月別アーカイブ: 2004年11月

第33回 理科実験問題の対策

■理科では良く実験問題が出題されます。実験問題は大きく分けて、2つに分類されます。1つは実験方法を尋ねる問題。例えばガスバーナーの使い方、顕微鏡のセットの仕方、メスシリンダーの見方など、いろいろなパターンがあります。これらの問題は、しかし解答のポイントも決まっているので、比較的対策もしやすいのではないでしょうか。

■ もうひとつは実験結果を分析させる問題です。この形にはまた2つのパターンがあります。ひとつは数字的に予測することが可能な問題。例えば振り子や気体の発生、中和、電気などの実験です。これらは実験結果が問題上にグラフや表で提示されます。その結果からある程度規則を予想することができますし、もちろん振り子の周期などの法則を知っていれば簡単に答えられるでしょう。

■この手の問題は、出題パターンが決まっていますので、ある程度できるまで問題を繰り返し解かなければなりません。ただ、理科は算数と違い出題される形式には限りがありますから、電話帳(各校の入試問題を集めた分厚い問題集)などを解いていくと、良く出るパターンを習得することができます。例えば電気の出題だけ解いてみるという勉強の仕方が効果的です。

■実験問題で一番困るのは、なかなか解答の予想がつかない場合です。ある学校でろうを溶かした後、固まった場合、その体積は液体のときに比べて大きくなるか、小さくなるかという問題が出たことがありました。問題は3択だったので、わからない子は多分適当に答えたのではないかと思うのですが、むずかしい問題です。

■参考書やテキストにきちんと書かれている結果があれば、いいですか、こういうのはたまたま理科クラブでやった実験だったりしない限り、解答できないものです。以前、カイコの絵を描けなどの問題が出題されたこともありますが、現代っ子にはなかなかカイコを見る機会もないし、ましてや上手に書けた子はあまり多くはありませんでした。

■この手の問題ができるということは、やはり相当理科という科目に対する子どもの関心が高くなければ無理なのです。しかし受験では、それまでの準備をすることはなかなかむずかしいわけで、私はそういう問題に関してはずばり切り捨ててしまうべきだと思っています。

■入試は、合格点を取れればよいのです。満点をとらなければいけない試験ではありません。良くお話しますが、できる問題からやる、わからない問題は切り捨てていいのです。ただ、子どもによっては、気が小さくて、細かいことにこだわってしまうタイプがいます。こういうときは、うまくアドバイスしてあげてください。

(平成16年11月23日)

第18回 教育論

■先日、テレビを見ていたら、小さいうちから英語をマスターするために新幹線で英語塾に通う親子のルポをやっていました。その英語の塾に通うために、遠く東北地方から母子が単身赴任(?)してきているのですが、どうしてそうしたいのかがよくわからないのです。

■これからの子どもは、英語が話せないと苦労するという漠然とした不安だけで、子どもの教育にとってマイナスなことを行っていることが、どうもこのお母さんにはわからないようです。お父さんの仕事のせいで家族が分かれて住むご家庭は増えていますが、可能な限り、お父さん、お母さんがいる家庭で子どもは育つ方がいいに決まっています。それを幼稚園から英語の塾に通うために、家族ばらばらになる意味はあるのでしょうか。

■どうも早期教育に関して、みなさんが間違った考え方にたっているような気がするのです。確かにバイオリンのプロをめざすためには、小さいときからの訓練が必要なのかもしれません。それはバイオリンのプロを目指すということがはっきり決まっている(親が決めているかもしれませんが)のでまだ理解できます。しかし、英語や算数、計算等についていえば、必要になった段階で学習することで十分に間に合う範囲なのです。

■日本人が英語を話したり、聞いたりするのが苦手なことは周知の事実です。なぜでしょうか?日本で暮らしている限り、日本語で何の不自由もないからです。東南アジアでは英語が使えないと不自由があるかもしれません。もちろん日本でも外資系の会社に行けば英語が使えなければ、話にならないでしょう。しかし、一般の日本人は英語が使えなくても不自由はありません。テレビも日本語、新聞も日本語、日本語ができないことの方が問題なのです。だからまず、普通の日本人として育てることが大事、そして英語もしかるべき時期に勉強することは大事です。(私は英語を勉強することを否定しているわけではありません。しかるべき時期に勉強することは大事であり、それは中学生からでも十分に間に合うと思っているのです。)

