台風に関する問題

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2019年駒場東邦の問題です。
                              
2018年の夏は,非常に多くの「台風」が発生し,日本列島付近に襲来しました。以下の,台風に関する説明文,天気図と雲画像(赤外画像)を参照して,あとの問
いに答えなさい。なお,説明文(抜粋,一部改変)と説明文中の図および天気図は気象庁のホームページ,雲画像は日本気象協会のホームページによるものです。
         
● 台風とは→ 低緯度の海上で発生する熱帯低気圧のうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し,なおかつその域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット,風力8)以上のものを「台風」と呼びます。台風は上空の風に流されて動き,また地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため,通常,東風(貿易風)が吹いている低緯度では台風は西へ流されながら次第に北上し,上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると速い速度で北東へ進みます。
 台風は暖かい海面から供給された水蒸気が雲粒(細かい水の粒)になるときに放出される熱をエネルギーとして発達します。しかし,移動する際に海面や地上との摩さつにより絶えずエネルギーを失っており,仮に海面からの熱の供給がなくなれば2~3日で消滅してしまいます。また,日本付近に接近すると上空に寒気が流れ込むようになり,次第に台風本来の性質を失って温帯低気圧に変わります。あるいは,熱の供給が少なくなり衰えて熱帯低気圧に変わることもあります。(a)上陸した台風が急速に衰えるのは,[        ]からです。
● 台風に伴う風の特性→ 台風は巨大な空気の渦巻きになっており,地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます。そのため,進行方向に向かって右の半円では,台風自身の風と台風を移動させる周りの風が同じ方向に吹くため風が強くなります。逆に左の半円では台風自身の風が逆になるので,右の半円に比べると風速がいくぶん小さくなります。
● 台風に伴う雨の特性→ 台風は,強い風とともに大雨を伴います。そもそも(b)[   雲]が集まったもので,雨を広い範囲に長時間にわたって降らせます。台風は,垂直に発達した(b)が眼の周りを壁のように取り巻いており,そこでは猛烈な暴風雨となっています。この眼の壁のすぐ外は濃密な(b)が占めており,激しい雨が連続的に降っています。さらに外側の200~600kmのところには帯状の降雨帯があり,断続的に激しい雨が降ったり.ときには竜巻が発生したりすることもあります。これらの降雨帯は図のように台風の周りに渦を巻くように存在しています。

 また,日本付近に前線が停滞していると,台風から流れ込む暖かく湿った空気が前線の活動を活発化させ,大雨となることがあります。台風がもたらす雨には,台風自身の雨のほかに.前線の活動を活発化して降る雨もあることを忘れてはいけません。
(1)下線部(b)[  雲]の空白部分を適切にうめて,正しい語として完成させなさい。
(2)東京湾のように日本南岸に位置する湾で,台風による高波の被害がより大きくなる可能性が高いのは,台風が湾のどちら側にあるときですか。次のア~エから1つ選び,記号で答えなさい。
ア.東  イ. 西  ウ.南  エ.北
(3)下線部(a)の[  ]に当てはまる,上陸した台風が急速に衰える理由として,最も適切なものを次のア~エから1つ選び,記号で答えなさい。
 ア.北上することで気温が下がり.地上との摩さつによりエネルギーが失われる
 イ.北上することで気温が下がり,寒気の流れ込みによりエネルギーが失われる
 ウ.水蒸気の供給が絶たれ,地上との摩さつによりエネルギーが失われる
 エ.水蒸気の供給が絶たれ,寒気の流れ込みによりエネルギーが失われる

 以下に示す図1および図2は,2018年8月の天気図および雲画像で,いずれも,日本列島付近に台風が存在したときのものです。天気図中の記号「高」および「低」はそれぞれ,高気圧と低気圧を表します。また,通常,地上付近では,高気圧から吹き出して低気圧へ吹き込むような向きで風が吹きます。

(4)図1の台風18号(図中の「台18号」)は,九州の西側を北上して通過しました。この台風18号により,九州地方だけではなく,東北地方北部に大雨がもたらされ,被害が発生しました。東北地方北部に大雨がもたらされた理由として,最も適切なものを,下のア~エから1つ選び,記号で答えなさい。

ア.この台風が非常に大きく,強かったため.台風の外側降雨帯が東北地方北部に形成されたから。
イ.台風から吹き出す強い風により,暖かく湿った空気が.東北地方北部に停滞する前線に流れ込んだから。
ウ.東北地方北部を通過して台風に流れ込む強い風により,冷たく湿った空気が,東北地方の山岳帯にぶつかったから。
エ.台風の東側の北向きの強い風により,暖かく湿った空気が,東北地方北部に停滞する前線に流れ込んだから。

(5)図2の台風13号は,この後,どのような進路をたどると予想されますか。簡潔に,かつ分かりやすく記述しなさい。

【解説と解答】
(1)台風は積乱雲の集合体です。 
(答え)積乱 
(2)風が強くなるのは、台風の進行方向右側、すなわち東側です。これは湾から見ると、台風の位置が西側になることです。
(答え)イ 
(3)上陸すれば水蒸気の供給が絶たれ、地上との摩擦によってエネルギーが失われます。
(答え)ウ 
(4)台風の東側の風が太平洋から温かく湿った空気を東北地方に送り、これが東北地方にあった停滞前線に向かって流れ込んだからです。
(答え)エ
(5)日本付近に向けて進みますが、大陸側に高気圧があり、偏西風の影響を受けて北東に進路を変えます。
(答え)はじめ北西に進み,その後進路を北東に変える。

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