以前、大手塾のシステム開発のお手伝いをしたときのこと。
やはり1種類の試験で、すべての学校の合格可能性を判定する、という仕組みでした。で、中学受験は、各中学の独自入試だから、いろいろな出題傾向がある。
なので、まあ、その特徴的な部分は、問題のパターンとして、作問時に折り込んでもらい、ある程度重み付けをかけて、合否可能性の判定を行う仕組みにしました。
で、作った当時から、思っていたことですが、これはやはりムリがあるのです。
だって、1種類の試験で全部を判定するわけですから。
確かに要素分配をして、重み付けも変えているが、しかし、その学校の試験ではないので、同じ試験とはとてもじゃないが言えない。
ただ、唯一救いがあるのは、これが統計的に判断できる、ということです。
つまり1番から成績順に並べて、正規分布の表から偏差値をあてはめ、かつ追跡調査をやって、このラインの子どもたちがどの位志望校に合格し、どのくらいこぼれているのか、を考えると、まあ、それなりにこの辺ぐらいなら、合格しそうじゃない?みたいなラインが出てくるわけです。
それを80%と言ったり、なんちゃらラインと言ったりしているのですが、やっていることはみんなそう違いはない。
で、これは当たるのか?
当たるともいえるし、当たらないとも言える。
なぜなら、違う傾向の試験で、集団も全く違うところの合否ラインを正確に算定することはできないでしょう。唯一、統計的に、こんな感じ、ぐらいまでしか出せません。
だから、この数字を「持ち偏差値」と称して、いろいろな選択に使うのは危険です。ずっと危険だとお話していますが、まあ、しかし、他の数値がないから、これぐらいしか頼れない、と言われれば、それまでなのですが。
でも絶対では全然ない。
学校別模擬試験の合格可能性はどうですか?と聞かれることがあるのですが、これは、出題傾向を塾が研究して、問題用紙までそっくりにつくるから、傾向としては問題がないのですが、なにせ集団が小さすぎる。
その学校を受ける生徒の過半数でも受験してくれれば、何とかなるのでしょうが、それでも半分がどういう集団かわからないので、何ともいえないところはあるのです。
ということで、ぜひそのくらいのものだ、と思ってください。少なくとも絶対視するのは、やめていただいて、まあ、参考程度に、と考えていただいた方が良いと思います。
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