適性学習量

「1週間にどのくらいの問題をこなせばよいのでしょうか」というご質問を、よくいただきます。

しかし、これは一概には決められません。子どもによって違うからです。したがって、「これだけやれば大丈夫」というような、共通の基準があるわけではないのです。

たとえば算数で、その週にひとつのテーマを学ぶとしましょう。普通は、まず例題があり、基本問題があり、それを応用した練習問題が続いていくはずです。

ところが、ある子にとっては、その基本を理解するだけでもなかなか大変なことがあります。そういう場合に、1週間で練習問題まで全部進もうとすると、どうしても無理が出やすい。とりあえず手をつけることはできても、本当の意味で理解するところまで行かないことが多いでしょう。

一方で、別の子にとっては、基本はすぐにわかる。例題も基本問題もそれほど苦にならず、練習問題までかなり進めてしまうこともあります。

もちろん、そこには力の差があるのかもしれません。試験であれば、頭の回転が速い子が有利になる場面は確かにあるでしょう。

しかし、入試は初めて学ぶことをその場で競うものではありません。しっかり準備をして、できるようになったところで競争するのです。ですから、単に頭の良い子だけが勝つ勝負ではないのです。

だから、最初の段階で基本を理解するのに時間がかかる子は、まず基本をしっかり身につければいいのです。練習問題まで進めなかったとしても、そこで慌てる必要はありません。基本が本当に理解できたら、次の機会に練習問題に進めばよいのです。

最初のうちは、できる量の多い子との差が広がっていくように見えるかもしれません。しかし、学習する範囲には限りがあります。やがて、みんなが何度か学んだ範囲の中で勝負する時期がやってきます。そうなると、基本をていねいに身につけてきた子が、少しずつ差を詰めていくのです。

実際、毎年入試が近づくころになると、定員の2倍程度の受験生の力は、思っているほど大きくは違わなくなっていきます。

大事なことは、「今できないこと」を数えることではありません。「今がんばればできること」に集中することです。

そして、ひとつわかるようになると、理解はそこから広がっていきます。わかることが増えると、勉強は少しずつおもしろくなりますし、自信も出てきます。

もちろん、楽なことだけやっていればいいわけではありません。ある程度の負荷は必要です。負荷があるからこそ力がつく。

しかし、その一方で、今の段階では到底無理なことを追いかけ続けても、あまり実りはありません。

今の自分が、がんばってできることに集中する。その結果としてこなせる問題数こそが、その子にとっての適正な学習量なのです。