文化祭へ行くと、子どもは鉄道研究会や科学部の発表へまっすぐ向かい、保護者は校内の様子をできるだけ確認しようとします。同じ学校を訪ねても、親子で気になるところはずいぶん違うものです。
文化祭は特別な一日ですから、その日の印象だけで学校を決めることはできません。展示が整っているか、にぎやかか、といった見た目だけで比べても、普段の学校生活まではわからないでしょう。ただ、生徒が何を任され、先生がどのくらいの距離で関わっているかは、学校ごとの違いが出やすいところです。
校内を回りながら考えたいのは、「この学校に入ったら、わが子はどこで何をしているだろう」ということです。人前で説明する生徒もいれば、裏で準備を続ける生徒もいます。静かに作品を作る場所もあります。今のわが子に近い生徒が、どんな表情で参加しているかを確認すると、入学後の姿を少し想像しやすくなります。
子どもが一つの展示に夢中になったのなら、それも学校選びの材料です。保護者の印象と一致しなくても構いません。帰宅してから、「何がおもしろかったか」「ここで六年間過ごす姿を考えられたか」を親子で別々に話してみるとよいでしょう。学校の評判ではなく、自分たちがその日に感じたことを残せます。
文化祭ですべてがわかるわけではありません。それでも、パンフレットの言葉だけでは見えにくい、生徒の居場所や人との関わり方を考えるきっかけにはなります。志望校を決めるためというより、その学校で過ごす六年間を一緒に考える日、と捉えるくらいがよいのではないでしょうか。
