第30回 偏差値とは何か?

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■試験の結果を見ると必ず偏差値ということばがでてきます。国語の偏差値がいくつだったとか、あの学校の合格偏差値はいくつだとか、みなさんも聞いたことがあるでしょう。偏差値はみなさんが受験者全体のどこにいるかを示す値です。それなら順位を見ればわかるという人があるかもしれません。しかし例えば500番だったとして、全体の受験者数が1000人なら半分くらいですが、10000人だったらなかなか優秀です。ですからもっと簡単に位置がわかるようにした数値が偏差値なのです。

■偏差値はまず平均がスタートです。平均点はつねに偏差値50となります。つまり偏差値が50より大きければ平均を上回ったことになります。問題は平均からどのくらい離れているかですが、これは標準偏差という数値を決まった式から計算して出します。例えば平均点が240点で、標準偏差が20点だったとしましょう。そうすると平均点+標準偏差=260点になりますが、この260点が偏差値60になります。

■逆に平均点ー標準偏差=240-20=220点が偏差値40です。偏差値50~60の間に全体の34.1%の人がいて、偏差値40~50の間に同じく34.1%の人がいますから、この間に合計68.2%の人が分布することになるわけです。そうすると(100-68.2)÷2=15.9%となりますから偏差値60以上と40以下にはそれぞれ全体の15.9%がいることになるわけです。

■試験によって問題の難易度も異なりますし、また受験生の数も違います。したがって平均点や順位だけでははっきりしないので偏差値を使って得点と平均点の差をはかって全体でどのくらいの位置にいるかを計る数値なのです。

■ところが、これがだんだんひとり歩きをすることがあります。例えば合格可能性80%の偏差値が65だとすると、65以上の成績でないと絶対に合格しないとか、偏差値60の子は偏差値45の子よりも頭がいいとかいう話になるわけです。偏差値はあくまで1回の試験の結果を表示するにすぎないので、人間の能力を計る数値ではありません。あの子が68で、あの子が55だから13ポイントあの子ができる、なんてことはないのです。試験の結果がそうだっただけです。

■入試は偏差値が良ければ合格するというものではありません。偏差値が良かったのに、入試に失敗した子どもたちはたくさんいますし、逆に偏差値はあまりよくなかったけれど最後までがんばって入試に合格した子もいます。偏差値が良かったからといってうかれることなく、また悪かったからといってあきらめることのないようにしてください。これはあくまでひとつの試験の結果にすぎないのですから。

(平成17年8月2日)

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