第46回 教え方を考える

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■母親講座で理科と算数の解説をお母さんたちにしてみると、やはり子どもたちの成績はよくなる傾向がでてきます。なぜかといえば、せっかく内容を聞いたのだからお母さんとしても子どもに教えて、なるたけ子どもができるようにしたいと思うからです。

■しかし、教え方はやはり難しいだろうなと思います。例えば若い先生が教えているのを横で見ていると確かに教えているのだけれど、伝わっているかなあという感じがよくしたものです。例えば授業をやっていて、子どもたちが全員眠そうな瞬間があります。1日学校に行ってきて、あわてて帰って塾にきているわけですから、やはり眠くなるわけです。このとき、いくら怒っても眠さは消えません。

■私たち大人が仕事をしていても4時か、5時ごろはいったん眠くなるはずです。子どもたちも同じですから、そこを怒っても仕方がない。私はこの時間はよく無駄話をしていました。聞いていても、聞いていなくても勉強には関係ない話。しかし5分もすると眠い子はいったん居眠りをするので、そこから復活します。そう、眠いときは寝るしかないもの。5分も寝るといったんすっきりするんです。

■しかし、若い先生はそういうことがわからないから「気合が足りない」とか「もっと気持ちを強く持て」とか言うんですが、眠いのを解決する方法は寝ることだけです。ただ長く寝せると授業時間がなくなりますから、5分くらい寝せて、起こすのです。その間、無駄話をしていると、聞いている子は笑いますからその笑い声につられてだんだん目が覚めてきます。

■こういうのは教え方のひとつですが、問題の扱い方も当然コツがあります。例えば中和の計算問題は、水酸化ナトリウム水溶液と塩酸の問題だけ考えればよいのです。また中和させるのにどちらか一方が固定されて、片方の量を増やす方法で実験が行われるのだから、塩酸が固定されるか、水酸化ナトリウム水溶液が固定されるか、どちらかしかないのです。だからパターン化してしまって覚えます。

■こんなことは理科の先生であれば、誰でも知っていることですが、他の水溶液の中和も覚えなければいけないと考えてしまうから、難しくなるのです。これしか出ないと思ってやった方が勉強は簡単になります。ついでに言えば、めったに出ない問題はできなくてもいいし、考える力があればそれが固体が溶けている水溶液かどうかさえわかれば答えを出せるはずですから、すべてのパターンを網羅する必要もないのです。

■こういう教え方をお父さん、お母さんがマスターすると子どもの力をうまく引き出すことができます。勉強を教えるときは、ぜひ子どもの立場になって考えてみてください。子どもの可能性を引き出すことが名教師の仕事のすべてなのです。

(平成17年2月25日)

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