保護者のための算数教室」カテゴリーアーカイブ

中学受験の算数の導入の仕方を説明します。

場合の数 順列

今週は場合の数の中から順列について考えます。

中学受験の場合の数は高度で、大学受験のような問題も散見されますが、まずは基本的なことを考えていきましょう。

順列と組み合わせ

場合の数には大きく2つの考え方があります。
ひとつは順列。そしてもう一つは組み合わせです。この区別をまずつけておかなければなりません。

例えばABCという3つの文字があります。

これは組み合わせとしては1通りになります。しかし、順番を考えると
ABC ACB BAC BCA CAB CBA
と6通りになります。

このように並べ方(順番)を考えるのが順列の考え方です。一方、順番を考えない場合の数が組み合わせです。ABCであろうとBACであろうと1通りである、と考えるのが組み合わせです。

例えばABCの3人の中から2人の日直を決めるのは、日直の間に区別がありません。したがってAB、AC、BCの3通りしかありません。これはだれを除くか、で考えてもよく、日直にならない人は3通りあるので、答えは3通りあります。

しかし、ABCの中から議長と副議長を決める場合の数は、これでは間違いになります。つまり議長と副議長では区別がついているのでAが議長でBが副議長の場合と、Bが議長でAが副議長の場合は違うのです。

したがって議長の決め方は3通り、議長が一人決まったところで、残り2人だから副議長の決め方は2通り。全体の決め方は3×2=6通りとなります。

場合の数については、順番があるか、ABCとBACは違うのか、同じものなのかをまず判断して、そこから次のステップに向かってください。

順列の考え方


1、2、3、4の4枚のカードがあります。これを使って3ケタの整数を作ると、作り方は何通りありますか。


最初のうちは樹形図を書くよう練習するでしょう。これはイメージを作るためには大事なことです。例えば百の位を1とすると、以下のような表をつくることができます。

 全部で6通りありますから、百の位が1から4まで4通りあるので、

6×4=24通りと考えることができるでしょう。

この問題は3つのマスを考えます。

この枠に1つずつ数を入れていくことを考えます。まずAに入る数の入れ方は4通りあります。ひとつ使ってBに入れる入れ方は3通り、Cに入れる入れ方もまた1つ減るので2通り。

したがって4×3×2=24通り と答えを出します。

これが積の考え方です。

場合の数にはもうひとつ和の考え方があります。次の問題を考えてみましょう。


図のようにAからまっすぐCまで行く道が1つ、AからBまでの道が2つ、BからCまでの道が2つあります。AからCまで、後戻りせず行く行き方は何通りありますか。


AからBまでは2通り、BからCまでは2通りですから、AからBを通ってCに行く方法は積の考え方で2×2=4通りです。

しかしAからCまでまっすぐ行く行き方はBとは関係ありません。したがってこれは先の4通りに加えなければならないので、4+1=5通りです。

これが和の考え方です。順列では、この積の考え方と和の考え方を使って問題を解いていきます。


ABCDEの5人を1列に並べます。次の問いに答えなさい。
(1)Aが先頭にくる並び方は何通りありますか。
(2)ABがとなりになる並び方は何通りありますか。


並ぶのですから、これは順番があります。したがって順列の考え方で問題を解いていきましょう。
まず(1)ですがAが先頭に来ると残りは4人です。2番目にくるのは4通り、3番目にくるのが3通り、4番目にくるのが2通り、5番目にくるのが1通りになるので、
4×3×2×1=24通り になります。
(答え)24通り

(2)ABが必ず並ぶために、まずABをセットにして1人にしてしまいます。そうすると5人は4人と同じですから、
4×3×2×1=24通りの並び方になります。ただ、ABと並ぶか、BAと並ぶかで2通りあるので
24×2=48通りが答えになります。
(答え)48通り

道の問題

和の考え方を使って、最短で行く道の問題を解くことができます。


AからBまで最短で行く方法は何通りありますか。


下図で、AからDへは1通り。AからCへも1通りです。したがってEに行く行き方は1+1=2通りになります。
AからFへは1通りですからGに行く行き方はFからとEからをたすので
1+2=3通りになります。
このようにして和を繰り返すと右図のようになり、AからBまでの行き方は6通りということになります。

(答え)6通り

旗のぬり分け

旗のぬり分けは、積の考え方で解いていきます。


図のような旗を赤、青、白、緑の4色でぬりわけます。これについて次の問いに答えなさい。

(1)4色すべて使って、となりが同じ色にならないようにぬり分ける方法は何通りありますか。
(2)使わない色があっても良いが、となりが同じ色にならないぬり分け方は何通りありますか。


(1)
すべての色を使うとAに4通り、Bに3通り、Cに2通り、Dに1通りですから、
4×3×2×1=24通りです。
(答え)24通り
(2)使わない色があっても良いとすると、最低何色でぬり分けられるでしょうか。
同じ色であっても構わないのはBとDだけです。したがって(1)以外に3色でぬりわける方法があります。
使わない色が4通り。3色を赤、青、白としましょう。そうすると、Aには3通り、BDには2通り、Cが1通りですから、ぬり方は4×3×2×1=24通り
したがって合計24×2=48通り
(答え)48通り

ということで、順列の基本の考え方について説明しました。順列の意味、和の考え方、積の考え方をまず理解した上で、やはり問題演習をしながら慣れていくことが必要です。

樹系図を書いて全部書き出す、という問題もたまに出題されますし、全部が全部計算で出るわけではありません。したがって柔軟に対応できるように、練習していきましょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 場合の数 順列

