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第46回 逆転の発想

一般的に受験というのは、基礎から積み上げていって、いろいろなことができるようになり、最後に入試問題に挑戦するという形をイメージされるのではないかと思います。

そして、その過程に組み分けテストや月例テストがあり、順番が決まっていく。

だいたいお子さんの力はこの程度、ということが決まって、レベルに合わせた学校に挑戦するというのが、今の大方の受験スタイルではないかと思います。

しかし、どうしてもこの学校に入れたい、と考えた場合、それでは間に合わなくなります。

土台積み上げていくというのは、全部やるということだから、中学2年までの過程を積み上げることになります。だから、大変でしょう。

そこでお勧めしているのが逆転の発想です。

一通り、6年生の1学期でカリキュラムの進行は終わりです。すでに終わっているところもあるかもしれませんね。そこでその段階で第一志望の過去問をやるのです。そうすると、何ができないか、ということが明確になる。

そこにパッチをあてるというか、その部分をしっかり復習していく。復習はこれまで使ったテキスト、プリントを使ってもいいし、参考書のテーマ部分をひろいあげてもいいでしょう。

そして過去問にもどる、の繰り返しをやるのです。

手に入る過去問は大方、10年分でしょう。残りは、出題傾向が類似した学校の過去問をやればいいのです。

そしてまたパッチをあてる。

こうすると、

(1)出て
(2)出来ない

ものだけを学習することになります。これだと短期間に力をつけることができるから、組み分けテストの結果を逆転できる可能性が出てきます。

組み分けテストの結果として、レベルにあった学校を選ぶということであれば、この方法を敢えて用いることはないでしょう。

ただ、子どもはまだ小学生。大いに高望みをするのも悪いことではない。

「うちはこの学校レベルでないと、お金は出さないよ。」

というのは、当然あっていい話ではないでしょうか。ただ、そう思っていても方法論が、あっていなければ結局、組み分けテストの結果で決まっていくことになるでしょう。

だから夏からの勉強が本当に大事なのです。それが今まで通りだったとしたら、当然結果もそう変わりはしないでしょう。しかし、それを変えるのは子どもではありません。親です。親がやり方を変える、そして子どもがモチベーションをもって短期間にがんばるということができれば、逆転はできるものだと思います。

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第45回 学ぶべき時期を選ぶ

5年生で、光と音を習います。

ただ、光と音に関して入試問題に出る範囲といえば、速さの問題であったり、凸レンズの屈折の問題であったりするのです。
ということは、速さができないといけないし、相似形がわかっていないとできないということが多いもの。

なのに、なぜ5年生で音と光をやるか。
これは6年生の理科が以前お話したとおり、力学、電気、水溶液などで詰まっているからです。

音と光の問題も非常に重要ですが、これらのテーマに比べるとまだ重要度が低い。だから5年でやってもということになるのですが、しかしながら、
本当にわかっていなければならないことは、むしろ6年生の夏期講習や秋の勉強でフォローする内容になるのです。

だから、この時期はほんとうにさわりだけ。

それでも1年前に習うことを思い出すことになるのだから、結局はもう一度やり直すということにはなるはずです。

そうなると6年に積み残すことが結構多くなる。だから第一志望の傾向とのリンクがどうしても必要になってくるわけです。ただ、今の塾の学習は、どうしてもカリキュラムの進行に合わせてやりますから、比重のつけ方が難しい。ここが教える側の力量でもあるのです。

先の勉強をどう考え、今何をなすべきなのか、何を教えておくべきなのか。
忘れるということを前提にして、5年生の勉強を組み立てるということは、やはりベテランの先生だからできるといってもいいことかもしれません。

最近は、塾の現場に学生講師の姿が多くなりました。学生講師自体が悪いとは思いません。年令も子どもたちに近いし、やる気もあるだろうと思うのです。ただ、何もかも全部やらせてしまうという傾向は、どうもぬぐいされない。だからご家庭である程度咀嚼して考えてあげる必要があるでしょう。

私は5年生ではずいぶんのんびりした指導をしています。先日も5年生のお母さんと話をしていて
「お友達はもっと大変みたいなんですけど」
という話を聞きました。そうだろうなと思います。ただ、それが十分子どもたちの力になっていればいいが、今の5年生の精神年齢を考えると、どうしても気持ちが追い込まれてしまいがちになると思うのです。そうなると、自信がつかない、やる気が出ない、ということが度重なっていき、本当に勉強していたの?というような状態になってしまうことが多々あります。

やり切れる課題を見極めて与えること、そしてやりきったという達成感、できるという自信、そういうものを積み重ねていった方がよほど、6年生で力を発揮してくれるようになると思います。

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第44回 お盆休みだけで大丈夫か?

夏期講習、どの塾でもお盆休みはありますね。

ただ、この1週間だけが自宅で学習できる時間になってしまうと、スケジュールとしてくるしい部分が出てきます。

私は、できれば2週間ぐらい、夏休みに時間がほしいと思っています。ひとつは自分の不得手な部分や、まだわかっていないところを自分で復習する時間。そしてもうひとつは過去問をやる時間です。

過去問は秋も押し迫ってからやる塾もありますが、私は出来る限り早く始めます。まず、子どもにどういう問題がでるのかを意識してもらう必要があるからです。何ができないといけないのか、ということがわかれば勉強の態度は変わります。

例えば、記述の問題を飛ばす子も、「記述が出る」とわかればその練習をやるようになるのです。
過去問になると異様な集中力を発揮する子もいます。これが普通。だから子どもたちのモチベーションを引き出すためにも、そろそろ過去問は意識してやった方がいいのです。

もちろん、この時期スラスラとけるわけがありません。だから、じっくり取り組みたい。こういう問題はどうやって解くのか、実際に解説を読んだり、考えたりしながら体得していく時間が必要なのです。

塾の時間は情報を与えられる時間です。その情報を咀嚼(そしゃく)し、自分の力に変えていくためには、自分の机の上でやる勉強が必要です。これがなければなかなか自分の力になりません。

塾だけ行っていれば大丈夫、なんてそんなことは絶対にない。勉強の本質はあくまで自分で考えるという時間を積み重ねることにあります。私が作っているDVDでも同じです。情報として与えられる、だからそれをなぜそうなるのか、自分で考える、納得する時間がいるのです。

その時間を与えず、情報だけ与えていても、子どもに力はつきません。

お盆休みだけで大丈夫ですか?

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