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第48回 2005年入試を振り返る(2)

■四谷大塚入試情報センターから2005年入試資料が公開されました。
■今回は昨年と比較して四谷の80%偏差値がどのくらい変わったかを検証します。しかしデータを手にして、あらためて難しくなったなあと感じます。

■2月1日男子校

6ポイント 淑徳1B
5ポイント 成城学園、玉川学園
4ポイント 桐朋、世田谷学園、成城、明大中野八王子、埼玉大付、工学院大附1B
3ポイント 巣鴨、逗子開成、湘南学園、高輪A、多摩大目黒、工学院大附1A、順天、東京成徳大B、A
2ポイント 駒場東邦、慶応普通部、海城、早稲田実業、攻玉社、城北他多数

全体では上昇校 240校 変動なし68校 低下校31校となります。 1日の低下校では郁文館、渋谷教育渋谷、日大二、武蔵などがありました。

■2月1日女子校

昨年はサンデーショックでしたので、2003年と比較してみます。
9ポイント 湘南学園
7ポイント 明大中野八王子、横浜学園、淑徳1A
6ポイント 湘南学園A、多摩大目黒、順天、淑徳1B、工学院大附1A、和洋九段女子、東京家政学院(午後)
5ポイント 香蘭女学校、実践女子学園、青稜1A、中村(特特)
4ポイント 日本女子大、田園調布学園、三輪田学園、玉川学園、桜丘、昭和女子大、麹町学園女子(午後)、 東京成徳大A、文教大附、相模女子大学2
などがあり、全体では上昇校327校、変動なし64校、低下校51校となっています。1日の低下校は桜美林、多摩大聖ヶ丘、千代田女学園、東京女学館、日大豊山女子などがありました。

■男子は調査校339校のうち、上昇校が240校、全体の70.8%の学校が合格偏差を上げたことになり、女子は調査校442校のうち、73.9%の学校が上昇したことになります。中学受験生が増加すれば、当然受験は難しくなります。したがって多くの学校の偏差値が上がるのは当たり前ですが、上位校はどちらかといえば高いところで安定していて、中堅校と呼ばれる学校群がこの2~3年急速に難しくなっています。

■これらの学校群は、非常にきめの細かい学習指導と進学指導を特徴としています。特に進学指導については早くから能力別、習熟度別のクラス編成を行い、塾や予備校以上の準備を行う体制を整えています。学校に来ているのか、塾に来ているのかわからないという話も聞こえてきますが、その分、力を伸ばそうという意思は明確で、その姿勢がご父母の評価を得ているのでしょう。

■今後もこの傾向が続く一方で、学校の二極化も鮮明になってきました。応募者が多い学校がある一方で定員割れをする学校もあるのです。受験する側としては、ますます学校の内容をしっかり吟味して学校選びをしなければならなくなったともいえそうです。

(平成17年3月13日)

第47回 2005年入試を振り返る

■四谷大塚入試情報センターから2005年入試資料が公開されました。

■今年の入試もなかなかの激戦だったようです。首都圏では今年の6年生が約29万人。昨年よりも3000人ほど減少しましたが、受験生は44700人と過去最高を記録し、受験率は15.4%まで上昇したことになります。ところがこれには公立一貫校の受験生が入っておらず、これを加えると合計46800人となり受験率は16.1%ということになりますから、かなりの生徒が中学受験をしたことになります。

■四谷大塚の対象校で東京都の応募者数が7.2%増であったのに対し、埼玉県が16.9%増、神奈川県が2%増、千葉が2%増ですから埼玉県の受験者数が伸びたことになります。東京への通学が便利になったことに加え、埼玉の私学が増えてきており、今、埼玉の入試も難しくなってきました。

■偏差値別出願状況でみると男子の場合、60以上65未満の出願者が増、55以上60未満が減、50以上55未満が増、45以上50未満が減になっていることから、若干強気受験が後退した印象を受けますが、それでも50以上の学校に全体の63.4%の生徒が出願していることを考えると、上位校の入試が厳しかったことがわかります。実際に50以上55未満の増加は著しかったので、志望を下げた割になかなか入らなかったというのが実情ではないでしょうか。

