6年生になると、各塾のカリキュラムも一段と忙しくなってきます。
組み分けテストがあり、復習テストがあり、毎週やるべきことに追われる。するとどうしても、その塾の出題のされ方、その塾の評価のされ方に、子どもたちの視点が固定されやすくなるのです。
しかし、受験は自分の塾の中だけで完結するわけではありません。
実際に入試問題を作っているのは学校であって、塾ではない。だから、ひとつの塾の物差しだけで今の力を測っていると、見えてこないことがたくさんあります。
そこでこれからの時期、ぜひ考えてほしいのが「他流試合」です。
つまり、いろいろな塾の模擬試験を受けてみることです。
ふだんとは違う問題に触れる。違う会場で受ける。違う集団の中で順位や立ち位置を知る。これは単なる腕試しではありません。むしろ、自分の強みと弱みを整理するための大事な材料になるのです。
ある塾のテストでは点が取れるのに、別の塾のテストになると急に崩れる子がいます。逆に、普段の組み分けでは思うようにいかないのに、外の模試では意外に力を発揮する子もいる。
これは決して珍しいことではありません。
たとえば、速さや図形のように考えさせる問題には強いが、細かい知識の整理では取りこぼす子もいる。あるいは、標準的な問題を確実に取る力はあるが、初見の問題への対応で差がつく子もいる。
こういうことは、同じ塾の同じテストばかり受けていると、なかなか浮かび上がってきません。
だから、外の試験を受ける価値があるのです。
今の時期を「空白の3ヶ月」と呼ぶことがあります。まだ過去問を本格的にやるには少し早い。しかし、夏の勝負まではまだ間がある。すると、何となく毎週の課題をこなしているうちに時間が過ぎてしまいやすい。
でも、本当はここが大事なのです。
この3ヶ月は、後から取り返しがききにくい「診断の時間」でもあります。
今のまま伸ばしていいのは何か。
どこに穴があるのか。
いまの勉強のやり方で本当にいいのか。
志望校に向かうために、何を優先して補強すべきなのか。
それを見極めるには、材料が必要です。
その材料のひとつが、他流試合なのです。
もちろん、やみくもに模試を増やせばいい、ということではありません。受けっぱなしでは意味がない。大事なのは、結果をどう読むかです。
偏差値や判定だけを見て一喜一憂するのではなく、どういう分野で点を落としたのか、どの問題で時間を使いすぎたのか、逆に何が安定して取れているのかをきちんと見る。
そして、その結果をもとに次の3週間、あるいは1か月、何をやるかを決めるのです。
模試は受けることが目的ではありません。対策を具体化するために受けるのです。
ふだん通っている塾の先生にも相談しながら、外の試験の結果を材料にして、学習の軌道修正をしていく。これができると、この時期は決して空白ではなくなります。
むしろ、夏以降の伸びを準備する好機になります。
同じ場所で同じ問題ばかり見ていると、どうしても見方が狭くなります。子どもたちも保護者も、今の順位やクラスに意識が縛られやすい。しかし、本当に大事なのは、志望校に向かって何が足りていて、何が足りていないかです。
その確認のために、外へ出る。
これから模擬試験がいろいろ始まっていきます。ぜひ、他流試合をうまく活用してください。
今の力を別の角度から見てみると、案外、次にやるべきことははっきりしてきます。空白に見える3ヶ月を、伸びるための3ヶ月に変えていけるかどうかは、ここにかかっているのです。
