第17回 能力差

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■これまで子どもたちを教えてきて、確かに能力の差というのは、あります。電流などを教えてみると、すぐわかる子どももいれば、なかなか納得しない子どももいます。最初の段階では、この差は明らかに成績になって出てくるでしょう。

■一方で、最初はものわかりがわるくても、何度も勉強しなおして、自分の力にしてくる子どももいます。最後に力を伸ばしてくる子どもたちもまた、決して少なくはありません。すぐわかる子どもに比べれば、時間はかかるかもしれないが、一度わかったら、それまで苦労している分、忘れないので、なかなか力が落ちないのです。
■ 確かに子どもには能力差があります。しかし、入試までの時間の中では、その能力差が努力によって十分に補えると私は思っています。実際に差を埋めた子どもたちはたくさんいました。では、彼らの成功の秘訣は何だったのでしょうか。

■基本的にはあきらめないということだったと思います。自分で行きたい学校があり、その目標に向かって努力する姿勢があれば、多少能力が不足していても、勉強はカバーできるものなのです。私は、そういう意味で能力よりも、やる気の問題の方が大事だとお話してきました。そのやる気はすでに子どもたちの中にはあるのです。ただそれが表にでなければ、うまくいきません。

■そこで大切なのは、自信なのです。ですから、子どもと接するときにマイナスなことば、消極的なことばは厳に慎んだ方が良いのです。親はむしろ、子どもを積極的にさせることばを多くしていくべきです。「こんなことでは合格しない」ではなく、「こうすれば合格する」ということばを使ってください。

■子どもの能力は底知れないものがあります。あるきっかけで、俄然やる気になり、本当にあっという間に力をつけていった子どもたちを私はたくさん見てきました。そのときの子どもたちは、本当に乗っていました。けれども、乗せた人がやはりいるのです。それをぜひお母さんが担ってほしいと思います。
(平成14年6月8日)

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