日別アーカイブ: 2004年9月6日

第8回 ネットで成績はあがるか?

■インターネットが広がり始めたとき、e-learningの可能性がずいぶん話題になりました。ところが最近はあまりe-learningに注目が集まらなくなったような気がします。いろいろ実験したり、サービスが始まったりしたけれど、あまり効果がなかったというのが実際のところではないかと思うのです。

■確かにインターネットで動画を動かしたり、先生がテレビ電話を使って説明してくれたりすれば便利なように思えます。しかしそれは実際に教えてもらうことが難しかったり、遠くにいる場合のことであって、すぐに先生に教えてもらうことが可能であれば、face to faceで教えるもらうことの方が効果があるのです。

■特に小学生は、モチベーションを維持するという意味において大学生や社会人が勉強するようにはいきません。大学生や社会人は、自分のスキルアップや資格をとるための動機がありますから、それなりにインターネットで勉強することは可能かもしれませんが、小学生は飽きてしまうので、つねに様子をみながら、声をかけていかなければならないのです。

■では、こんなにe-learningが研究されたのは、なぜでしょうか。教育はこれまで人的サービスの最たるものでした。その結果、塾や学習産業では人件費の比重が上がっていました。動画やインターネットはその部分を解決する手段として注目されたのです。しかしここまでいろいろな実験やサービスが行われて、人が直接教えるに比べてやはり実際の効果が少なかったと思います。(もちろん海外や、進学塾や学習機関がない地域では有効であったことは間違いありませんが。)

■ただ、インターネットやコンピューターがまったく学習に役に立たないのかといえばそんなことはありません。むしろこれから私は非常に大きな可能性が出てきたと思っています。ただしそれは、そういうシステムが直接生徒を教えるのではなく、教える方法をもっと効率化する、あるいは学習するテーマを有機的に結び付けていくという点においてです。

■アテネオリンピックで日本選手がたくさんのメダルをとったのも、実はこの解析力によるものだといわれています。むしろパソコンやインターネットを使って、いつでもどこでも最も必要な、効率的な学習方法を手にすることができれば、子どもたちがあんなに夜遅くまで学習塾に通う必要はなくなるはずです。

■ただこの分野の研究はまだまだ遅れています。日本人はどうも気合だ、根性だという感覚がまだ残っているので、勉強法や指導方法についての研究はそれほど進んでいないと思っています。しかし、これからデーターベースの進化やさまざまなテストデータの解析が進んでいくでしょう。これらの研究や実験が次に何を生み出してくれるのか、私は大いに期待しているのです。

(平成16年9月6日)

第24回 怒る親、誉める親

■先日、ある高校受験の塾を訪問しました。授業を横で見ていたら「そんなのもわからんのか!」という先生の罵声が飛んできました。この塾はどうも叱る塾のようです。しかし生徒もなれたもので、それでビビルこともなく、授業はどんどん進んでいきます。

■ ところで、みなさんは怒る親ですか?それとも誉める親ですか?この前あるお父さんに「どうしたら、怒らずに子供を教えられるだろうか?」と聞かれました。子供の勉強を見ているうちに、だんだん腹がたってくるというのです。「これは、さっきやったろう!」その声を自分で聞いてまた腹が立ってくるというのですから、その分、冷静に見ていらっしゃるようにも感じるのですが。感情を持たないわけにはいきません。腹がたつのも当然の話。私だって授業中ずいぶん腹が立ちました。

■でも親子だから、親が子供に甘えられてしまうのです。(反対ではありません。親が子供に甘えるのです。)お父さんだって、これが他人の子供だったら罵声を浴びせられるでしょうか?当然自分の子供だという気持ちがあるから、声を荒立てるのですね。しかし、怒ってもできるようにはならないのです。子供は大人が怒ると怖いですから耳が閉じます。聞いてません。したがって、何を言ってもわからなくなります。だから怒って教えることには意味がないのです。

■逆にさっきの中学生のように、怒っても聞いていれば、それなりに効果があります。ただ、怒ってばかりではだめで、怒っている人に誉められるから、がんばるようになるのです。たしかに誉めるばかりでは、だめでたまには怒るのも必要かもしれませんが、怒っても聞いていられるようになって初めて効果があるので、それは中学生になってからという感じが私はします。

■ただ、これには余談があって、ある方が調べてみたところ誉められて育ったお嬢さんは結婚が遅く、怒られて育ったお嬢さんは結婚が早いそうです。誉められて育つと家の居心地が良いから、結婚が遅くなるのだというお話でしたが、なるほどと思うところはあるものの、小学生の勉強に関して言えば、ほめるにしくはないというところでしょう。

■昔、ベテランの先生が「最近は、子供に腹が立たなくなりました」といわれたことがあったのですが、これはいけません。塾の先生は腹が立つから、何とかしたいと思ってほめるのです。「君は君でいいじゃないか」と思うようになったら、受験の成果はなかなかあがらないものです。若手の先生がついてくれた方が本当はいいのかもしれませんね。

(平成16年9月6日)