■受験勉強をしていく過程では、子どもも親もがまんが必要です。見たい番組を見ないで宿題をやらなければいけない、せっかくの日曜日に模擬試験があるので、家族で出かけられない、いろいろながまんがあるでしょう。
■私は、受験学年の最初に、がまんについて、子どもたちに話してきました。入りたい学校にいくために、勉強に時間をかけなければいけません。ところが時間は限られているので、何かをがまんして、勉強しなければならないということになります。受験勉強だけをするというのではありませんが、がまんしないと、時間は作れないのです。
■子どもたちはよく、わかってくれます。(もちろん、実行までにはずいぶん時間がかかりますが。)しかし、大人がわかってもらう努力をしなければいけないと思います。最近は「がまん」を教える機会が少なくなりました。でも子どもに「がまん」を教えることはとても大切です。子どもにがまんさせるのは悪徳だと感じていらっしゃる方がたまにいますが、それは違います。
■自分で自分の気持ちをコントロールするために、こういう資質は必要なのです。大切なのは、強制するということでなく、子どもが積極的にがまんする気持ちを作るということなのです。子どもの気持ちが前向きでのがまんは、子どもの成長にプラスになりますが、こればかりは、やはり大人がいろいろ話していかないとうまくいきません。
■ただ気がかりなのは、最近、親が、子どもたちに対してがまんができなくなっていることです。近年の子どもに対する暴力事件は、がまんできない親が原因のような気がして仕方がないのですが。
(平成14年3月23日)
「はたまた母親講座」カテゴリーアーカイブ
第5回 計算力
■算数の力を伸ばすためには、やはり計算力が必要になります。ところが、計算力をつけるという学習に、多くの誤解があるようです。
■一度、クラスで試したことがあるのですが、計算問題を30題子どもたちに出すと、ほとんどの子どもたちが最後の10題のところで、ミスをします。これはある意味当たり前のことで、似たようなことをずっとやらされていると、子どもたちの集中力は続きません。ところが、計算力をつけるという名のもとに、たくさんの計算問題をやらせる手法が依然として多いのです。これは、あまり効果的ではありません。
■入学試験で、計算問題を30題出すところはありません。もちろん、応用問題でも計算は必要ですが、だからといって、たくさんやれば力がつくというわけではないのです。ではどうすれば、いいのでしょうか。
■私がやっていたのは、1回について5題まで。その代わり、絶対間違えないように、検算をさせるということでした。5題なら十分集中力が続きますし、ぜったいに間違えないという自信をつける意味でも、大変、効果的でした。子どもはマシンではないのですから、たくさんやらせれば良いというわけにはいかないのです。
■ご家庭では、計算ドリルなどを使って、毎日5題ずつ、絶対間違えないように、解いてもらってください。そして連続記録をつけてあげてください。20日連続、ミスがなかったら、ちょっとしたごほうびを用意してあげると、子どもたちはとても喜ぶでしょう。
(平成14年3月15日)
第4回 春の嵐
■新学年が始まりました。今年から塾をはじめられた方も少なくないでしょう。新しい生活パターンが始まって1ヶ月くらいたって、子どもも塾に慣れ始めたころ、お母さんは本当にこんなことやっていけるのかしら?という気持ちになるものです。
■最近の塾はどこでも教材が多くなりました。子どもたちのレベルを考えて、いろいろと教材やテストを作っている良心的な塾もあれば、とにかく売らんかなという塾までふくめて、実にたくさんの教材があります。親とすれば、先生から勧められたものはやらなければいけないものと考えがちです。子どもたちも先生に出された宿題はやっていかないとまずいという気持ちになって、がんばります。親も手伝って、毎週宿題や復習をこなすうち、1ヶ月たって、こんな生活、続けられるのかしら?という気になるものです。
■売らんかなの塾の話は別にして、やらなければいけない教材が多くてこなしきれない場合、親がある程度、優先順位を決めてあげる必要があります。きちんとしたフォローができる塾は、こういう相談にはすぐ乗ってくれて、担任の先生が、優先順位を決めてくれる場合もあります。気をつけなければいけないのは、4教科、すべて先生が違う塾。他の教科のことはわかりませんと言われてしまうと、これは親が決めるしかありません。
■優先順位を決めるとすれば、まず算数。次が国語。次が理科で、最後が社会という順位です。特に新4年生の場合、算数だけでも良いくらいの気持ちで十分でしょう。中学入試の場合、算数が得意な子どもの方が有利です。だから、他のことまで手が回らなかったから、まず算数と思ってよいのではないでしょうか。
■やりきれないことをやり続けると、だんだん、子どもたちのようすが暗くなります。疲れたり、やる気がなくなったり、なかなか家に帰ってこなくなったり。そこを見逃して、やる気のなさをなじったりすると、うまくいきません。子どもたちと楽しく勉強できるように、くれぐれもやりすぎに気をつけてください。
(平成14年3月9日)