保護者のための算数教室」カテゴリーアーカイブ

中学受験の算数の導入の仕方を説明します。

マルイチ算

割合を学習するとき、こんな問題が良く例題になります。


ある商品を仕入れ、仕入れ値の3割増しの定価をつけました。そして定価の2割引きで売ったところ、1つについて160円の利益がありました。この商品の仕入れ値はいくらですか。


まずは、線分図をかいて、ことばの説明をします。

3割の利益というのは、もとを仕入れ値にしている。したがって仕入れ値が10割に対して、利益は3割だから定価は仕入れ値の13割にあたります。

で、ここから2割引くという時は、もとにする量が定価に変っている。だから2割引く、つまり0.8倍するのは仕入れ値の13割に対して0.8倍することになるから1.3×0.8=1.04で仕入れ値の4%が160円にあたる、ということを説明するわけです。

慣れてくると、子どもたちも仕入れ値を1として

1×1.3×0.8-1=0.04=160円 160÷0.04=4000円

というような式を書いて行けるわけですが、問題はもう少し面倒になって、例えばこんな問題になったとき。


太郎君は持っているお金の$$\frac{1}{3}$$よりも200円少ないお金で本を買い、残りの$$\frac{3}{5}$$よりも100円多いお金でノートを買ったら、最初のお金の$$\frac{1}{4}$$が残りました。太郎君は最初いくらもっていましたか。


$$\frac{1}{3}$$より200円少ないお金を使えば、$$\frac{2}{3}$$より200円多いお金が残り、$$\frac{3}{5}$$よりも100円多いお金を使えば$$\frac{2}{5}$$よりも100円少ないお金が残るので、

($$\frac{2}{3}$$+200)×$$\frac{2}{5}$$-100=$$\frac{1}{4}$$

でこのとき、割合のかけ算と、お金のかけ算がいっしょになるので、それを区別するように考えた智慧ものがいたわけです。

で、割合には○を付けた。

こうすると、最初のお金が①であることがよくわかる。これがマルイチ算の由来です。

私は、WEB上では【1】にしています。まあ、これはWEBだから仕方がない部分がありますが。

したがって式は

(【$$\frac{2}{3}$$】+200)×$$\frac{2}{5}$$-100=【$$\frac{1}{4}$$】

【$$\frac{4}{15}$$】+80-100=【$$\frac{1}{4}$$】

【$$\frac{16}{60}$$】+80-100=【$$\frac{15}{60}$$】

【$$\frac{1}{60}$$】=20円

【1】=1200円

ということになるわけです。

で、これを見たとき、だれもが何だ、一次方程式じゃないか、と思われるでしょう。

だから、じゃあ、方程式を教えればいいんじゃないの?ということになりそうですが、実はこれは単に割合の部分を明確にしているにすぎません。

1にするか①にするか、だけの話。それでミスを減らそうとしているのです。で○がついたから、特別にマルイチ算とどこかの塾か、教材会社が別のテーマとして切り分けましたが、結局は割合の文章題に過ぎないのです。

だから、この解き方を見て、一次方程式を教える方法は、かえって子どもたちにいろいろな負担を強いることになる、と思ってください。

例えば移項を教えるということは、正負の数を考えなければいけなくなる。等号の左側と右側が同じだから、同じ数を足しても、引いても等号関係は変わらないから、と言われて、子どもたちはもっと困惑するのです。

マルイチ算は単に割合に区別をつけるだけの話ですから、「じゃあ、一次方程式」とは置き換えず、単に割合を区別するということだけを確認してあげてください。

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図形の移動

今回は図形の移動について考えていきます。最近はどんどん複雑になってきた感がありますが、まずは基本をしっかり勉強してみましょう。


(例題1)
図1のように1辺が4cmの正方形が、たて6cm、横4cmの長方形に向かって毎秒1cmで進んでいきます。このとき次の問いに答えなさい。

図1

(1)5秒後に2つの面積が重なる面積を求めなさい。
(2)重なる面積が長方形の半分になるのは何秒後と何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)5秒後は1cm×5=5cm進んでいますから、図1-1のようになり、横1cm分だけ重なっています。

図1-1

したがって重なる面積は1×4=4cm2です。

(答え)4cm2

(2)長方形の面積は4×6=24㎝2ですから、その半分は24÷2=12㎝2
重なる部分の面積はたてが4cmと変りませんから12÷4=3cmで横が3cmになるときになります。

これは2回あって、まず増えていって3cm重なる場合。これは正方形の一番左側の辺が4+3=7cm移動しますから7秒後です。

図1-2

続いて全部重なった後、今度は正方形が長方形の右側に抜けていって、また3cm重なる場合。

図1-3

したがって、今度は正方形の左側の線が4+4+1=9cm移動しますから、9秒後になります。

(答え)7秒後、9秒後


(例題2)
図のように1辺が4cmの正方形が、底辺が6cm、高さが8㎝の直角三角形に向かって毎秒1cmで動いていきます。このとき次の問いに答えなさい。

(1)8秒後の重なる面積を求めなさい。

(2)12秒後の重なる面積を求めなさい。


(1)8秒後は図2-1のようになります。

図2-1

このとき、三角形ABC、三角形ADE、三角形EFG、三角形GHCはすべて相似になり、3:4:5の直角三角形です。AD=4cm、DE=3cmですからEF=1cm

FGは1×$$\frac{4}{3}$$=$$\frac{4}{3}$$cm ですから、三角形EFGの面積は1×$$\frac{4}{3}$$×$$\frac{1}{2}$$=$$\frac{2}{3}$$cm2

