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第37回 5年生のカリキュラム

■4月になって5年生の算数と理科の授業をやっています。カリキュラムを見ながら、これは大変だなあと思うことが多くなりました。最近の塾のカリキュラムは5年生が終了する段階で一通り受験カリキュラムは終わるというのが目標なのだそうです。しかし、4年生の少なくとも前半まではまだまだ受験勉強ができる精神年齢ではないので、結局5年生に負担がきます。毎週のカリキュラムをこなすのが結構大変ではないかと思います。

■分数の計算や小数の計算もどんどん出てきますし、円周率を使って円やおうぎ形の面積やまわりの長さも出します。もちろん、できるお子さんも多いでしょう。ただ、心していただきたいのは「ついていけないと中学受験は無理だ」という考え方を親は絶対に持ってはいけないということです。

■子どもの精神年齢の成長はその子、その子によって違います。したがって早くいろいろなことに興味を持ってできる子どももいれば、そうではない子どももいるのです。ところができないと「ついていけない」というカテゴリーに入って、親も子も焦り気味になってしまうご家庭が少なくないのではないでしょうか。

■例えば算数についていえば、小数がわかり、分数がわかり、線分図がわかり、割合がわかり、比がわかりとすこしずつステップアップしていけば、できる問題の幅はどんどん広がっていきます。理解が理解を呼ぶ循環になるからです。ところが最初に詰め込もうとするあまり、しっかりした理解がないと、理解が理解を呼ぶ循環に入りませんから、いつまでたってもできないということになるのです。

■5年生のこの時期は、まずおもしろいと思ってもらうことが大事。次に計算に対する自信がでてくればまずはOKなのです。中には時間がかかる子もいるでしょう。時間がかかるうちはあわてて時間を短くしてはいけません。そうすると、本人があわてて本当に理解するステップを飛ばしてしまう可能性があるからです。

■「ここまで、終わらなきゃいけないんでしょう?」「え、誰が決めたの?」「え、違うの?」「まずはできるところまで、いけばいいでしょ。それよりも、本当にわかるのか、よく考えてね。わからないときは、わからないっていわなきゃだめだよ。」今のうちは、こつこつとわかることを積み重ねていくことが大事だと思います。

(平成17年4月14日)

第36回 海外の塾

■最近、海外の塾の関係者と続けてお話する機会に恵まれました。日本人を対象にした塾は実は日本だけでなく、世界中に広がっています。もちろん、ある程度の数の日本人が住んでおられる地域でなければなかなか成り立たないのでしょうが、中学受験熱がまた上がってきて海外でも多くの生徒を集めている塾があるそうです。

■私が帰国子女の仕事に携わったのは今からもう20年近く前のことになります。そのころは海外にはほとんど塾はありませんでした。したがって海外から中学受験の準備をするとなると大変で、ほとんどが通信教育になってしまいます。これから海外に赴任される方とずいぶんお話をして、もっていく参考書や問題集のアドバイスをしたものです。

■しかし、今はだいぶ状態が改善されました。インターネットの普及で各学校の情報は簡単に手に入るようになりましたし、通信教育や参考書、問題集も海外から簡単に注文することができます。また塾も海外にできましたから、実際に帰国した後の準備も海外在住中からできるようになりました。

■私が帰国子女の相談を受け始めたころは、私立中学に海外子女枠というのもほとんどありませんでした。そこでいろいろな学校を訪ねて、帰国子女を入学させてほしいというお願いをよくしたものです。今ではずいぶんたくさんの学校が帰国子女枠を作って私学に迎えてくれるようになったので、これも大分進歩したと思います。

■とはいっても、もちろん国内にいるほど便利ではありません。ただ、私はせっかく海外にいるのだから、その分日本ではできない経験がたくさんあると思うので、あまり塾や進学にこだわりすぎない方がいいのではないかと思っています。

■来月、海外の塾のひとつにお話に行く機会を得たので、海外にいらっしゃる皆さんのお話を伺う良いチャンスだと楽しみにしています。帰国子女に関する情報はあまり、サイトで扱わなかったのでこれからはもう少し、この面でも充実させていきたいなと考えているところです。

(平成17年3月27日)

第35回 東大前期

■最近、春の東大の合格者の多い学校が難しくなるという定説?が出始めているので、久しぶりにサンデー毎日を買ってみました。昔は東大新聞がすべての合格者を発表していましたから追跡も完璧でしたが、今はプライバシーの問題もあるので判明率は83.9%だそうですが、関東の私立校が並んでいます。

■上位から関東の私立にマルをつけてみました。開成、麻布、駒場東邦、桜蔭、栄光学園、海城、聖光学院、巣鴨、桐蔭学園、渋谷教育幕張、女子学院、桐朋と続きます。この間、関東以外の学校は灘、ラサール、洛南の3校しかないのです。公立高校は1校もありません。女子学院、桐朋がともに27名の合格ということで、その後はいろいろな学校が並びます。

■この後に並ぶ学校が来年難しくなるのかなと思いながら、さらにマルをつけてみると浅野、城北、攻玉社、雙葉、白百合、芝、豊島岡女子、開智、暁星、早稲田、世田谷学園、頴明館で最後の3校が5名の合格者です。これでみると攻玉社とか開智、世田谷学園、頴明館あたりが来年難しくなるのかなあと思います。とはいってももうすでにどの学校も十分難しいと思いますが。

■来年は6年生の人口が増え、小石川、両国の公立一貫校も入るので受験総数が4万8千人~5万人程度、受験率は16~17%になるといわれています。どこの資料を読んでも「厳しい」「むずかしい」という話で、実際私立国立の定員合計が42000人ですから6千人~8千人は入れないということになるわけで、入試はバブル期以上の競争率になりそうです。

■しかし、これらの有名校以外にもめきめき力をつけてきている学校があります。偏差値が高い学校がいい学校に思えてしまいがちですが、これから伸びてくる学校はそれだけ教育には熱心ですから、偏差値が高いだけの学校よりはいいかもしれません。

■思えば今上位にいる私立も今から5年、10年前には本当に募集に苦労していました。しかしこの間にしっかり努力をしてきたからこそ、今多くの優秀な子どもたちを集められるようになったのです。子どもの性格を考えながら、それこそ伸び盛りの学校を選ぶというのもひとつの方法ではないでしょうか。

(平成17年3月18日)