まだまだ母親講座」カテゴリーアーカイブ

最終回 学力とは生きる力? 

■ここ数年、中学入試の合格点が下がってきたのは大きな疑問でした。これだけ中学受験自体が過熱化し、毎年受験率が過去最高を更新する現在、なぜ学力が下がるのか、私にも明確な答えが出せなかったのです。

■しかし、エルフィークラブ(メールマガジン)でもお話した通り、やはり子どもたちの生活が乱れているのがひとつの大きな原因のようです。最近の子どもたちの生活はテレビやテレビゲーム、インターネットのような刺激的な情報の氾濫とそれにともなう夜型生活によってかなり成長をゆがめられているようなのです。

■国語の読解力ひとつをとっても、今の子どもたちの音読はあまり上手とはいえません。なぜか。彼らが耳から得ている日本語はテレビの言語が多いのです。子どもたちは多くの情報を耳から得ます。したがってはやっているこどばはすぐ覚えます。「ヤバクない?」などのことばは今の子どもたちからすぐ聞くことができるでしょう。

■しかし、子どもたちの読む文章はこれとはまったく違っています。だから読めない、わからないということになるわけです。しかも塾に毎週3日も4日も通い、かつ夜遅くまで勉強する。しかし、すでに子どもたちの限界は超えています。だから勉強していても、あまり頭に入っていかない。「課題が終わらない」とあせる一方でやらせる問題は増加の一途をたどっているのです。

■子どもたちは解きたいと思ったり、おもしろいと思ったことについてはストレートに感情をあらわします。したがってそういう気持ちが強ければ強いほど、しっかりと考えるし学力もついていくのです。ただ与えるだけでなく、本人がほしがるようにする工夫が、今一番求められているのではないでしょうか?

長い間お読みいただき、ありがとうございました。はたまた母親講座は今回をもちまして最終回とさせていただきます。次のシリーズは「それでも母親講座」と題して近日、またスタートする予定ですので今後ともお役立ていただければと思います。

(田中 貴)

(2006年4月20日)

第49回 本当に終わるの? 

■2年前から手帳を使って計画的に学習する必要性をお話をしてきています。「これで成功する!母と子の合格手帳」を書いたのも同じ動機でした。指導要領の改訂が終わって週休2日制が始まったとき、中学受験がまた過熱するのではないかと予想しました。加熱すれば、以前にもあったことですが、無理がまかり通るようになります。塾も、信じられなうくらいの課題やら宿題を出すのです。そしてお母さんは「何とか終わらせなきゃ」と子どもたちに勉強させようとします。

■私は「本当に終わりますか?」と母親講座でお話をしてきたのですが、「できなければ合格しない」という不安感が先に立ってなかなかそのスパイラルから抜けられなくなるのです。負のスパイラルといってもいいでしょう。課題が終わらない→やらせようとする→やる気をなくす→成績が悪くなる→自信をなくすという循環です。

■終わるか、終わらないかは計画を立ててみれば一目瞭然です。ただ計画表というのは、一度作ってしまうとそれで終わってしまうことが多いのですが、実際に子どもたちの生活は毎週同じではありません。友達と約束して遊びに行くこともあるだろうし、家族で出かけることもあるだろう、だから常に計画は「変えていかなければいけない」ものなのです。しかしそれをお母さんはあまり考えず、一回立てた計画ができないとまた子どもたちに「やらせよう」としてしまいます。

■結果として気ばかりあせってしまい、お母さんと子どもが1対1で家の中で対峙してしまう、そういうSOSをたくさんメールで頂戴しました。だから手帳を作って親と子が計画を立てて、情報を共有してもらうことが必要だと思ったのです。お母さんも子どもの学習計画表を持って考えれば「これは終わらないわ」と思うだろうし、だから優先順位をつけて「できないものは最初から手を付けない」ということもできるでしょう。何回でも計画を作り直して(これがデイリープランの根本です。)やるべきことを確実にこなしていかないと子どもたちが無駄な時間をすごしてしまいます。

■新学期が始まって、また「終わらない」と悩まれているご家庭があるのではないかと思います。ぜひ一度計画表を書いてみてください。「本当に終わるの?」終わりっこないことをやらせても、効果はまったく上がりません。

(田中 貴)

(2006年4月13日)

第48回 比と方程式 

■6年生の算数では、比の学習が中心になってきました。これまでつるかめ算、旅人算などの文章題の解き方を学習してきましたが、これらの問題はほとんどを比で解くことができます。

■比はむしろ一次方程式に近く、5xとおくところを⑤とおいて方程式を立てるようなものなのです。例題で考えてみましょう。「A:B=3:2でお金を持っています。A君が1000円もらったので、二人の所持金の比は2:1になりました最初、B君はいくらもっていましたか。」 B

■この問題はいろいろなとき方があるでしょう。が最初の比を③:②とおくと(③+1000):②=2:1という式ができあがります。したがって内項の積=外項の積ですから②×2=③+100から④=③+1000になりますので①は1000円、したがって②=2000円で答えは2000円となるのです。

■ただこういう話をすると、子どもたちに方程式を教えてしまう方がいらっしゃいます。方程式と比は似て非なるものです。方程式を理解させるためには、正負の数、移項などを学習しなければなりません。ですから教えてあげるのなら、そこからしっかり理解させてください。「これを右に移すと」なんて言われても、その場ですぐわかりませんから当然、時間がかかるはずです。それよりはしっかり比として理解させた方が良いでしょう。解き方は明らかに同じです。ただ、子どもの理解の仕方は方程式と違いますから注意が必要です。

■ただ方程式をしっかり理解できるのならそれはそれで、武器になるでしょう。使いこなせるかどうかが問題なのであって、「その武器を使ってはいけない」わけではありません。記述式で方程式を書いたからといってそれで減点になることはありません。覚える以上は、小手先の理解ではなく、しっかり理解できるように練習すべきでしょう。できるようになったら堂々と使ってください。

(田中 貴)

(2006年4月9日)