■幼児教育の段階で最も大事なことは、お父さん、お母さんの愛情をいっぱい受けて、思い切り遊ぶことです。お友達ができ、社会性が生まれ、コミュニケーション能力が生まれます。それ以上に優先する教育があるとは到底思えないのです。早期教育に関して言えば、いろいろありますし、小学生で微積分ができたとか、いろいろ話は聞きますが、「だからどうなの?」と私は思うのです。微積分は高校でできれば十分なのであって、それを早くできたからといって、その分その子の教育で失ったものがあれば、そちらの方が問題ではないでしょうか。近年わけのわからない早期教育方法論が出てきますが、ただ商業主義であるだけのように思えるのです。

■中山治さんという心理学の先生が、その著書「親だけが伸ばせる知力・学力・人間力」の中で親が危ない教育情報を排除し、重要な情報を見抜く方法を指摘しています。

情報を集めることに手間暇を惜しまない
定量的情報(IQ,点数、偏差値など)と定性的情報(テストの内容や子どもの個性など)の違いと性質をよく知っておく
重要な問題は必ず対立する両方の意見を徹底的に比較する
自己責任で基本方針を決める
少しでも不都合なところや疑問点がみつかったら、ただちに軌道修正する柔軟性をもつ
迷ったら、必ず中庸、バランス感覚という原則に立ち戻る
私は特に最後の中庸というところが教育では大事な点だと思うのです。子どもを育てるにあたって、何事も過度というのは何らかの問題を起こす可能性があるのです。受験だって、過度になれば百害あって一利なしです。

(平成16年11月17日)

第32回 I君復活作戦!

■I君のお母さんからSOSが入ったのは10月に入ってからでした。合不合1回目の成績があまりにもひどく、これでは志望校合格が難しいという話です。I君は精神年齢の幼い男の子です。算数はまだできるが、国語はできない、社会も覚えていない。できる算数も試験になるとミスだらけという状況です。

■ そこで、まずは電話帳から宿題を出し始めました。1週間に5校。算数ばかりです。さらに暗記用テキストをお父さんと勉強して、毎週チェックしてもらうことも加わりました。国語の読解もやりたいとは思いましたが、優先順位はまず算数と思い、最初は見送り、塾の宿題と合わせて計画をたててもらいました。

■結構、大変な量かとも思ったのですが、実は、I君、あまり家で勉強してはいなかったようなのです。お父さんも、これまでは塾でやっているんだろう、くらいに考えていたようですが、息子の暗記力のなさに唖然として、がんばってくれるようになりました。

■さて、それから1ヶ月。目に見えて算数のミスが減ってきました。「できるじゃない。」「まあ。」「模擬試験もこの調子でやればいいんじゃない。」そして2回目の合不合では、算数は少しあがり、国語と社会は相変わらず。お母さんはがっかりしていましたが、しかし算数が上がったということは、明らかな進歩ですので、「えらい!」とほめちぎりました。

■そしてさらに2週間が経過。やっている勉強は変わりませんが、明らかに算数は落ち着いてきました。ミスがずいぶんでなくなったのです。さらに社会の暗記が進んできて、過去問をやってもらうと、結構点数があがってきました。最近では、1週間に解く過去問の数は10校を超えています。

■「社会って、結構出るものが重なるんだよね。」「月や太陽ででるものは決まってる」だんだん、教科ごとに自分がおさえなければならないものが、自然にわかってくるようになりました。自分の受ける学校はもちろんですが、他校の問題も解いていくうちに少しずつ自信ができてきたようです。前にもお話した通り、入試はすべての出題範囲の3割が出題全体の7割を占めます。だから3割覚えていれば70点はとれるのです。そこを徹底してやるために、過去問、電話帳は良い教材です。

■本人は3回目の合不合に向けてやる気満々ですが、まあ、そんなに点数はあがらないでしょう。結構手ごたえがあったとしても、模擬試験では5ポイント上がれば御の字です。でも、その流れが続いていけば、第一志望合格も夢ではなくなります。がんばれI君。

(平成16年11月16日)