第38回 入試問題はこうしてできる

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■入試問題はすでにできあがっている学校が多いと思います。多くの受験生が挑戦する学校では、外部に印刷を発注しますので、すでに納品されて保管庫に入ったものもあるでしょうし、校内以外の場所に保管されている場合もあります。

■ 各科、入試問題はメインとなる教員と問題を出す教員によって作られる場合が多いようです。一人の人が問題を作ると、どうしてもその人のクセが出てしまうので、多くの場合は複数の教員が問題をもちよって、メインとなる教員がアレンジし問題ができあがります。

■入試問題を作成するにあたって、だいたい平均点が50点前後になるような問題が目標です。というのも、あまり難しい問題を出すとみんなできなくて、差がつかないし、簡単な問題でも今度はできすぎて差がつかないからです。50点ぐらいが平均ですと、だいたい合格ラインが6割前後ということになりますから、これがいい入試問題です。発表されたデーターで見て、平均点が高い場合にはミスが出た子が不合格になるので、力のある子をとれない場合がでていると考えられます。

■入試問題を作成するにあたって、いくつかの狙いがあります。ひとつはこういうところは最低わかっていてほしいと思って出す問題。一般的には点取り問題と思われますが、しかし、基本がきちんとできていることが確認できます。また、理科や社会などでも知識をしっかり覚えているということは大事な要素で、特に受験校はこれを確認する傾向が強いと思います。

■ある程度基礎学力があるということがわかった段階で、次に考えるのが思考力、応用力、表現力という部分です。算数の入試問題が4題程度の学校は、だいたいこの思考力を試すことに時間を割きます。基礎力は応用問題を解く段階で試されているから敢えて問う必要はないと考えています。

■同様に、国語で記述問題を出題するところは、その表現力を検査します。自分で考えられるだけではだめで、それをいかに表現する力をもっているかということを試します。また物語文の読解に力をいれる学校は、どちらかといえば「人の気持ちがわかる子」であるかということを主眼に問題を設定する場合が多く、面接の代わりにしていることもあるようです。

■理科の実験問題、社会の資料問題も、その意味では大事な観点をもっています。実験や資料から何を読み取るのか、もちろん、解答は1つではないかもしれません。しかし、その過程を書いてもらうことによって考え方の過程や表現力なども試されるのです。

■過去問を勉強するのは、その狙いを体得することが重要だからです。学校の狙いがわかれば、当然、それに対する対策も必要です。例えば記述問題についていえば、美文、麗文を求めているわけではありません。シンプルに言いたいことが伝わればいいのです。ですから一文は短くする。そういう工夫が出てきて、力が備わるのです。残りわずかの時間ですが、しっかり過去問の学習をしてみてください。

(平成16年12月30日)

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