■特に1日校を下げた人が多かったようですが、これは1月校が合格者数を絞ったことにも原因があるようです。1月である程度合格を確保して2月に向かおうとしていた受験生にブレーキがかかったのではないでしょうか。1月校の中には昨年大幅に合格者を出したものの、受け入れに苦慮した学校がありました。それで今年は合格者を絞った発表になったのでしょう。これは今まで1月の学校が試し受験であったものから、実質的に進学を考慮した受験に変わってきていると考えられます。

■一方灘の試験が1月22,23日に行われた影響で、今年は関西から開成をはじめとする上位校に塾のツアーでやってきた受験生が多かったようです。結果として大量の補欠繰上りが生じています。開成に一極集中という感じですが、昨年353名だった合格者の発表が今年は382名になっており、さらに70名程度の繰上げがでています。この結果として他の学校の繰り上がりも多くなったようで、入学者確定まで今年は時間がかかっています。

■複数回入試を行った学校では、学習院、立教池袋、学習院女子などは人気が集まったようです。しかし、人気校が複数回の入試を行うことは、心理的に強気に受験する傾向に拍車をかけるケースがあります。その意味では、確実に抑えるべきところを抑える戦略がさらに必要になったと感じられる入試であったかもしれません。

(平成17年3月7日)

第46回 教え方を考える

■母親講座で理科と算数の解説をお母さんたちにしてみると、やはり子どもたちの成績はよくなる傾向がでてきます。なぜかといえば、せっかく内容を聞いたのだからお母さんとしても子どもに教えて、なるたけ子どもができるようにしたいと思うからです。

■しかし、教え方はやはり難しいだろうなと思います。例えば若い先生が教えているのを横で見ていると確かに教えているのだけれど、伝わっているかなあという感じがよくしたものです。例えば授業をやっていて、子どもたちが全員眠そうな瞬間があります。1日学校に行ってきて、あわてて帰って塾にきているわけですから、やはり眠くなるわけです。このとき、いくら怒っても眠さは消えません。

■私たち大人が仕事をしていても4時か、5時ごろはいったん眠くなるはずです。子どもたちも同じですから、そこを怒っても仕方がない。私はこの時間はよく無駄話をしていました。聞いていても、聞いていなくても勉強には関係ない話。しかし5分もすると眠い子はいったん居眠りをするので、そこから復活します。そう、眠いときは寝るしかないもの。5分も寝るといったんすっきりするんです。

■しかし、若い先生はそういうことがわからないから「気合が足りない」とか「もっと気持ちを強く持て」とか言うんですが、眠いのを解決する方法は寝ることだけです。ただ長く寝せると授業時間がなくなりますから、5分くらい寝せて、起こすのです。その間、無駄話をしていると、聞いている子は笑いますからその笑い声につられてだんだん目が覚めてきます。

■こういうのは教え方のひとつですが、問題の扱い方も当然コツがあります。例えば中和の計算問題は、水酸化ナトリウム水溶液と塩酸の問題だけ考えればよいのです。また中和させるのにどちらか一方が固定されて、片方の量を増やす方法で実験が行われるのだから、塩酸が固定されるか、水酸化ナトリウム水溶液が固定されるか、どちらかしかないのです。だからパターン化してしまって覚えます。

■こんなことは理科の先生であれば、誰でも知っていることですが、他の水溶液の中和も覚えなければいけないと考えてしまうから、難しくなるのです。これしか出ないと思ってやった方が勉強は簡単になります。ついでに言えば、めったに出ない問題はできなくてもいいし、考える力があればそれが固体が溶けている水溶液かどうかさえわかれば答えを出せるはずですから、すべてのパターンを網羅する必要もないのです。

■こういう教え方をお父さん、お母さんがマスターすると子どもの力をうまく引き出すことができます。勉強を教えるときは、ぜひ子どもの立場になって考えてみてください。子どもの可能性を引き出すことが名教師の仕事のすべてなのです。

(平成17年2月25日)