はたまた母親講座」カテゴリーアーカイブ

第9回  応用力 

■算数の勉強法で、意外に間違っている勉強法があるものです。基本問題ができて、応用問題に進んだとき、応用問題ができないと、すぐ基礎に戻るという勉強法は、あまり効果がありません。基礎にもどると、まず大抵はできるからです。

■応用問題は、いくつかの基礎や考え方が複数取り入れられています。複数あるから、その分、複雑なので、それをていねいに解き明かす力がなければ、応用問題はとけないのです。ところが基礎に戻るということは、その複雑な構造に向き合わなくなるということなので、応用問題が解けるようにはならないのです。
■では、どうすればよいのでしょうか。応用問題が解けなければ、その解説や解答をよく読むということが大事なのです。先にお話したとおり、応用問題はいくつかの要素が入っていますから、それがどう組み合わさっているのか、理解していく必要があります。解答を読んで、それを理解することができれば、やり方がだんだんわかってきます。
■といって、すぐに解答を読んでも、あまり力にはなりません。やはり、そこそこ、本人が苦労して、いろいろ考えてみないと、解答を読むという勉強が役立ちません。苦労するから、解答を読んだとき、「あ、そうか!」という発見が出てくるのです。
■ですから、あまり、たくさんの問題を解かせようと思わず、良い問題をじっくり考えていくことが必要です。良い問題は、塾のテキストや試験に出てきますから、それをしっかり復習するようにしましょう。もう一度、解いたときに、解けるようになると、子どもたちには大変な自信になってきます。

(平成14年4月15日)

第8回   完全週休2日制

■今年4月から、すべての公立小・中・高等学校で完全週休2日制がスタートします。その報道を見ていますと、大体が「少なくなった指導要領をフォローするため塾通いが増加するのでは?」という見方が多いようです。私は、意外にこの予想は外れるかもしれないなと思っています。第2土曜日と第4土曜日の休みがスタートしたときも、同じだったのですが、あまり塾通いは増えなかったのです。

■文部省から塾に「土曜日の午前中は授業をやらないでほしい」という要望はありましたが、これはあまり影響がなかったと思います。でも当時の方が、子どもたちの数が多かったので、まだ授業をやろうという意見が多かったのです。実際にそのような授業が行われましたが、みんな、どっと来たという感じはありませんでした。
■なぜでしょうか。私は、少なくとも小学生については、土曜日は家族の時間になりつつあるからだと思います。隔週2日が完全2日制に変わって、子どもたちがお父さんやお母さんといっしょにいられる時間が増えたのですから、家族の時間としてその時間を楽しむことがまず中心になってくるのではないでしょうか。
■一方で塾は、堂々と授業をスタートすべきでしょう。子どもたちが通う時間の選択肢を増やしてあげることは、むしろ必要です。夜遅い授業よりは、土曜日の午前中の方がよほど、子どもたちにとっては勉強しやすい時間でしょう。そういう選択肢を提供することは、胸をはってやるべきです。
■そして選択権はもちろん、家族にあります。家族の時間として、みんなでキャンプに行ったりする時間でもいいし、ちょっと成績がふるわないから、がんばる時間にしてもいいし、そういう選択を親がしっかりすればよいのです。一番、いけないのは「あちらもやってるから」で時間の使い方を決めてしまうことではないかと思うのですが。

(平成14年4月7日)

第7回   動機づけ

■先日、以前の塾仲間と話をしていたときのことです。
「最近、わかってきたんですよ。合格させるコツが」
「どういうこと?」(これは私)
「子どもが本当に入りたいと思うようになってもらうことなんですね。勉強は確かにコツがあります。問題の解き方も大事だ。でも、本人が本気になって入りたいと思い、真剣に努力できるようになったら、結構合格させられるって。」
■彼の言っていることは、とても正しいのです。そして、多分そういう話をするということは、彼は子どもたちをその気にさせられる自信がついたのだと思います。まだ若手だと思っていたのは、大違い。たいしたものです。
■では子どもたちに本気になってもらうために、何をすればよいのでしょうか。子どもが志望校に入りたくなる理由はさまざまです。いろいろなきっかけがありますから、そのきっかけを作る必要はあまりないような気がするのです。むしろ時期的な問題の方が大事で、なるべく早く目標が決まると良いと思います。
■そして、目標が決まったら、そこに合格することを本人も家族も肯定してしまうことが必要です。お母さんは、本人ががんばると思って「そんなんじゃ、入らないわよ」的な発言が多いようですが、子どもたちにはぜんぜん、きかないでしょう。子どもたちが「くやしいからがんばる」ということはあまり、ありません。だから否定してはいけないのです。
■彼の言いたかったことはそういうことなのです。きっと、彼は子どもたちの耳元で
「いけるぞ、もうちょっとだ。」
とささやいているはずですから。
(平成14年3月29日)