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柱体とすい体

今週は柱体とすい体、さらに回転体について勉強していきましょう。

(1)柱体

ある底面をまっすぐ上に移動していったときにできる立体のことです。三角形をまっすぐ上に移動すれば、三角柱、円をまっすぐに上げれば円柱ということになります。

このとき、底面をまっすぐに動かした距離のことを高さといいます。柱体の体積は底面積×高さで求めることができます。

柱体の体積=底面積×高さ

柱体を展開図にしたとき、底面が2つともうひとつ、長方形ができます。

図の右側は、円柱を展開図にしたものですが、底面2つと長方形ができます。この長方形のことを側面といいます。側面の面積のことを側面積といいます。表に出ているすべての面の面積を表面積といいます。

側面席は底面の周りの長さ×高さで求めることができます。

側面積=底面のまわりの長さ×高さ

したがって表面積は底面積×2+側面積になるわけです。


(例題)
半径が6cm、高さ8cmの円柱の体積と表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。


(解説と解答)
半径が6㎝ですから、底面積は6×6×3.14 これに高さをかければよいので、6×6×3.14×8=288×3.14=904.32cm3が体積です。

一方表面積は6×6×3.14×2+6×2×3.14×8=72×3.14+96×3.14=168×3.14=527.52cm2になります。

(答え)体積 904.32cm3 表面積 527.52cm2

(2)すい体
A 角すい

すい体は底面上の1点から垂直線をのばし、その線上の点(頂点)と底面の各点を結んでできる立体のことです。底面が三角形であれば三角すい、四角形であれば四角すいと言います。

頂点と底面の間の長さが高さになります。

すい体の体積は

すい体の体積は底面積×高さ×1/3 

です。

なぜ3分の1か、という問題ですが、立方体は実は3つの四角すい(底面は正方形)でできているのです。

図のようにA、B、C3つの四角すいが立方体の中にちょうど入っていることがわかるでしょう。ここから、すい体の体積は柱体の体積の3分の1という考え方ができるのです。

B 円すい

円すいは底面の円の中心から垂直に伸ばした線上の点と底面をつないだ立体を言います。

頂点から底面の円までの距離はどこでも同じです。この距離のことを母線といいますが、長さが同じですから、側面はおうぎ形になります。

このとき、おうぎ形の弧の長さと底面の円の円周は同じになるので、

半径×2×3.14=母線×2×3.14×中心角/360

という公式が生まれます。

円すいの体積=半径×半径×高さ×1/3

円すいの側面積=母線×半径×3.14

円すいの表面積=円すいの底面積+円すいの側面積=半径×半径×3.14+母線×半径×3.14=(半径+母線)×半径×3.14

ということになります。


底面の半径は6cm、高さ8cm、母線10cmの円すいがあります。これについて次の問いに答えなさい。ただし円周率は3.14とします。
(1)この円すいの体積を求めなさい。
(2)側面の中心角を求めなさい。
(3)この円すいの側面席を求めなさい。


(解説と解答)
(1)公式通りですから、6×6×3.14×8×1/3=96×3.14=301.44cm3
(2)中心角/360=半径/母線 ですから360×6/10=216°
(3)母線×半径×3.14=10×6×3.14=188.4cm2

(3)回転体

ある平面図形を直線を軸にして回転させてできる立体を回転体といいます。

長方形を軸を中心に360°回転させると、円柱になります。

三角形を軸を中心に360°回転させると、円すいになります。


下図のような図形をLを軸にして1回転させてできる立体の体積と表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。


(解説と解答)

図のようになります。体積は、円柱と円すいの体積の合計です。式を書き切って、最後に3.14の計算をすることにしましょう。

円柱の体積 6×6×3.14×3+円すいの体積6×6×3.14×8×1/3=(108+96)×3.14=204×3.14=640.56cm3

表面積は円すいの側面積+円柱の側面積+円柱の底面積になります。これも式を書き切って、最後に3.14の計算をします。

10×6×3.14+6×2×3.14×3+6×6×3.14=(60+36+36)×3.14=132×3.14=414.48

(答え)体積 640.56cm3 表面積 414.48cm2

最近は立体の問題が増えてきました。例えば直方体と切断したり、立体図形をくりぬいたりしていますが、まず基本はここですから、しっかり公式を覚えてください。

なぜこの公式になるのか、理由も覚えておくと良いでしょう。それを利用して解く問題もありますので、注意しておきましょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。


算数オンライン塾 柱体とすい体

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過去4回のまとめ

過去4回、食塩水の濃度、売買損益算、差集め算、円とおおぎ形についてご説明しました。

食塩水の濃度
売買損益算
差集め算
円とおおぎ形

以前は、それぞれ5年生の2学期に勉強する内容でしたが、すでに半年早く学習する塾が増えてきているようです。

これらの単元の前提として分数、小数の計算、割合の理解が不可欠です。食塩水の濃度や売買損益に関してはもとにする量が何なのかをしっかりとらえていなければなりません。

特に売買損益算は、言葉が難しい。

原価、仕入れ値、定価、正価、利益、売上、など日ごろ子どもたちが使わない言葉がどんどん算数の問題の中に出てきます。また歩合の計算もよくミスを引き起こします。

例えば2割増し、というのは当然0.2が加わるので1.2倍しなければなりません。同様に2割引きは0.2引くわけですから0.8倍しなければなりません。

また円とおおぎ形の計算も分数、小数の四則計算のオンパレードです。ここでは式を書き切り、3.14の計算はなるべく1回で済ます、とどの塾でも教えると思いますが、最初のうちはなかなかできないので、これも練習が必要でしょう。

毎日少しずつでも計算練習をしながら、314の暗算も覚えていくと、やがて正確にできるようになりますから、コツコツ積み重ねていきましょう。

以下のプリントもお役立ていただければと思います。

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