各校の入試問題から」カテゴリーアーカイブ

気体の発生に関する問題

2021年豊島岡の問題です。

クエン酸と重曹(炭酸水素ナトリウム)および水酸化カルシウムの3つの固体から2つを選んで【反応①】~【反応③】を行いました。それぞれの反応は過不足なく起こり,次に示すような量的な関係がわかりました。この結果をもとに,以下の問いに答えなさい。ただし,気体の体積を測定する場合は,同じ条件下で測定しているものとします。

  【反応①】クエン酸と重曹の反応
  クェン酸を水に加えてクェン酸水溶液をつくり,ここに重曹を加えました。

  クエン酸 + 重曹 → 気体A + クエン酸ナトリウム + 水
  10.5g     12.6g  6.6g

  【反応②】水酸化カルシウムと重曹の反応
  水酸化カルシウムを水に加え水酸化カルシウム水溶液をつくり,ここに重曹を加えました。

  水酸化カルシウム + 重曹 → 沈殿B + 水 + 炭酸ナトリウム
  5.55g         12.6g  7.5g

  【反応③】クエン酸と水酸化カルシウムの反応
  クエン酸を水に加えてクェン酸水溶液をつくり,ここに水酸化カルシウムを加えました。

  クエン酸 + 水酸化カルシウム → 物質X + 水
   10.5g    5.55g

  【気体Aの性質】
  気体Aを石灰水に通じたところ石灰水は白くにごりました。気体Aは冷やすとドライアイスになります。
  気体Aのみを250 mL集め重さを測ったところ, 0.44 gでした。また,22gの気体Aを冷やしてドライアイスにしたところ体積は, 13.75 cm3でした。

  【物質Xの性質】
  物質Xは重曹とは反応しません。

(1)気体Aの1Lあたりの重さは何gですか。四捨五入して小数第2位まで答えなさい。

(2)ドライアイスが気体になると,体積は何倍になりますか。四捨五入して整数で答えなさい。

(3)レモン汁の中にはクエン酸が含まれています。レモン汁の中で重曹と反応するのはクエン酸のみで,レモン汁15mLを十分な量の重曹と反応させ,発生した気体Aを集めると275mLでした。レモン汁15mL中にあるクエン酸の重さは何gですか。四捨五入して小数第2位まで答えなさい。

(4)クエン酸12.6 gを水に加えてクエン酸水溶液をつくり,ここに水酸化カルシウム8.88 gを加えて十分に反応させました。この反応後の水溶液に,重曹10gを入れたとき,生じた気体Aと沈殿Bの重さはそれぞれ何gですか。四捨五入して整数はで答えなさい。生じなかった場合には0を記入しなさい。

【解説と解答】
重曹は炭酸水素ナトリウム。クエン酸も重曹も家庭で使われていることもあるので、小学生には馴染みがある、ということで出題されたのでしょう。重曹もクエン酸も掃除に使ったりもします。本来小学校の教科書に出てこない物質も、こういう形で出題されるケースがあります。もちろん学校の出題傾向によるので、過去問をしっかり確認してください。

(1)気体Aは二酸化炭素です。気体Aの性質のところで、250mLで0.44gとありますから、1Lに換算します。0.44×(1000÷250)=1.76g
(答え)1.76
(2)22gの二酸化炭素は22÷0.44×250=12500mLですから、12500cm3なので、12500÷13.75=909.0909
(答え)909
(3)気体A275mLは275÷250×0.44=0.484gです。0.484:6.6=レモン汁のクエン酸:10.5gですから、10.5×0.484÷6.6=0.77gです。
(答え)0.77
(4)水酸化カルシウムを水に溶かすとアルカリ性ですから、クエン酸とまぜると中和します。物質Xはクエン酸カルシウムですが、これは重曹と反応しない、ということがわかっているので、中和が起こって何が残っているか、が問題になります。
クエン酸10.5gと水酸化カルシウム5.55gがちょうど中和するので、クエン酸12.6gとちょうど中和する水酸化カルシウムは5.55×(12.6÷10.5)=6.6g です。したがって水酸化カルシウムを8.8g入れてしまうと、クエン酸はなくなります。したがって残っているのは水酸化カルシウム2.2gです。
2.2:5.55=できる沈殿B:7.5 B=2.97gで整数で答えるので3です。
(答え)気体A 0 沈殿B 3


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西之島に関する問題

2021年早稲田実業の問題です。

次の文章を読み, 以下の問1~問5に答えなさい。

太平洋にある西之島という島の近くで,1973年に噴火が起こりました。その後2013年の噴火以降西之島の近くに新島が出現して, 元の西之島と一体となっていきました (下図参照)。この新島は,付近にある島々とは違い安山岩質溶岩からできています。しかし, 近年は玄武岩質溶岩に変わってきていることで注目されています。

問1 西之島の所在地を, 都道府県名で答えなさい。

問2 この新島を生じさせているプレート名を2つ答えなさい。

問3 文章中にある安山岩質溶岩と玄武岩質溶岩は,それぞれ安山岩と玄武岩になります。この2つの岩石の共通点ついて,次の①~③について答えなさい。

① 火成岩における分類名を答えなさい。

② これらの岩石の結晶の様子を表している図を,次の(ア) ~ (エ)から,正しいものを1つ選び記号で答えなさい。

③ これらの岩石の, 外見上の特徴を1つ答えなさい。

問4 噴火を続けて大ぎくなっている現在の西之島は, 将来的には海面下になってしまう可能性があります。次の(ア)~(エ)から,その原因として考えられないことを1つ選び記号で答えなさい。

