保護者のための算数教室」カテゴリーアーカイブ

中学受験の算数の導入の仕方を説明します。

円とおうぎ形

今週は円とおうぎ形について勉強してみましょう。

円とは、中心から一定の距離、離れた点の集合です。その一定の距離のことを半径といいます。半径を2倍した距離を直径といいます。
円のまわりの長さのことを円周といいますが、円周を直径で割った値は一定になります。これを円周率といいます。この円周率は、
3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288・・・と続き、循環することはありません。で、中学受験では概ねこれを3.14として計算する問題が多くなっています。
以前は22/7という分数を使う問題もありましたが、今はほぼ3.14の問題ばかりといって良いでしょう。

したがって円周の長さは

円周の長さ=直径×3.14(円周率)

という式で求めることができます。


(例題1)
次の円の演習の長さを求めなさい。(円周率は3.14とします。)
1 直径が4cmの円
2 半径が6cmの円


1は公式から4×3.14=12.56cmとなります。
2は先に直径にしてから、公式にあてはめるので、
6×2×3.14=12×3.14=37.68cmとなります。
(答え)1 12.56cm 2 37.68cm


円の計算では3.14を使うことが多いので、この計算を暗記させる指導をする塾が多いようです。計算を簡単に進めるには良い方法だと思います。3.14より314の整数倍を覚えてしまう方が計算では便利でしょう。

314×2=628
314×3=942
314×4=1256
314×5=1570
314×6=1884
314×7=2198
314×8=2512
314×9=2826

おうぎ形は図のように円を中心と円周上の2点を結ぶ直線で切った形をいいます。
そのとき、円周の一部の長さのことを弧(こ)といいます。また半径と半径の間の角度を中心角といいます。

弧の長さは円周に対して中心角の割合で決めます。したがって

で求めます。


(例題2)
次の長さを求めなさい。(円周率は3.14とします。)
1 半径が8cm 中心角90°のおうぎ形の弧の長さ
2 半径が6cm 中心角120°のおうぎ形のまわりの長さ


1は8×2×3.14×90/360=4×3.14=12.56cmとなります。
2はまわりの長さですから、半径2つを加えるのを忘れないようにしましょう。
6×2×3.14×120/360+6×2=4×3.14+12=12.56+12=24.56cmとなります。
(答え)1 12.56cm 2 24.56cm


円の面積は下図のように円をおうぎ形にどんどん細かく切っていくと、やがておうぎ形は非常に細い二等辺三角形に近づいていきます。これを1つずつ上下に重ねていくと、平行四辺形に近づきます。

この平行四辺形の面積は円周の半分×半径で求めることができるので、

直径×3.14÷2×半径=半径×半径×3.14

という公式ができることになります。


(例題3)
次の面積を求めなさい。(円周率は3.14とします。)
1 直径が12cmの円
2 半径が8cmの円


1は 半径が12÷2=6㎝ですから6×6×3.14=36×3.14=113.04cm2となります。
2は 8×8×3.14=64×3.14=200.96cm2となります。

(答え)1 113.04cm2 2 200.96cm2


おうぎ形の面積は円周のときと同じで、円の面積に中心角の割合をかけていけば良いことになります。すなわち

で計算することになります。


(例題4)
次の面積を求めなさい。(円周率は3.14とします。)
1 半径8cm、中心角45°のおうぎ形
2 半径が6cm、中心角120°のおうぎ形


1は 公式にそのまま入れていきましょう。
8×8×3.14×45/360=8×3.14=25.12cm2
2は 6×6×3.14×120/360=12×3.14=37.68cm2になります。

(答え)1 25.12cm2 2 37.68cm2


3.14の計算は面倒なので、最後に1回で済ませたいですから、しっかり最後まで式を書いて3.14に×ものを決めて最後に1回だけ計算するように工夫してください。

おうぎ形や円については、いろいろな形に変えて出題されていきます。


(例題5)
次の斜線部分の面積を求めなさい。(円周率は3.14とします。)


1は 半径12cmの4分の1円から半径8cmの4分の1円を引きます。
12×12×3.14×1/4-8×8×3.14×1/4
=36×3.14-16×3.14=20×3.14=62.8cm2

