと思います。

理科計算を出す学校、出さない学校

理科の計算問題が苦手、という子は少なくありません。

特に6年生になると、溶解度、気体の発生、中和、電気、力のつり合いなど、いろいろな分野で計算が出てきます。算数で比や割合を勉強しているとはいえ、それを理科の条件にあてはめて考えるとなると、また別の難しさがある。

だから、理科計算でつまずく子が出てくるのは、ある意味当然です。

ただ、ここで考えておきたいのは、すべての学校が理科計算を同じように重視しているわけではない、ということです。

学校によっては、かなりしっかり計算問題を出してくるところがあります。例えば、物理や化学の分野で、条件を整理し、比例関係を使い、場合によっては何段階か計算を重ねる問題を出す。こういう学校では、理科計算を避けて通ることはできません。

一方で、あまり理科計算を出さない学校もあります。

もちろん、まったく計算が出ないというわけではありません。基本的な割合やグラフの読み取り、表の数値を使った簡単な計算ぐらいは出るでしょう。しかし、受験生が大きく時間を取られるような本格的な計算問題は、それほど出さない学校もあるのです。

なぜそうなるのか。

ひとつには、理科の計算問題は正答率が低くなりやすい、という事情があります。難しく作れば作るほど、ほとんどの受験生ができない問題になってしまう。そうなると、問題としては出しても、合否を分ける材料になりにくい場合があるのです。

また、学校によって理科で見たい力が違います。計算力を見たい学校もあれば、知識を正確に使えるか、実験や観察の意味を理解しているか、文章や図表から考えられるかを重視する学校もあります。

ですから、理科計算が苦手だからといって、ただちに理科全体がだめだと考える必要はありません。まず志望校がどの程度、理科計算を出しているのかを見ておくことが大事です。

過去問を数年分見れば、かなりはっきりします。

毎年のように電気や力学、化学計算が出ている学校なのか。出るには出るが、基本的な計算にとどまっているのか。あるいは、計算よりも知識や観察、実験の考察を重視しているのか。

この違いを見ずに、ただ「理科計算をもっとやらなければ」と考えると、勉強の配分を間違えることがあります。

もちろん、基本的な理科計算はできるようにしておいた方が良いでしょう。溶解度の基本、気体の発生量、電流と抵抗、ばねやてこの基本などは、入試に出る出ない以前に、理科の理解として必要な部分です。

ただし、どこまでも難しい問題に突っ込んでいく必要があるかどうかは、志望校によって違います。

理科計算をしっかり出す学校を受けるなら、早めに対策を始める必要があります。計算の型を覚えるだけでなく、条件を整理する練習をしていく。図を書く、表にまとめる、比例関係を見つける。そういう練習が必要になります。

一方、理科計算の比重がそれほど高くない学校であれば、難問に時間をかけすぎるより、基本知識、実験の理解、グラフや表の読み取りを安定させた方が得点につながる場合があります。

入試は満点を取る試験ではありません。

特に理科は、すべての分野を完璧に仕上げようとすると時間がいくらあっても足りません。だからこそ、志望校に合わせて、どこに時間をかけるかを決める必要があります。

理科計算が出る学校なのか、出ない学校なのか。

ここをまず確認してください。その上で、必要なレベルまで練習する。必要以上に怖がらない。逆に、出る学校なのに後回しにしない。

この見極めが、理科の勉強では案外大事なのです。

今のやり方が合わないと感じる場合は、家庭で進めやすい形に切り替えることも大事です。こちらもあわせてご覧ください。

子どもの疲れを見逃さない

受験勉強が進んでくると、子どもたちはだんだん疲れてきます。

もちろん、勉強ですから多少のがんばりは必要です。毎日決めたことを続ける、難しい問題にも向き合う、できなかった問題をもう一度やり直す。そういう積み重ねが力になることは間違いありません。

ただ、その一方で、子どもの疲れを見逃さない、ということも大事です。

子どもは、大人が思っているほど自分の状態をうまく説明できません。

「疲れているの?」と聞いても、「別に」と答えるかもしれません。あるいは、本人も疲れていることに気づいていない場合があります。眠い、集中できない、すぐにイライラする、字が乱れる、簡単な計算を間違える。そういう形で、疲れが表に出てくることが多いのです。

ところが、親の側も忙しい。塾の予定、宿題、テストの結果、偏差値、志望校対策。見なければいけないものがたくさんあります。そうすると、つい「まだ終わっていない」「もっとやらないと」という方に意識が向いてしまう。

しかし、疲れている子にさらに量を積ませても、あまり効果は上がりません。

机には向かっているけれど、頭に入っていない。問題は解いているけれど、ただ手を動かしているだけ。復習しているつもりでも、実は同じところを何度も読み流しているだけ。そういう時間が増えてくると、勉強時間は長くなっているのに、成果は出にくくなります。

だから、子どもの様子を見ることが大切です。

たとえば、いつもより反応が鈍い。食事中にぼんやりしている。朝なかなか起きられない。塾から帰ってくると、すぐに横になってしまう。ちょっとしたことで涙が出る。そういう変化が出てきたら、「気合いが足りない」と見る前に、まず疲れているのではないか、と考えてみる必要があります。

受験勉強は、短距離走ではありません。

一時的に無理をしても、その後に大きく崩れてしまえば、結局遠回りになります。特にこれから夏に向かって、塾の授業も増え、課題も増え、模擬試験も入ってきます。ここで疲れをためすぎると、本来力を伸ばしたい時期に、集中力が落ちてしまうことになりかねません。

では、疲れていると感じたときに、どうすればよいか。

まず、全部をやろうとしないことです。

今日やるべきことの中で、本当に大事なものを絞る。計算だけはやる。漢字だけはやる。直しは2問だけ丁寧にやる。そういう形で、量を減らしても質を落とさないようにするのです。

休ませることも、勉強の一部です。

早く寝る。少し散歩をする。何もしない時間をつくる。好きなことを少しやる。そういう時間があるから、また机に向かう力が戻ってきます。休んだら遅れる、と思いがちですが、疲れたまま続ける方が、実は遅れる原因になることも多いのです。

また、親の声かけも大切です。

「どうしてできないの?」ではなく、「今日は少し疲れているかな」と受け止める。

「全部やりなさい」ではなく、「今日はここまでにしよう」と区切る。

そういう言葉で、子どもはずいぶん楽になります。

子どもが安心して休める家庭であることは、受験勉強において大きな力です。

もちろん、いつも休んでばかりでは困ります。けれども、本当に疲れているときに、ちゃんと休ませてもらえる。自分の状態を見てもらえている。そう感じられることは、子どもにとって大きな支えになります。

受験勉強で大事なのは、最後まで続けられることです。

そのためには、がんばらせるだけではなく、疲れを見逃さないこと。無理をしているサインに早く気づき、必要なら勉強の量やペースを調整すること。

子どもの力を伸ばすためには、勉強を増やすことばかりが答えではありません。

今の子どもの状態をよく見て、必要なときには休ませる。その判断ができることも、受験を支える大事な親の役割なのです。