わかるとうれしい

子どもが勉強していて、一番表情が変わるのは、やはり「わかった」と思えた瞬間です。

それまで首をかしげていた問題でも、あるところでふっと道筋が見える。式の意味がつながる。文章の中で何を聞かれているのかが見えてくる。そうなると、子どもの顔は明らかに変わります。

勉強は、本来そういうものだと思うのです。

ただ覚える、ただ解く、ただ終わらせる、ということだけになってしまうと、子どもにとって勉強は苦しいものになります。しかし、自分で考えて、「ああ、そうか」と気がつくことができれば、それはうれしい体験になります。

この「うれしい」という感覚は、とても大事です。

大人から見ると、ほんの小さな理解に見えるかもしれません。けれど、子どもにとっては、自分の力で一段上がった感覚があります。ゲームで次のステージに進めたときのように、「もう少しやってみよう」という気持ちが生まれる。

だから、教える側が急ぎすぎてはいけないのです。

答えをすぐに教えてしまえば、時間は短く済むかもしれません。しかし、それでは子どもが「自分でわかった」という体験を持てません。もちろん、放っておけばよいということではありません。必要なところでヒントを出し、少し考えれば届くところまで導いてあげる。その加減が大事なのです。

特に受験勉強では、つい先を急ぎます。塾のカリキュラムも速いし、宿題も多い。テストも次々にやってくる。そうなると、わかったかどうかよりも、終わったかどうかが先になりがちです。

しかし、それではなかなか力はつきません。

むしろ、少し問題数を絞っても、「これはわかった」「これは自分でできた」という経験を積ませる方が、あとから伸びていきます。子どもは、自信が出てくると、勉強への向き合い方が変わります。

保護者の方も、ぜひその瞬間を見逃さないでください。

正解したことだけをほめるのではなく、「そこに気がついたのは良かったね」「その考え方で進めたのはいいね」と、考えた過程を認めてあげる。そうすると、子どもはまた考えようとします。

勉強が好きになる、というのは、最初から机に向かうのが好きになるということではありません。

わかるとうれしい。

その体験が少しずつ積み重なって、次もやってみよう、もう一問考えてみよう、という気持ちにつながっていくのです。

もし今、塾のペースに追われて自信を失いかけているなら、いったん量を減らして、確実に「わかる」経験を取り戻すことも大切です。焦って先へ進むより、子どもが自分の力で理解できる時間をつくることが、次の一歩につながります。

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