月別アーカイブ: 2004年11月

中学受験、これで成功する母と子の合格手帳

田中貴です。

前作に引き続いて、「中学受験、これで成功する母と子の合格手帳」を出版する運び
になりました。今回は、中学受験を迎える6年生のご家庭を対象に、1年間の生活や
学習を、合格手帳というツールを使って効率よく、楽しく過ごしていただくことを念頭
に書き下ろしました。

あと2ヶ月で入試ですが、現6年生のみなさんにも役に立つかと思いますので、ぜひ
ご一読ください。

さて、今回のブログは、これまで合格するためにいろいろ組み立ててきた中学受験をもう
一度、子育ての面から見てみようと思います。私は2作目を書き下ろしている途中、中学
受験を通して、お父さんやお母さんは実はとても楽しい経験をしているのではないか
と思い始めたのです。子どもは中学生になれば、親から離れていきます。高校受験、
大学受験となればもうひとりでがんばっていくでしょう。

しかし中学受験は子どもがまだ小さいので親がどうしても関わります。その関わり方は
とても大切で、うまく関わっていけば親子とも実に楽しい経験ができるのではないかと
思うのです。

このブログは子どもと普通に幸せになる方法という題名をつけました。

特別なことではなく、普通に幸せになる、そのことを念願しつつ、私が考えることをご紹介
していきます。

このブログは今回私のホームページ田中貴.netとは独立した形でみなさんのご意見もい
ただけるようにしてみたいと考えます。

気負うことなく、子どもたちといっしょに幸せになろうという気持ちをもってお読みいただけ
れば幸いです。

第34回 志望理由

■12月になって、6年生はいよいよ出願準備を始めなければなりません。ご家族とよく相談され、塾の意見も聞いたうえで、受験する可能性のある学校の願書はすべて用意します。最近の入学願書を見ると、ずいぶんシンプルになってきました。

■ これも個人情報保護という観点があるのかもしれませんが、例えば親の職業欄は最近の学校ではなくなりました。これは親の職業で何かを決めるのではないかという憶測を呼ばないようにするためですが、したがって意外に書く場所が少なくなっています。

■そんな中、願書で一番大きな欄が用意されているのが、志望の動機という欄です。なるべく詳しくと書かれている学校もあり、基本的にはその欄はすべて埋めるつもりで詳しく書くようにします。細かいことですが、文体は敬体(です・ます調)で統一してください。いろいろ気を使うことがあります。志望理由の作文が親の入試といわれる所以ですね。

■まず、本人が行きたいと思っていることを訴えなければなりません。それはなぜか、子どもの気持ちもしっかり整理してもらってください。ここは非常に大事なことです。特に面接を課す学校では、この願書を元に先生が子どもに聞くわけですから、書いたことを子どもが知らないというわけにはいきません。しっかりメモしておき、試験前にはもう一度確認してください。

■また当然のことながら、本人の意思を親としても賛成したことになります。ですから、保護者として何が良かったのかということもしっかり書いていきましょう。ただ、学校の理念に共感したといってもわかりにくいですから、具体的な話に落とし込んでいった方がよいと思います。例えば学校説明会のこの話がよかったとか、文化祭でこういうことを感じて受けさせたいと思ったなどがいいのではないでしょうか。

■また学校の教育方針もさることながら、自分の家庭の教育方針を語ることも大事です。こういう子に育てたいという思いがあり、この学校なら子どもの長所を伸ばしてくれそうだという期待も、しっかり書いておきたいところです。

■お父さん、お母さんがOB、OGであるからといって入試で有利になることはありません。ただ、卒業生であれば志望校は、他の学校に比べ当然親近感があったわけです。これもさりげなく、盛り込んでおくとよいのではないでしょうか。ただし卒業生でないからといって、何のハンデもありませんが。

(平成16年11月30日)

第19回 天動説と地動説

■国立天文台の縣秀彦助教授らが小学校4年生から6年生までに行ったアンケートの結果、地球は太陽の周りを回っていると解答した生徒が56%にとどまり、42%が天動説を選んだことが話題になりました。この原因が指導要領にあることは、あまり知られていないかもしれません。

■現行指導要領は、3年生で太陽の観察、4年生で月と星の観察があるだけで、何とそこから中学3年生まで天体の勉強は、一切出てこないのです。これについて文部科学省の御手洗次官は会見で「地球の自転や公転についての学習は中学校で、きちんと体系的にすることになっている。」「指導要領の全体の構成を見てほしい」と反論しています。

■中学入試の世界から考えると信じられないようなカリキュラムなのですが、これが現実なのです。なぜこんなことになってしまったかといえば、理科の総授業時間に大きく関わっています。1968年改訂の指導要領では義務教育9年間の理科の授業時間は1418時間ありました。しかし、現行の指導要領では何と640時間しかないのです。半分以下になっているわけですから、その中で何とかやりくりをした結果、繰り返し学習すべき部分がはずされていったのです。

■むしろ、このカリキュラムでよく半分以上の子が地動説と答えたというべきなのでしょうか。太陽の沈む方向について西と答えた生徒も73%はいたということなので、むしろ家庭教育や塾ががんばっているということになるのでしょう。こういう現状を知らないまま、学校に通っていれば何とかなると思ってしまうのは、あまりに危険なことかもしれません。現行指導要領でも確かに義務教育中に学習するのですが、子どもたちが好奇心、関心を抱く分野を提示する時期をここまで遅くしてよいのでしょうか。

■指導要領がこのような進み方をする限り、中学受験を経て私立中学で学習する生徒の知的満足度は公立に比べ、かなり差がでてくるでしょう。このことに関して文部科学省は、根本的な対応をしていません。本来天体は1年に少なくとも1回は繰り返し学習し、十分な定着を図る範囲なのです。これは受験カリキュラムでも議論されることですが、カリキュラムは実際にはスパイラルカリキュラム(重要な範囲について、時期を分けて何回か繰り返すプログラム)の方が生徒の理解度が増します。むしろこの方がゆとり教育なのではないでしょうか。

■受験勉強をし、私立に行くということは、誰もができることではありません。経済的問題にとどまらず、実際に私立中学が少ない地域はたくさんあるのです。その結果として、教育を受ける機会均等が今の日本では失われつつあるというのが私の実感です。今のところ家庭がそれを補う以外に道がないというのは、何か方向が間違っていると思うのです。

(平成16年11月24日)