月別アーカイブ: 2011年11月

楽しく勉強することは可能か?

 力をつけるためには勉強しなければなりません。これは当たり前の話。ただ勉強するにもイヤイヤやるのと積極的に取り組むのでは同じ時間やっていてもだいぶ結果が違います。
 子どもたちは基本的に「問題を解きたい」「わからないことをわかるようにしたい」という自然な欲望を持っています。私の算数の授業でよく「ヨーイドン問題」というのをやりますが、これはできる順番を争う競技です。ホワイトボードに問題を書いて、ひとつ条件を隠します。これがスタート。全員がノートに問題を書き終わったところでスタートの条件を書き加え、子どもたちがいっせいに解きはじめます。できた子は手をあげてマルをつける、間違えたらもう一回。その順位を競うのですが、みんな熱中してやります。気持ちが前向きになっていると、あっという間に勉強が進むし、力もつくわけですが、そういう気持ちを上手に引き出さないと、なかなか前向きに受験勉強に取り組むことができないのです。

 受験勉強を続けるためには当然、遊びをガマンしなければならない場面もありますし、つらいことも多いでしょう。しかし、それを何とか楽しいと思えるように変えていくことで勉強は進むのです。努力する、がんばる、そういう精神論がよくいわれますが、もっとシンプルに、子どもたちの「成長したい!」という欲望を上手に引き出していくことが大事になるのです。

 そのためには、常に前向きな言葉、肯定的な言葉をつかって子どもたちのやる気を引き出していかなければなりません。

 我が家の子どもたちの話をしましょう。

 二人とも中学受験をし、それぞれ志望の学校に合格しました。私は仕事柄、子どもたちにも中学を受けさせるだろうと思っていましたから、早くから準備を始めました。幼稚園の年長からうちの塾にいれていたのです。

 とはいっても週一回、90分ぐらいのものです。早くから字を覚え、算数の基礎的な力をつけるためでした。なぜ、そんなに早く始めたのかといえば、スタートがいっしょなのはここだけだからです。進学塾のカリキュラムは当然学校よりも早くなります。ですから例えば3年生で入ったとしても、すでに学校よりも難しいことをしていることになるわけで、ではどこがいっしょかといえば小学校1年、すなわち年長さんの卒園のころになるわけです。

 1週間に一回塾に行き、宿題をもらい、復習をする、そういう習慣を早くからつけました。だからすごく勉強したわけではないが、当然学校の勉強はすぐできるようになります。それが子どもたちに自信を与えました。だからいろいろなことに対しても積極的に臨むようになりました。運動も、音楽も。

 小さいとき、家ですこしずつでも勉強の面倒を見て、自信をつけていけば、それなりにできるようになり、積極的にもなります。もちろん、遊ぶことも大事です。ただ遊んでばかりではいけない、勉強もするんだということが当たり前でなければいけないのです。


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算数は時間をかけて

 よく「算数の問題はじっくり考えさせてください」というお話をします。

 子どもたちが自分で問題に取り組んでいくとき、いろいろなことを試しているうちに時間がかかってしまうことがあります。図を描いてみた、グラフにしてみた、そういう試行錯誤をやってはいるものの、実際に答えが出てこない。

「そろそろ答えを見たら?」「いや、まだ」

 こういうときは、多少時間に余裕を持って子どものすることを見ていてほしいと思います。
「だって次にやらなければいけない問題が」
 その通りですが、これまでかけた時間を有効にする意味では、ある程度結論が出るまでは時間をかけるべきなのです。その試行錯誤のなかで子どもたちはいろいろな経験を積んでいきます。
 これではだめなんだ、そうか。だめなんだという発見も大事なことなのです。そして、できる場合もあるでしょう。最終的に「だめだ、わからん」という場合もあるでしょう。そこまで来て答えや解説を見ると、それこそ水が砂にしみいるように理解が広がります。それを中途半端にさえぎって、答えを見ても十分に経験があがっていないので、理解が進まないのです。

 逆に鉛筆を動かすこともなく、ただじっと問題を見ている子がいます。その子がよほどの天才でもない限り、「本人に解く意欲がない」と見ていいでしょう。このような子に1問30分与えても、仕方がないのです。

 本人のやる気がなぜ起きないのか、問題のレベルがあっていないのかもしれないし、実は遊びに行きたいと思っているのかもしれません。その辺をしっかり聞いてみたらいいでしょう。子どもが自分でやる気になれば、その分自学自習の作用が効いてきます。学びたいという気持ちが強ければ、理解も進みます。逆にそうでなければ、「やりなさいよ!」と強制されたところで大して身になるわけもないのです。


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「この問題おもしろいんだ」

 学校別特訓はそれぞれの志望校の過去問の学習が中心になります。
問題を解いてもらい、私が採点して、さらに質問に答えるという個別指導型の授業なのですが、ある子の算数の採点をしていたら、
「この問題おもしろいんだ」
とポツリともらしたのです。

 その問題はなかなか難しい問題なので、その子の力ではなかなか解ききれないだろうと思っていたのですが、半分は正解していました。
「え、違うの」
「うん、違う」
「変だなあ、もう一回やってみる」

 そういってまた、自分の席に帰っていきました。彼の志望校は、現在の彼の成績から考えるとなかなか難しいと思える学校です。でも今日の彼を見ていて、私は強く可能性を感じました。
実際に過去問を解いていると「解けないと合格しない」という妙なプレッシャーを感じます。だから難しい問題にあたると、ネガティブな気持ちになりやすいのです。しかし「この問題、おもしろいんだ」といって何とか解こうとする気持ちは、実際にその子の力を何倍にも引き出します。

 模擬試験で見れば、まだまだ可能性が低いでしょう。しかし、この5ヵ月で一気に数字をひっくり返す子どもたちを私はたくさん見てきました。
積極的な気持ちをいかに引き出すか、これは家庭での勉強でも重要なポイントです。難しい問題でも、解ければ必ず自信になるし、力はついていくのですから、数値に惑わされることなくしっかりと狙っていってください。
ちなみにもう一回持ってきたとき、彼は残り半分の問題を見事に解ききっていました。
「すごいね、大したもんだ」
もちろん、彼は非常に満足して次の問題に向かっていました。

 しかしながら、残念なことに、彼は第一志望に失敗しました。可能性はあったと思うのですが、やはり勤勉さに欠けるところが大きかったと思います。

 彼は第二志望ともいえる学校には合格しましたが、私は、第一志望に入るよりも良かったかもしれないと思いました。というのは、勤勉さに欠ける子を管理する学校ではあったからです。(とはいっても、そのあとも相当苦労したと思います。というのも、彼が勤勉さを身に着けることはなかなか難しかったからでしょうか。)

 入り口として、「おもしろい」という気持ちを持つことは非常に大事です。それで勉強して、しかし「できるようになりたい」と思ってほしいのです。

 こんな問題できるようになったらいいなあ、という気持ち。私はこれが子どもを成長させる源のように思います。そのためには、常日頃、やはり積極的にすることが必要です。だから、ほめる。

 ほめないと、子どもは伸びません。多少図にのるくらいでもいい。それが成長の源になるのは間違いないでしょう。


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