このように式を書いて、最後に3.14の計算をします。

2は 直径は16cmの半円から直径が12㎝の半円を引くので
8×8×3.14÷2-6×6×3.14÷2=(32-18)×3.14=14×3.14=43.96cm2

(答え)1 62.8cm2 2 43.96cm2


もう1題やってみましょう。


(例題6)
次の斜線部分の面積を求めなさい。(円周率は3.14とします。)


図のように移せば、4分の1円から三角形を引けば良いことになります。

8×8×3.14÷4-8×8÷2=16×3.14-32=50.24-32=18.24

(答え)18.24cm2 


おうぎ形と円について、基本を整理してみました。分数を使ったり、3.14の計算をしたり、とミスが出やすい単元ですから、式をしっかり書き切り、計算の工夫をするよう、練習してください。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 円とおうぎ形

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差集め算

差集め算とは?

1本30円の鉛筆と1個50円の消しゴムを10個買う場合を考えてみましょう。
30円の鉛筆を10本買うのに必要な金額は30×10=300円です。
一方、50円の消しゴムを10個買うのに必要な金額は50×10=500円です。
この差は500-300=200円になります。一方それぞれの1個の差は50-30=20円になります。
1つの差が20円でそれが10個集まると200円になるのです。差集め算はこれを利用する問題です。
例題をあげてみましょう。


(例題1)
何人かの生徒にみかんを配ることにしました。一人に3個ずつ配ると24個あまり、一人に5個ず
つ配ると8個不足します。生徒は何人いますか。またみかんは全部で何個ありますか。


(解説と解答)
 3.3.3.3.3.3.3… ‥3   24個あまり
 5.5.5.5.5.5.5… ‥5   8個不足
 となるわけですから、全体の差は24+8=32個になります。この差は一人について2個ずつの差が集まってできたのですから、
 32÷(5-3)=16人が人数になります。
 したがってみかんの数は3×16+24=72個になります。
 5個を16人に配ると、5×16=80個ですから80-72=8個不足するので、答えが正しいことがわかります。

 数学で解くと、この問題はこのようになります。
 求める生徒の数をxとすると、 3x+24=5x-8 5x-3x=24+8 2x=32
 x=16と求めることになります。移項の過程で出てくる5-3=2を個々の差として考え、
 24+8=32を全体の差(全差)として考えれば、全差÷個差=個数という求め方ができるのです。


(例題2)
何人かの生徒を講堂の長いす10台に6人がけをして、残りの生徒が8人がけすると、長いすは10台あまります。また全部の長いすに7人がけすると20人がすわれません。生徒の数を求めなさい。


(解説と解答)
長いす10台に8人ずつかけると(8-6)×10=20人さらにすわれますから、8×10=80人とあわせてあと80+20=100人すわることができます。
一方7人ずつすわると20人すわれませんから、全体の差は100+20=120人になります。
したがって120÷(8-7)=120台
7×120+20=840+20=860人

 (答え)860人

差集め算はいろいろな応用があります。


(例題3)
みかんはりんごの3倍の数あります。みかんを一人に8個ずつ配ると15個余ります。またりんごを1人3個ずつ配ると8個不足します。みかんの数と生徒の数を求めなさい。


(解説と解答)
みかんはりんごの3倍ですから、りんごをみかんの数にそろえることを考えます。
 8.8.8.8.8.8…‥8   15個あまり
 3.3.3.3.3.3…‥3   8個不足
 3.3.3.3.3.3…‥3   8個不足
 3.3.3.3.3.3…‥3   8個不足
 したがってりんごがみかんと同じ数だけあるとすれば、1人に3×3=9個ずつ配ると8×3=24個不足することになるのです。  

(24+15)÷(9-8)=39人・・・生徒の数
 8×39+15=312+15=327・・・みかんの数
                                 
(答え)生徒の数 39人  みかんの数 327個


(例題4)
ある会合で1人に25個ずつあめを配る予定でいました。ところが、人数が予定より5人増えたので、一人に20個ずつ配ったところ、20個余ったそうです。
実際に会合に来た人は何人でしたか。


    
(解説と解答)
来た人数に一人に25個ずつ配れば25×5=125個不足することになります。
一方一人に20個ずつ配ると20個あまるので、全体の差は20+125=145個になります。個々の差は25-20=5ですから
145÷5=29人 が実に来た人数になります。                      

