月別アーカイブ: 2011年11月

そんな学校、行かせないよ

 近年、中堅校が難度を上げてきています。だから、この学校なら止まる(受かる)だろうと思っていた学校が止まらない。2月3日、4日と受験を続けなければならないのは子どもにとっても、親にとっても大変なことだと思います。本来滑り止めには二つの目的があります。実際に行ける学校を確保すること、もうひとつは勢いを取り戻すことです。まだ12歳ですから、入試では緊張します。そこで失敗すると、さらに気持ちが落ち込んでしまって力を発揮できなくなってしまうのです。ところが1校合格して「行ける学校」を確保してしまうと、気持ちが楽になってきますから、ほかの学校も合格しやすくなるのです。だから私は滑り止めについては「ガーッ」と思い切って下げるというお話をしているわけですが、これが事前にはなかなかできない。そこまで下げなければいけないのだろうか、という気持ちになってしまうからでしょう。「行くか、行かないか」は結果が出てから決めればよいことであって、まず一つ確保することが重要なのです。ところがこの戦略をぶち壊す家族がたまにいます。

「そんな学校、行かせないよ」

 誰がいうかといえば、お父さんだったり、おばあちゃんだったりするのですが、これでは滑り止めの機能が果たせません。その学校に合格しても「行けない」ということになれば、勢いを取り戻すことにはならないからです。土台、お父さんやおばあちゃんが持っている学校情報は古いのです。そんな学校、と思っている学校がかつての名門校より難しいことはいくらでもあるのです。
 
 ですから、家族のなかでも十分に話し合いをしたうえで、滑り止めに関する役割も認識してもらって話を進めてください。お母さんだけ先行してしまって、あとで家族の意見が合わずに大変だったという話もあります。ですから、慎重に考える必要があるのです。実際に試験を受けている段階では、なかなかゆっくり考えることは難しいですから、事前にしっかりシミュレーションし、計画を立てておくことが大事です。

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まずは「わかる」・「できる」から

 中学受験を始めるのはやはり親の意思が強いようです。兄弟が受験をしたので、自分も受験するのが当たり前だと思っている子はまだ良いですが、最近は一人っ子も増えてきているので、塾に行きなさいといわれるケースが多いでしょう。ところが子どもたちはまだ遊びたいし、サッカーや野球などスポーツやならいごとも続けたい。自然、受験勉強に身が入らないという子も少なくありません。
 だから大手の塾の場合は、動機付けを親にもってもらうようにするのです。そのための手段がクラス分けテストです。
「良い学校に行くためには上のクラスにいないと」
「御三家に入るためには上の3つのクラスにいないと難しいみたい」
お母さんたちのネットワークでもこんな話が出てきます。
こういう話を聞かされると、お母さんとしては何とか上位のクラスに入れようと思うばかり、がんばってしまいます。クラス分けは点数で決まります。だからいい点がとれればいい、算数や国語はちょっと勉強したところであまり点数がとれないかもしれないけれど、社会だったら点数がとれるかも、そんなことで4年ぐらいから社会に力をいれてしまったりする。しかし、受験はまだ先の話です。いまからそんなに知識ばかり増やしたところで、すぐ忘れてしまうでしょう。本来ならしっかり基礎学力をつくっていかなければいけない時期なのに、全然別のことをしてしまう――これが現状なのではないでしょうか。

 本来、勉強は「わかる」からおもしろいと感じるものなのです。テストも「できる」から楽しいわけで、「わからないこと」「できないこと」をやらされている限り、子どもたちの動機付けはできません。
 中学受験をするのは子どもたちなのですから、子ども自身が勉強に向かう動機を作っていかなければなりません。しかし、それに失敗しているお母さんが意外に多いのです。子どもが中学受験に対して真剣になるのはせいぜい小学校6年生の秋ぐらいからです。このころになれば学校のクラスの友達からも「○○中学を受ける」という話が聞こえてくるので、「自分もがんばらないと」とようやく思いはじめます。それまでの間は、受験に関してはピンときていない子のほうが多いのですから、「中学受験はあなたのためでしょう?」といっても動機付けにはならないのです。
 勉強の最大の動機付けは「わかる」「できる」と思わせることです。私は常日頃から「子どもはほめないと伸びない」とお話をしています。ほめるのはことばだけではなく、ごほうびもあれば効果的です。そんな高いものでなくてもいい、ちょっとしたごほうびが子どもたちにはうれしいものなのです。そうやって自分で勉強するくせがついてくれば、「勉強するのが当たり前」になってきて、「わかること」が楽しくなってくるはずです。

