■I君のお母さんからSOSが入ったのは10月に入ってからでした。合不合1回目の成績があまりにもひどく、これでは志望校合格が難しいという話です。I君は精神年齢の幼い男の子です。算数はまだできるが、国語はできない、社会も覚えていない。できる算数も試験になるとミスだらけという状況です。
■ そこで、まずは電話帳から宿題を出し始めました。1週間に5校。算数ばかりです。さらに暗記用テキストをお父さんと勉強して、毎週チェックしてもらうことも加わりました。国語の読解もやりたいとは思いましたが、優先順位はまず算数と思い、最初は見送り、塾の宿題と合わせて計画をたててもらいました。
■結構、大変な量かとも思ったのですが、実は、I君、あまり家で勉強してはいなかったようなのです。お父さんも、これまでは塾でやっているんだろう、くらいに考えていたようですが、息子の暗記力のなさに唖然として、がんばってくれるようになりました。
■さて、それから1ヶ月。目に見えて算数のミスが減ってきました。「できるじゃない。」「まあ。」「模擬試験もこの調子でやればいいんじゃない。」そして2回目の合不合では、算数は少しあがり、国語と社会は相変わらず。お母さんはがっかりしていましたが、しかし算数が上がったということは、明らかな進歩ですので、「えらい!」とほめちぎりました。
■そしてさらに2週間が経過。やっている勉強は変わりませんが、明らかに算数は落ち着いてきました。ミスがずいぶんでなくなったのです。さらに社会の暗記が進んできて、過去問をやってもらうと、結構点数があがってきました。最近では、1週間に解く過去問の数は10校を超えています。
■「社会って、結構出るものが重なるんだよね。」「月や太陽ででるものは決まってる」だんだん、教科ごとに自分がおさえなければならないものが、自然にわかってくるようになりました。自分の受ける学校はもちろんですが、他校の問題も解いていくうちに少しずつ自信ができてきたようです。前にもお話した通り、入試はすべての出題範囲の3割が出題全体の7割を占めます。だから3割覚えていれば70点はとれるのです。そこを徹底してやるために、過去問、電話帳は良い教材です。
■本人は3回目の合不合に向けてやる気満々ですが、まあ、そんなに点数はあがらないでしょう。結構手ごたえがあったとしても、模擬試験では5ポイント上がれば御の字です。でも、その流れが続いていけば、第一志望合格も夢ではなくなります。がんばれI君。
(平成16年11月16日)