(ア) 爆発的な噴火がおきて, 海面より上の部分が吹き飛ばされてしまうから。
(イ) 活発な噴火が続いているため,今後マグマがたまっていた場所が空になって陥没する可能性があるから。
(ウ) 今後噴出してくる溶岩の質が変わり, 溶岩ドームが出現し高温の火砕流によって, とかされてしまうから。
(エ) 海水による波の侵食によって,削られてしまうから。

問5 現在, 世界中の火山が活動期に入っているため, 各地の火山が活発に噴火をしはじめています。アメリカのハワイ島にあるキラウェア火山も2020年12月に再び噴火をしました。この火山は過去に何度も噴火を繰り返し,マグマを噴出してハワイ島の大地をつくつています。この火山はなだらかな形で,海岸の砂は黒いことで知られています。これらのことからキラウェア火山から噴出しているマグマの流動性とハワイ島をつくる岩石の名称の組み合わせとして正しいものを,次の(ア)~(カ)から1つ選び記号で答えなさい。

(ア)流動性は高く, 流紋岩から成る。
(イ)流動性は低く, 流紋岩から成る。
(ウ)流動性は高く, 安山岩から成る。
(エ)流動性は低く, 安山岩から成る。
(オ)流動性は高く, 玄武岩から成る。
(カ)流動性は低く, 玄武岩から成る。

【解説と解答】
問1 西之島は東京都に属します。
(答え)東京都
問2 日本は4つのプレートの上にありますが、西之島は太平洋上南に位置するので、太平洋プレートとフィリピン海プレートが関わっています。
(答え)太平洋プレート、フィリピン海プレート
問3 火成岩の分類は深成岩と火山岩に分かれます。玄武岩も流紋岩も浅いところにあるので火山岩です。火山岩は二酸化ケイ素の含有量の違いで、酸性の流紋岩、中性の安山岩、苦鉄質岩の玄武岩に分かれます。流紋岩、安山岩、玄武岩の順に二酸化ケイ素の含有率が高く、この順で白っぽくなります。玄武岩が一番黒くなるのです。火山岩は急に冷やされててきる岩石ですから、細粒な基質(石基)の中に、比較的早い時期にマグマから結晶化した一部の鉱物結晶(班晶)が浮いているような組織(斑状組織)が特徴となります。細かい結晶があるので、ウが該当します。
(答え)①火山岩 ②ウ ③石基の中に斑晶がある。
問4 高温の火砕流によって溶かされることはありません。
(答え)ウ
問5 色が黒いことから玄武岩質です。火山がなだらかであることから、流動性は高いのでオ。
(答え)オ


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地層に関する問題

2021年早稲田中学の問題です。

日本付近では、図1のように4枚のプレートが接しています。このうち、大陸のプレートの下に海洋のプレートが沈みこんでいるところでは、図2中の①~③のようなしくみで、大きな地震とともに地面が大きく変化することがあります。プレートの動く速さはほぼ一定であるため、大きな地震もほぼ一定の周期でくり返されると考えられます。以下の問いに答えなさい。

問1 大陸のプレートの下に沈みこんでいる海洋のプレートを、図1のア~エからすべて選び、記号で答えなさい。

問2 次の文のうち、正しいものをすべて選び、記号で答えなさい。
  ア 震源に近い場所では、ゆれ始めてから緊急地震速報が発せられることがある。
  イ 震度は、7段階で示される。
  ウ ある地震において、観測点ごとにマグニチュードは異なる。
  エ 地震によって海底の地形が変化すると津波を発生することがある。

問3 日本の平野には、地盤に水を多く含んでいる場所があります。このような場所では、地震の強いゆれによって、砂や泥が水とともにふき出し、地盤が沈下する現象が見られることがあります。この現象の名称を漢字3文字で答えなさい。

問4 力が加わり続けて岩盤が割れたときに、地震が起こります。そのときの加わる力の向きによって、図3のようにさまざまな断層を形成します。図4のように、上下方向のずれはなく、岩盤が水平方向にずれたとすると、どのような向きに力が加わったと考えられますか。もっともふさわしいものを選び、記号で答えなさい。ただし、ア~工は図4を上から見たものです。

問5 図2の地点Aでは、図5のような海岸段丘と呼ばれる地形が見られました。海岸段丘は、波の浸食によってできた平らな地面が、地震によって隆起(上昇)し、これがくり返されてできた地形です。地点Aの高度を測り続けると、図6のようにしばらくは沈降していましたが、大きな地震とともに急激に隆起し、そのあと再び沈降しました。沈降の割合は1年間に約6mmで、地震の前と後で変わりませんでした。また、この地域では約150年周期で地震がくり返され、現在は前回の地震から100年以上が経過していることが分かっています。海岸から離れた平らな地面を調査すると、その平らな地面は約3000年前に波の侵食によって形成された面で、高度は6mであることが分かりました。陸上の平らな地面はほとんど侵食されず、かつこの地域の沈降や隆起の量や海水面の高さは変わらないと仮定すると、1回の地震の隆起量は何cmとなるか、答えなさい。

【解説と解答】
問1 沈み込んでいるのはウに太平洋プレート、エのフィリピン海プレートです。アはユーラシアプレート、イは北米プレートといいます。
(答え)ウ、エ

問2 イ 震度は10段階で、震度5、6にそれぞれ弱と強があります。マグニチュードはその地震に関してひとつ決まります。
(答え)ア、エ

問3 海抜の低いところで見られる現状で、液状化と言います。
(答え)液状化

問4 上下の動きがなく、水平方向だけに動く場合なので、力の向きにそって動くウが正しいことになります。
(答え)ウ

問5 3000年で150年の周期で地震は20回あったことになります。3000年の沈降は6mm×3000年=18000mm=1800cm=18m沈んでいるはずです。しかし高さが6mになっているので、18+6=24m隆起したことになります。2400cm÷20=120cmが1回の隆起量です。
(答え)120


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