 そしてここが大事なのですが、「わかるもの」だけを最初に与えるのがよいのです。そしてできたらほめる、そして次にまたわかるものを増やしていく。子どもたちの能力もそのとき受容できる力もそれぞれ違います。そこをうまくコントロールしていかないと、子どもは伸びません。3年生や4年生のころは、テストの成績よりもその点に注意しておく必要があるでしょう。子どもはおもしろいと思ったり、楽しいと思うことに対しては積極的な関心を示すものです。それを上手に引き出してあげることが、低学年では特に大事なポイントです。

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過去問は自宅でやってください!?

 塾によって第一志望を決める時期は大きく異なります。

特に集合授業をやっている塾では、できる限り全員を同じカリキュラム上で動かしたい、という考えがあります。したがって6年生の秋、模擬試験の結果が出はじめてから、志望校を絞りはじめるのです。

こんなご相談もありました。

「大手塾に行っています。6年生の2学期から学校別指導ということになり、娘は大学附属校クラスに入りました。すでに3回の授業がありましたが、娘が受ける学校の対策問題は出てきません。先生に相談すると、『過去問は自宅でやってください』といわれるばかりです。そのクラスに通う意味がないように思うのですが、先生はどう思われますか?」

塾の論理を押し付けられているだけでしょう。一人一人の志望校に合わせた学校別対策など、大人数のクラスでできるわけがないのです。大学附属中といってもたくさんあります。その傾向が統一されているわけではありません。いろいろな塾で学校別対策といっている内容が本当に子どもの志望校にあっているのかといえば、そうではない部分もあるでしょう。

 有名校が第一志望の場合はまだ救われます。どこの塾でも合格実績に加えたいと思っていますから、専門のクラスを作ります。しかし、二番手、三番手校はどうかといえば、専門のクラスはまずありえません。何らかの形でまとめられてしまう。集合授業ではそういう方法しかとりようがないのです。だから最近は、個別指導がはやっているのです。個別なら自分の志望校の過去問を持ち込めます。わからないところは聞けるし、受ける学校の問題しかやらないので効果はあるでしょう。しかし、集合にいってかつ個別にも通うということになれば、経済的にも子どもの体力的にも大変です。

 私が数年前、自分の教室でぶつかった問題もそれと同じでした。クラスにいる6年生全員の第一志望が違うのです。だから個別に指導するしかありません。ただし、クラスは集団のままでやりました。

 すなわち、全員に違う課題を与えていくのです。第一志望にあわせて過去問が中心になりますが、個人個人で苦手な分野、学習が不十分な点が違います。だからそこを補う。ですから、同じ時間帯にある子は電気の復習をしていたり、ある子は割合をやり直したりするのです。集団にしたのは、担任が教えるということが重要だと思ったのと、子どもたちの意識の問題です。個別授業の欠点は、個人のペースになりすぎて、ほかを意識できないことです。「あいつもがんばってるんだから、僕もやんなきゃ」という意識は受験勉強には大いにプラスになります。これは集合授業ならではのメリットです。この両者を両立させるために、同じクラスのなかで違うことをさせようということになったのです。

 ただし、このやり方でもやはり1クラスの人数には制限が出てきます。たとえば30人を同時にみることはできない。せいぜい10人が上限でしょう。

 もちろん塾によっていろいろな工夫があってしかるべきです。多くの塾の場合、学校別特訓は有名校に限定されています。その分、中堅校に対する学校別対策は「傾向が似ているので」という形でまとめられてしまうケースが多いでしょう。そういう面も否定はできませんが、しかしお子さんが受験する第一志望の対策はやはり必要なことです。これをどう提供してくれるのか、しっかり塾と相談しておく必要があるでしょう。