(答え)29人

今回は差集め算を勉強しました。差集め算は速さでも使えますし、いろいろな分野で使いこなさなければいけませんが、ポイントは全体の差÷個々の差=個数という概念です。そこをしっかり理解していきましょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 差集め算

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売買損益算

売買損益算は割合を使って解く問題ですが、ことばが難しいので、まずその理解から勉強しましょう。

例えば、りんごを売るくだもの屋さんを考えます。りんごを売るためには、市場から買ってこなければなりません。その値段が1個50円だとします。この値段のことを仕入れ値(仕入れるとは売るために買ってくることをいいます。)とか原価といいます。

さて50円で買ってきたものを50円で売るともうけがありません。したがって商売をするのだから、これよりは高く売ることを考えます。

そこで1個について10円もうけようと考えました。これが利益です。仕入れ値と利益をたしたものがお客さんに売る値段ですから、定価(ていか)とか正価(せいか)という呼び方をします。

さてこの例では50円で買ってきたりんごに10円の利益を加えました。10円÷50円=0.2ですから、仕入れ値の2割の利益を加えて50円+10円=60円で定価をつけたことになります。

このことを2割増(2わリまし)といいます。2割増えたので、2割増ですが、もとが1で0.2増えたのですから掛け算で考えると1+0.2=1.2倍することになるのです。

 50×1.2=60円で確かに定価に等しくなります。

図1

上の図で50円が原価(仕入れ値)です。これに10円の利益を加えて、定価にしました。利益は原価の20%にあたりますから、定価は原価の20%増しになります。

さてこのりんごが売れないので割引(わリびき)をしようと思います。割引というのは値段を安くすることをいいます。この例では60円の値段から10%安くすることを考えましょう。

10%は1割ですから1割引(いちわリびき)になります。1から0.1を引きますから1-0.1=0.9になります。

60×0.9=54円ですから、定価60円のものを1割引にすると54円です。

図2

この例では仕入れ値(原価)が50円でしたので、まだ4円もうかることになるのです。

60円の1割は60×0.1 =6円ですから60-6=54円と計算しても求まりますが、最初から0.9倍するとした方が簡単でしょう。


(例題1)
次の(  )にあてはまる数を答えなさい。

(1)定価200円の商品を2割引で売ると( )円で売ることになります。

(2)仕入れ値400円の商品を3割増で売ると(    )円で売ることになります。


(解説と解答)
(1)
2割引とは0.2引くことですから1-0.2=0.8倍になります。2割引=0.8倍です。
  200×0.8=160
                               (答え)160

(2)3割増とは0.3加えることですから1+0.3=1.3倍になります。3割増=1.3倍です。
  400×1.3=520円
                               (答え)520


(例題2)
 ある商品を1個600円で仕入れ、仕入れ値の4割増で定価をつけました。定価の2割引で売ると1個あたり、いくらもうかりますか。


(解説と解答)
 600円で4割増ですから1.4倍します。600×1.4=840
 840円の2割引ですから0.8倍します。840×0.8=672
  672-600=72
                                   (答え)72円


(例題3)
りんごを1個80円で100個仕入れました。いたんでいた10個は捨てて、仕入れ総額の3割5分の利益をみこんで定価をつけて売りました。このとき、1個の定価はいくらですか。


(解説と解答)
多少ややこしくなってきました。仕入れ総額というのは、仕入れた値段すべて、という意味ですから、80×100=8000円です。

いたんでいた10個を捨てましたから、残っているリンゴは90個です。仕入れ総額の3割5分の利益を出すのですから、8000×1.35=10800円の売り上げが必要になります。売り上げというのは、売れた値段の合計という意味です。

したがって1個あたりの定価は10800円÷90=120円となります。

(答え)120円

売買損益の問題は、まず言葉でひっかかります。あまり聞きなれない言葉をいろいろ使います。割引、定価、原価、利益、「もうかりました」などなど。したがって、実際に問題文を読みながら、その内容を理解することがまず大事です。さらに割合を使ったり、つるかめ算を使ったりなどいろいろ応用の範囲は広がっていきますが、問題文の内容をしっかり読み取って問題を解いていってください。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 売買損益の問題

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