したがって重なる面積は4×4-$$\frac{2}{3}$$=15$$\frac{1}{3}$$cm2です。

(答え)15$$\frac{1}{3}$$cm2

(2)12秒後は図2-2のようになります。

図2-2

今度はHC=2cmになり、三角形GHCと三角形ABCは相似ですから、GH:HC=4:3

HG=2×$$\frac{4}{3}$$=$$\frac{8}{3}$$

したがって三角形GHCの面積は2×$$\frac{8}{3}$$×$$\frac{1}{2}$$=$$\frac{8}{3}$$=2$$\frac{2}{3}$$

(答え)2$$\frac{2}{3}$$cm2


(例題3)図3-1のようにAB=8㎝、BC=6cm AC=10㎝の長方形を矢印の方にすべらず回転させていきます。点Aが初めて元の位置にもどるときまでに、点Aが移動する長さを求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

図3-1


(解説と解答)

点Aは図のように動きます。最初の半径が長方形の対角線の長さになることに注意してください。このときの回転角度は90°です。


図3-2

したがって10×2×3.14×$$\frac{1}{4}$$+8×2×3.14×$$\frac{1}{4}$$+6×2×3.14×$$\frac{1}{4}$$

=24×2×3.14×$$\frac{1}{4}$$=12×3.14=37.68

(答え)37.68cm


(例題4)図4-1のように1辺が6cmの正三角形を矢印の方向に回転させていきます。点Aが元の位置にくるまでの間に点Aが移動する距離を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

図4-1

(解説と解答)
点Aは下図のように動きます。回転する角度は120°×2=240°です。


図4-2

したがって6×2×3.14×$$\frac{240}{360}$$=8×3.14=25.12

(答え)25.12cm


(例題5)図5-1のように半径が4cm、中心角45°のおうぎ形がすべらず矢印の方向に回転して初めて元の形になるときまでに、点Aの移動する距離を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

図5-1


(解説と解答)
さて、今度はおうぎ形です。これはちょっと注意しなければならないでしょう。起き上がった後、点Aは下の直線と平行に移動します。これは直線からの距離が半径と等しく一定になるからです。

したがって図はこのようになります。

図5-2

直線PQの部分はおうぎ形の弧の長さに等しくなります。したがって赤い線の長さは

4×2×3.14×$$\frac{90}{360}$$×2+4×2×3.14×$$\frac{45}{360}$$=4×2×3.14×$$\frac{225}{360}$$=5×3.14=15.7cmになります。

(答え)15.7cm


(例題6)図6-1のように半径が1cmの円が1辺が4cmの正方形の周りを1周しました。これについて次の問いに答えなさい。

図6-1

(1)1周する間に中心Pが移動する距離は何cmですか。

(2)1周する間に円が通る部分の面積は何cm2ですか。


(解説と解答)

(1)円は下図のように移動します。

図6-2

角のところは半径1cmのおうぎ形に弧にになりますが、4つ分あるので、ちょうど円1周分です。

したがってPが移動する長さは4×4+1×2×3.14=16+6.28=22.28cmになります。

(答え)22.28cm

(2)円が通る面積は下図のオレンジの部分です。

図6-3

角の部分はこんどは半径が2cmのおうぎ形になりますが、これも4つ分あるので、ちょうど円1個分です。
長方形の部分は4×2が4つあります。

したがって2×2×3.14+4×2×4=12.56+32=44.56cm2になります。

(答え)44.56cm2

基本的なパターンを並べてみました。実際にはもっと複雑な動きをする問題が多くなってきていますが、どういう風に動くのか、しっかりイメージをして、作図をしてみてください。

作図をすることによって、だんだん、動き方への理解が深まっていき、問題を解くカギが見つかりやすくなるでしょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

算数5年後期第18回 算数オンライン塾「図形の移動(2)」

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点の移動

今回は点の移動について学習していきます。まずは基本的な問題をしっかりマスタ-してください。


(例題1)
1辺が12㎝の正方形の辺上をAから点Pが毎秒1cmの速さでA→D→C→Bと進んでいきます。三角形APBの面積が正方形ABCDの3分の1になるのは何秒後と何秒後ですか。


(解説と解答)
12×12=144 144÷3=48cm2ですから、APの高さは48×2÷12=8㎝ということになるので、BPの長さが8㎝のときも3分の1になることになります。
したがって最初は8÷1=8秒後
もう1回は12×3-8=28cmですから28÷1=28秒後です。
(答え)8秒後 28秒後


