子どもたちのための合格手帳」カテゴリーアーカイブ

第18回 知識を覚える意味

■中学受験では、覚えることがたくさんありますね。覚えるのは得意ですか?子供たちの様子を見ていると、やはり個人差があって、知識をすぐ覚えてしまう人と、なかなか覚えられない人といるようです。

■ただ覚えようと思ってなかなか覚えられない人と覚えようとしない人はだいぶ違いますね。みなさんは、どうですか。

■覚えようとしない人に話を聞くと、「面倒だ」「すぐ忘れちゃう」「何の役に立つのか?」などといった声が聞こえてきます。知識は何のために覚えなければならないのでしょうか?もちろん受験勉強をしているわけですから、テストに出るから覚えなければいけないのでしょうが、実は知識を覚えることにはもっと大事な目的があります。

■みなさんはこれから成長するにつれて、いろいろな問題を考えていかなければなりません。ただ知識を持って考えるのと、そうでないのとではだいぶ結果が変わってきます。最近の話題でいうと中国や韓国の人が反日デモをやっています。ニュースで見た人も多いでしょう。知識を何も持たないでこれを考えると「日本のことを批判するなんて、いやな人たちだ!」という結論になってしまうかもしれませんね。

■しかし日本の歴史を勉強していると、中国や韓国の人たちが何について怒っているのかは理解することができるでしょう。もちろん、暴力行為はいけないことですが、デモで自分たちの気持ちを訴えることはむしろ言論の自由として許されるべきことです。この問題をどうやって解決すればいいのか、中国や韓国の人たちの気持ちも含めて考えていくことができれば、良い方法が見つかるかもしれません。

■知識というのは、歴史ばかりでなく社会や環境を考えるのにも非常に大事になります。最近問題になっている温暖化現象。これは近年たくさんの石油や石炭を消費するようになって、地球内の二酸化炭素の量が増えているから起こっていることなのです。二酸化炭素は温室効果ガスと呼ばれる気体で、熱を吸収する性質を持っています。したがって大気圏内に温室効果ガスが増えると大気の持つ熱エネルギーが大きくなって温暖化が進んでしまうのです。温暖化が進めば大陸の氷が溶け出していくので、海面が上昇して水没してしまう国がでてきてしまう可能性があるのです。

■温暖化を防ぐ方法は二酸化炭素の排出量を減らすこと、そしてもうひとつは?そう二酸化炭素を吸ってくれる森林を増やすことなのです。これは光合成の原理を知っていると理解できるでしょう。このようにみなさんがこれからいろいろな問題を考えるときに知識は非常に重要になります。だから覚えてほしいのです。ではどうやって覚えればいいでしょうか?それは次回、ご説明しましょう。

(平成17年5月9日)

第17回 ノートは大きく使おう

■授業中、子どもたちのノートを見せてもらうと、なるべく小さくつめて書いている人を見かけます。ところが小さくつめて書いてしまうと、後から見直すのが大変なのです。ノートはその場で解くために書くだけではなく、後から見直すために書くのですから、もう少し大きく使うといいでしょう。

■算数などは1問1ページにしてもいいのです。あまりたくさん書かない問題は、もちろんかまいませんが、ちょっと多くなるようであれば、きっぱり1問1ページに書いていきましょう。ついでに言えば、計算もまた式もていねいに書いていく練習をしてください。例えば式を書いて答えが出たら、小さなメモも書いておくといいのです。例えばAの分速とか消しゴムの値段とか。

■何を出したかがわかりやすくなれば、その後、ミスをなくすことができます。計算も大きく書いていけば、自分の字を見間違うことは少なくなります。ところがノートをつめて小さく書くと、自分の字を見間違えることもありますし、後から見直すのも難しくなるでしょう。

■国語では一行おきに書いていくと良いでしょう。特に記述の問題では、当然あとから直すことがおきます。そのとき、びっちり書いてしまうと直す場所がないので、後ろのほうに書き直す以外になく、どこを間違えたのか比較するのが難しくなります。

