月別アーカイブ: 2004年9月

第26回 自立する工夫

■近年、少子化が進み、一人っ子、二人兄弟姉妹が8割近くになっているのではないかと思われます。子どもに対する眼は以前にまして行き届いており、その意味で子どもはがまんすることが少なくなりました。その分自分ですることが少なくなり、親に依存する部分が増えています。

■中学受験は、子どもが初めて自分の力で勝負しなければならない場面です。もちろんそれまでの準備過程では、親がいろいろとサポートすることはできます。しかし、試験場に入ったら、自分で問題を解かなければ合格しませんから、ここで自立しているかどうかということが割と重要な要因になります。

■子どもの自立の第一歩は朝、自分で起きることです。お子さんは自分で朝、起きてきますか。それともお母さんが起こしていますか?朝起きるというのは一日のスタートです。自分でそれをコントロールすることができるか、これは自立の第一歩です。ところが意外に自分で起きている子どもは少ないのです。

■以前、母親教室で手をあげていただいたとき、8割近くの方が、お母さんが起こしていると答えられました。一方で、自分で勉強しなさい、と口やかましく注意されている方がほとんどなのです。「だって、先生、あの子は起こさないと、遅刻します。」これは言葉はきびしいが態度が甘い典型です。

■極端なことをいえば、遅刻してもいいから、自分で起きれるようにすることです。目覚まし時計をかければすむことなのです。自分は明日、何時に起きなければならない。そして、何をしなければならないと知っている子とそうでない子では、ものすごい差が生まれてきます。

■親は口でいろいろなことを言うものの、実は子どもが自分でやりきれるような工夫をあまりしていないのではないでしょうか。例えば、今日やる勉強の内容を、子どもが確認する方法はありますか。ずーっとお母さんが家にいて、指示をしてあげるご家庭もあるでしょうが、それよりは例えばスケジュール表を本人が持っていて、それを自分で確認するような工夫はできるのではないでしょうか。

■自立しない、幼いということは簡単ですが、いつまでも面倒をみているわけにもいかないのです。そして親が子離れができないから、子どもの精神年齢の成長が遅れているように私は思います。洗濯物の片付け、部屋の掃除、いろいろと子どもが自分でできることはたくさんあります。勉強があるからと思わずに、自立させる工夫をぜひしてください。

(平成16年9月30日)

第10回 第二次反抗期がなくなった?

■2004年8月8日の朝日新聞の記事にベネッセ未来教育センターの中学生意識調査の結果が出ていました。調査は今年2月に実施されたもので、中学1年生から3年生合計1355人より回答を得ています。

■家にいるときの気分について「のびのびできる」にあてはまるのは84%、「安心できる」にあてはまるのが81%。親との会話については父親とよく話をする27%、母親とよく話すは55%。中でも母親とよく話をするは女子生徒は72%。また親について「一生懸命働いている」72% 「家事をがんばっている」61%と答えています。親との関係の評価で見ても、父親については「とてもうまくいっている」20.8% 「かなりうまくいっている」18.5% 「ややうまくいっている」38.4%で合計77.7%。母親にいたってはこの3つの合計が87.4%に達しています。これらの結果から、朝日の記事はこうコメントしています。「一般的に中学生は第二次反抗期の難しい年頃とされている。同時に親から自立していく過渡期ともとらえられる。今回の調査結果からは、そうした反抗期にある中学生像が浮かんでこない。」

■私はこの結果について当然と思います。今は昔に比べて少子化ですから、親が子どもの様子に比較的目が届いています。最近は子どものいやな事件が増えましたから、これまで以上に子どものことに関して関心があるといえるでしょう。一方で関心が高くなっている分、子どもたちの不満は、解消されている部分があります。

■だから、子どもたちが親に依存する傾向は高く、精神年齢で言えば一段と幼くなったといえるでしょう。ベネッセのコメントでもこれが小学生高学年であれば何の問題もないとあります。ただ、中には年齢に見合った精神年齢の子どももいますから、同じ学年にもかかわらず、精神年齢のばらつきが生じることになります。

■だから普通の生徒であったとしても、そのアンバランスの中でとんでもないことを起こす可能性があります。体の成長と精神の成長が一致しないので、現実してはいけないことと、空想の世界との区別がつかなくなったりするのです。一方でいつまでたっても親が子どもとの関係を変えないと、その幼さが続いてしまいます。

■第二次反抗期は、子どもに自分でやっていく自信がついて、そのことで親に「ああしろ」「こうしろ」といわれたくなくなって反抗する時期です。ですからこの調査結果でも「あまり干渉しないでほしい」という生徒は半数を超えます。第二次反抗期がなくなったのではなく、個々によって時期がばらばらになってきたということでしょう。

■ただ、いつ子どもを大人扱いしていくのかということについては、ある意味難しさが出てきたと思います。なるべく早めにという意識はあったとしても、子どもの管理をやめていいというわけではありません。その意味で、より多くのコミュニケーションが必要であり、また厳しさも必要になってくるわけです。近年、親が子どもに対して厳しい態度で臨むということが少なくなった部分もあり、今回の結果は、その点を再度検討してみる必要があるということを教えてくれていると思います。

(平成16年9月25日)

第9回 通信制高校

■今、全国に通信制高校は140校あるそうです。そしてまだ毎年増えているのですが、このニーズの広がりは不登校の生徒が多いからです。基本的に通新制高校はレポートと年間決まったスクーリングを受けることで高校卒業資格をとる仕組みです。高校はもちろん学校法人として認可されています。

■以前は通信制高校のフォローをする目的でサポート校という塾に入るのが一般的でした。塾に通いながら、レポートの指導をしてもらうのが主な目的ですが、それ以外の能力を身につけるコース(音楽や芸術、パソコンなど)も併設されていました。ですから、高校卒業資格を通信制でとって、あとの時間を大学受験に費やすという仕組みも可能なのです。

■しかし最近は通信制高校自体が規定数以上の通学指導をする場合が増えているそうです。生徒は、来ても、来なくても規定のスクーリング数に達していればよく、その意味では自由な通学が可能になるので、中学でつらい思いをしてきた子どもたちにとってはひとつの救いになっているようです。

■昔は、学校に行かないということは悪いことでした。しかし、学校が荒れ始めて以降、学校にいくことを怖がる普通の生徒が出てきたのです。いじめが多くの原因ですが、先生と合わないというのもよくあります。子どもは成長過程ですから、まだ完全ではありません。自分でコントロールする力が不足していれば、マイナスの気持ちがどんどん広がります。

■そんなときは、学校を変えるのが大事なのです。つらいことを我慢させなければいけないというのは昔の発想。環境を変えてあげることで、解決する問題はたくさんあります。先日も塾の先生と合わず、他の生徒にいじめられるというご相談がありました。私はさっさと塾を変えてしまった方がいいとお話しましたが、実際系列塾に変わられて良かったそうです。

■今、受験を迎えているご家族の中には、私立中学しか見えていらっしゃないと思いますが、世の中には実にたくさんの選択肢があります。もちろん世界にまで目を広げれば、いろいろな場があって、そこで子どもたちの可能性はまた、一段と広がるのです。

■通信制高校は、これからもいろいろな可能性を追求してくるでしょう。インターネットを使った学習もそうですし、生徒の可能性を伸ばすために、芸能や映像などのコースも増えてくると思います。まずは生徒が楽しい、おもしろい、好きだということを見つけて、そこからいろいろな可能性を探るのが大事です。通信制高校は新しい学校が多い分、新しい試みをしてくれるのではないかと期待しています。

(平成16年9月18日)