(例題2)
点PはAから、点QはCから同時に出発して矢印の方向に長方形ABCDの辺上を移動します。点Pの速さは毎秒1cm、点Qの速さは毎秒2cmです。
次の問いに答えなさい。

(1)2点が初めて重なるのは出発して何秒後ですか。
(2)出発して28秒後の三角形PBQの面積は何cm2ですか。


(解説と解答)
(1)間の距離は18+30=48cm 2点の速さの和は1+2=3cmですから48÷3=16秒後
(答え)16秒後

(2)Pは1×28=28cmですから、28-18=10㎝でBから10㎝のところにいます。
またQは2×28=56cmですから、56-30-18=8㎝で、Aから8㎝のところにいます。

したがって三角形PBQの面積は10×18÷2=90
(答え)90cm2


(例題3)
図のような台形の辺上を点PはAから、点QはCから同時に出発します。
点Pの速さは毎秒1cm、点Qの速さは毎秒3cmです。
次の問いに答えなさい。

(1)直線PQが直線ABとはじめて平行になるのは何秒後ですか。
(2)直線PQが直線CDとはじめて平行になるのは何秒後ですか。
(3)四角形ABQPの面積が初めて台形の半分になるのは何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)APとBQの長さが等しくなれば直線ABと直線PQは平行になります。
したがって12÷(1+2)=4秒後
(答え)4秒後

(2)PDとCQの長さが同じになれば、直線PQは直線CDと平行になります。
AP:CQ=1:2より
6-【1】=【2】ですから【3】=6より【1】=2cmになるので、
2÷1=2秒後
(答え)2秒後

(3)APとBQの和が6+12=18㎝の半分になれば、台形の半分になります。
AP=【1】とするとBQ=12-【2】より AP+BQ=【1】+12-【2】=12-【1】=9より【1】=3
3÷1=3秒後
(答え)3秒後


(例題4)
図のような台形ABCDがあります。点PはCを出発して、矢印の方向へ一定の速さで辺上をBまで動きます。
グラフは、点Pが出発してからの時間と三角形PBCの面積の関係を示したものです。これについて次の問いに答えなさい。

(1)辺BCの長さは何cmですか。
(2)点Pの動く速さは毎秒何cmですか。
(3)三角形BPCが初めて台形ABCDの$$\frac{3}{7}$$になるのは何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)グラフから三角形BCDの面積が100㎝2ですから、
100×2÷10=20cmがBCの長さです。
(答え)20cm

(2)5秒間でCからDまで10cm移動したので、10÷5=2cm
(答え)2cm

(3)AD間は9-5=4秒ですから、AD=2×4=8cmです。
したがって台形ABCDの面積は(8+20)×10÷2=140cm2です。
三角形BPCの面積が140×$$\frac{3}{7}$$=60cm2になるときですから、
60×2÷20=6cm 6÷2=3秒後
(答え)3秒後


(例題5)
図1のような台形ABCDがあります。点PはAを出発して、毎秒1cmの速さで辺上を矢印の方向にCまで動きます。図2は、このときのPが動き始めてからの時間と、三角形PCDの面積の変化のようすを表したものです。これについて次の問いに答えなさい。

(1)辺AD、BCの長さはそれぞれ何cmですか。

(2)三角形PCDの面積が66cm2になるのは、点Pが動き始めてから何秒後と何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)グラフから三角形ADCの面積が60cm2、三角形BCDの面積が72cm2であることがわかります。
60×2÷12=10cm・・・AD 72×2÷12=12・・・BC

(答え)AD 10cm BC 12㎝

(2)グラフから0秒から12秒間の間に72-60=12㎝2の面積が増えていますから、12÷12=1cm2の面積が毎秒増えるので、
(66-60)÷1=6秒後・・・1回目

次に12秒後から24秒後に72cm2へりますから、72÷12=6cm2 が1秒間に減る面積なので、72-66=6
6÷6=1秒後より12+1=13秒後

(答え)6秒後 13秒後


(例題6)
点Aから同時に点P、Qが円周上を矢印の方向に移動します。
Pは1周12秒、Qは1周24秒かかります。このとき次の問いに答えなさい。

(1)最初に2点が重なるのは何秒後ですか。
(2)最初に円の中心0と点P、Qが一直線になるのは何秒後ですか。


(解説と解答)
(1)角速度で考えます。Pは360÷12=30°が秒速になり、Qは360÷24=15°が秒速になります。
したがって重なるのは360÷(30+15)=8秒後
(答え)8秒後

(2)一直線になるのは、2つの点の間の角度が180°になるときですから、
180÷(30+15)=4秒後
(答え)4秒後

点の移動は速さと相似形が合わさったようなテーマなので、いろいろな応用問題が入試では出題されています。

しっかり自分で図を描いて、どの位置にいるのか、どういう図形ができるのかをしっかりイメージしてから解いていくと良いでしょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

算数5年後期第17回 算数オンライン塾「図形の移動(1)」

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