まだまだ母親講座」カテゴリーアーカイブ

第35回 どんとかまえる

■受験間近になってくると、お母さんは大変不安になってきます。その一番が「落ちたらどうしよう」でしょう。不安というのは、どうしても生じるものですし、模擬試験の結果が返ってくるたびに気にしないようにとは思いつつも、ふと不安になることが多いのではないでしょうか。

■ただ、その結果としてお母さんが慌ててしまうと、あまり良い結果にはなりません。家庭教師を頼んでみたり、塾を増やしてみたり。お母さんたち同士の話が、また不安の材料になるらしく、自分もじっとしてはいられないという気になられるようです。

■ただ、お母さんのそういう姿を見て、子どもはどう思うでしょうか。「そうか、お母さんが心配しているから、僕は危ないんだ」とそう感じるかもしれません。この時期の子どもたちにはただですらプレシャーがかかります。今まで良くできた子どもたちがミスを繰り返したり、覚えていたはずの知識が出てこなかったり。これはこれで打つ手があるのですが、お母さんが慌ててしまったり、あるいはお母さんのプレッシャーでそうなる場合もあるものです。

■土台、ここまで培った力がどこかへいくはずはないのです。ですから、この時期一番集中すべきことは、持っている力を出し切ることです。模擬試験ではできなかった問題も、家に帰ればできるでしょう。つまり、元からできる力を持っているのです。ただ、それが試験会場でできないのは、当たり前ですが心理的な問題なのです。

■ですから、お母さんがこの時期やらなければいけないことは2つです。1つは子どもの健康管理。そしてもうひとつが「どんとかまえること」です。「私の子どもだから何とかする」そう信じていただきたいのです。このことに根拠はいりません。ただ、そう思えばいいのです。実際に不安は試験の結果が出るまでなくなりはしません。だから、その不安におびえていても仕方がないのです。むしろ試験の結果が出てから、それを最大限良い方向に持っていけばいいのだと考えてください。

■子どもたちとすれば、本当に自分の力で何とかしなければならない初めての試練かもしれません。ですから、思い切り力を出し切ってもらうことが大事なのです。その結果として、子どもたちは来年の4月に新たに中学生としてまた学校生活をスタートさせるのです。そのとき、どのような結果になってもベストルートに進んだのだと考えてあげてほしいと思います。お母さんがそんな気持ちにあふれてくると、子どもたちはちゃーんと自分の力を出してくれるでしょう。

(田中 貴)

(2005年12月22日)

第34回 4・5年生のモチベーション

■新年度に向けて子どもたちが塾にやってきています。ただ、多くの子どもたちは塾に行かされている状態ではないでしょうか。「~ちゃんも行っているから、私も行く」と言い出した子どもたちも少なくありません。いずれにしても、勉強をしようとか、中学に合格しようとかいう動機はあまり見当たりません。

■こういう子どもたちに以前にもまして早くなり、分量も多くなったカリキュラムをやらせていくと、当然のことながらオーバーフローがおこります。1週間の勉強が終わらない、宿題もできない、成績も上がらない、という状況は普通におこります。

■お母さんとすれば、何とかしなければ、という気持ちになるのは当然でしょう。「勉強しなさい」と半ば怒りながら、子どもの横について勉強させようとするお母さんは少なくありません。しかし、土台まだモチベーションができていない子どもたちにとっては苦痛以外の何ものでもないのです。

■「そんなにやらないのなら、塾なんかやめてしまいなさい」といえば、多くの子どもたちは「やめない」というでしょう。だって子どもたちはお母さんがそんなことを望んでいないのは百も承知だからです。でも、勉強はなかなかできないでしょう。「頭の中ではわかっていても実際の行動に移せない」これはやはり子どもたちが幼いからです。

■私は4、5年生のうちは、とにかく楽しく勉強してもらうこと、基本をていねいに勉強し、今できることだけに集中してもらっています。高校受験や大学受験と違い、子どもたちは夜遅くまで勉強することはできません。その分受験準備が長くなっているわけですが、一方で最初からやりすぎてしまうと、勉強することがいやになってしまうことが少なくないからです。

■5年生の後半ぐらいから志望校がだんだん絞られてきて、ようやく子どもたちの動機ができ始めてきます。だからといって、本気で勉強し始めるのは6年生の後半であることがほとんど。ただ、この時期はさすがにみんな真剣ですから、それなりに伸びていくものです。伸ばすべきときに伸ばす、このことをしっかり頭の中に入れて、4・5年生のうちは結果をあせることなく、なるべく楽しく勉強できるように心がけてください。

(田中 貴)

(2005年12月14日)

第33回 テストの必要性

■近年、中学入試が加熱する中で、週例テストや月例テストに対する風評があまり良くありません。しかし、テストは本当は必要だと思うのです。何がわかっていて、何ができないのか、これを判断する方法はテストが一番です。毎週や毎月の学習を総括する意味でもテストは大事でしょう。ところが、これが組分けテストに使われるとなると話が変わってきます。

■塾によっては毎月テストによってクラスを変えるところがあります。あるいは座席もそれで決めるようなところもあるようです。その結果として、自分の位置がはっきりしすぎる分、子どもたちには月例テストや週例テストが負担になってくるのです。テストを前に、塾に行きたくない子どもたちは決して少なくないでしょう。

■確かにこの組分けテストには変なところがあります。例えば子どもたちの教科のバランスは教科ですべてそろっているわけではありません。例えば算数の偏差値が60、国語の偏差値は40というのはよくあることなのです。しかし、この子は総合で50になってしまうので、算数はやさしい、国語はむずかしいクラスに配置されてしまいます。自分のレベルに決して合うことのないクラスに入るわけです。

■子どもたちにとってはストレスのある試験ですが、しかし組分けがなくなったらどうでしょうか?例えば漢字を覚えているかどうかを確認するためにはやはり、漢字テストをするでしょう。その週や月の理解度を確認するにはテストが必要なのです。それにテストをしてデータを集めれば、何ができて、何ができないかがはっきりしますから、すべての範囲を復習しなくても、できなかったところだけやればいいので、勉強が一気に効率よくなります。

■中学受験が過熱化し、塾で組分けテストが当たり前になって、テストが悪者になっているような気がするのですが、本来テストは子どもの勉強を効率よくするために必要なものなのです。実際に入学試験は筆記テストで行われますから、テストの練習はどうしても必要です。ただ、クラスを決めたり、席次を決めたりするから、ストレスが大きくなるのです。

■順位や偏差値はどうでもいいのです。それよりもやってきた答案に注目してください。答案には子どもたちの問題がいろいろ表れてきます。検算をやっていない、字をていねいに書いていない、筆算を書いていない、いろいろな問題点があるでしょう。それをひとつひとつ改善していくことが必要なのです。何ができないのか、どうすれば点数がとれるようになるのか、実際のテストを通じて問題点を明確にして、具体的な対策を立ててほしいと思います。

(田中 貴)

(2005年12月5日)