日別アーカイブ: 2026年6月22日

知識は考える幅を広げる

「考える力が大事」とよく言われます。

それはその通りなのですが、では、何も知らないまま考えられるかといえば、やはりそうではありません。考えるためには材料が必要です。その材料になるのが知識です。

知識がなければ、考える範囲はどうしても狭くなります。目の前にある情報だけで判断するしかなくなるからです。

例えば歴史を考えるとき、年号や出来事を覚えることは、単なる暗記のように見えるかもしれません。しかし、ある出来事がいつ起こり、その前後に何があったのかを知っているからこそ、その意味を考えることができます。

1910年の日韓併合という出来事も、ただ年号を覚えるだけでは十分ではありません。しかし、その年号を知らなければ、明治以降の日本と朝鮮半島の関係、さらに現在に続く問題を考える入口にも立てないのです。

知識は、考えるための土台です。

もちろん、知識をただ丸暗記すればよい、という話ではありません。覚えたことを使って、「なぜそうなったのか」「その結果、何が変わったのか」「今とどうつながっているのか」と考えていくことが大切です。

ただ、そのためにも、まず知っていなければならないことがあります。

最近は、暗記を軽く見るような言い方もあります。「調べればわかる」「覚えるより考える方が大事」という考え方です。しかし、何を調べればよいのか、調べたことが本当に大事なのかを判断するにも、やはり一定の知識が必要です。

知識がある子は、新しい話を聞いたときに、過去に学んだことと結びつけることができます。社会の出来事でも、理科の現象でも、国語の文章でも、「これは前に習ったこととつながるな」と考えることができる。

一方で、知識が少ないと、ひとつひとつの情報がばらばらに見えてしまいます。すると、問題を解くときにも、文章を読むときにも、深く考えるところまでなかなか進めません。

中学受験の勉強でも同じです。

社会や理科はもちろん、国語の読解にも背景知識は必要です。文章の中に出てくる時代、社会の仕組み、自然現象、人間関係などについて、少しでも知っていることがあれば、内容はずっと理解しやすくなります。

算数でも、基本的な解き方や考え方を知っているからこそ、初めて見る問題に対応できます。まったく何もないところから、その場で全部を発見することは、子どもにとってかなり難しいことです。

だから、覚える勉強を軽く見てはいけません。

ただし、詰め込みだけで終わらせないことです。覚えたら使う。使いながら、意味を考える。間違えたら、もう一度知識を整理する。そういう流れができてくると、知識は単なる暗記ではなく、考える力の土台になります。

知識が増えれば、見えるものが増えます。

見えるものが増えれば、考える幅も広がります。

子どもたちには、「覚えることはつまらないこと」ではなく、「自分の考える力を広げるための準備」なのだと伝えていきたいものです。

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