■しかし1行おきにかいておきえば、そのあいている一行に直しを書くことができるので、どこを間違えたのかすぐわかるでしょう。前にも言いましたとおり、勉強は間違えたことやできなかったことをやり直すことで力がついてくるのです。ノートはその目的で使うものですから、やり直しがしやすいように使っていかなければなりません。

■理科や社会でも、先生のいったことをまとめる部分の横にスペースを作っておいて、あとから重要な部分だと思われるところを整理したり、テキストから付け加えていくとよいのです。問題をやるときも、計算や式をきちんと書けるスペースを用意して問題を解いていくとよいでしょう。

■ノート自身でいえば、ルーズリーフ型のノートを勧めます。ルーズリーフ型はあとからページを足したり、並べ替えたりすることができるので、整理しやすいでしょう。最近のプリントはA4型が多くなりましたから、塾で配られるプリントの形に合わせてルーズリーフを決めるとプリントまで綴じることができて便利になると思います。

(平成17年5月2日)

第16回 テストの受け方(2)

■入学試験で一番注意しなければならないのはミスを出さないということです。せっかく正答できるはずの問題を失点してしまうと大変もったいないし、合格点に届かなくなってしまいます。そこでミスを防ぐ方法を自分で体得していかなければなりません。

■自分の字を読み違えるの次に多いミスの原因は問題を読み違えるということです。例えば本当は売値を出さなければならないのに、原価を出してしまう。太郎君の速さを出す問題なのに、次郎君の速さを出してしまう、こういうミスが実に多いのです。

■このミスは、何か式を立ててうまく割り切れたり、整数のきれいな値になったときにおこります。心の中で「できた!」と思うからです。その瞬間にワナが待っています。ですから、「できた!」と思った瞬間に、もう一度、問題を読み直すことを勧めます。最初から問題を読むときに指示にアンダーラインを引いておくのもいいでしょう。そしてもう一度何を求めるか、確認してから進みます。

■これは算数ばかりではありません。国語でも自分のことばで答えるのか、それとも抜き出すのか、記号で答えるのか、正しいものを選ぶのか、間違っているものを選ぶのか、常に答えを出すときは問題の指示を確認する必要があるのです。

■誰でも間違いはするし、ミスは出ます。したがってそのミスを最小限にする方法を自分なりにもっていなければなりません。成績の良い子どもたちでも、当然ミスをします。ただ、彼らは試験時間内に自分のミスに気がついて訂正できているのです。問題を見直したり、検算をしたり、その過程で自分のミスを発見して訂正できれば問題はありません。

■その次に起こしやすいミスは計算間違いです。計算は算数や理科の基本ですが、やはり試験では思わぬミスをやるものです。式をたてていって、さあ、割るぞと思ったとき、値段が小数になったり、分数になったりすると、みなさん、あせってしまうでしょう。「えー、どこで間違えたんだ!」ところが戻ろうと思っても、式をかいていなかったり、ひとつひとつ検算しながら進んでいないと自分のミスを訂正することができなくなります。

■計算はその場で検算するのが一番です。式を書いて、その式をもう一度見直せばいいのです。計算が間違っていないという自信があれば、どこかで考え方を間違えたのでしょう。そのときは問題をもう一度読み直すと「なーんだ、ちがうじゃん」と自分のミスをみつけやすくなります。

■算数や理科の問題ではとにかく式を書いて消さずに残しておくことです。うまく解けなくなったときでも、式や計算が残っていれば、もう一度確認することができるでしょう。よく見かけるのですが、最後の式まで書いてきて割り切れないとすぐ全部消してしまう子がいます。これでは時間が足りなくなってしまいます。うまくいかなかったら、もう一度見直す、そして自分が何を間違えたのか見つける、その練習を普段のテストからやってください。

(平成17年4月26日)