第26回 自立する工夫

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■近年、少子化が進み、一人っ子、二人兄弟姉妹が8割近くになっているのではないかと思われます。子どもに対する眼は以前にまして行き届いており、その意味で子どもはがまんすることが少なくなりました。その分自分ですることが少なくなり、親に依存する部分が増えています。

■中学受験は、子どもが初めて自分の力で勝負しなければならない場面です。もちろんそれまでの準備過程では、親がいろいろとサポートすることはできます。しかし、試験場に入ったら、自分で問題を解かなければ合格しませんから、ここで自立しているかどうかということが割と重要な要因になります。

■子どもの自立の第一歩は朝、自分で起きることです。お子さんは自分で朝、起きてきますか。それともお母さんが起こしていますか?朝起きるというのは一日のスタートです。自分でそれをコントロールすることができるか、これは自立の第一歩です。ところが意外に自分で起きている子どもは少ないのです。

■以前、母親教室で手をあげていただいたとき、8割近くの方が、お母さんが起こしていると答えられました。一方で、自分で勉強しなさい、と口やかましく注意されている方がほとんどなのです。「だって、先生、あの子は起こさないと、遅刻します。」これは言葉はきびしいが態度が甘い典型です。

■極端なことをいえば、遅刻してもいいから、自分で起きれるようにすることです。目覚まし時計をかければすむことなのです。自分は明日、何時に起きなければならない。そして、何をしなければならないと知っている子とそうでない子では、ものすごい差が生まれてきます。

■親は口でいろいろなことを言うものの、実は子どもが自分でやりきれるような工夫をあまりしていないのではないでしょうか。例えば、今日やる勉強の内容を、子どもが確認する方法はありますか。ずーっとお母さんが家にいて、指示をしてあげるご家庭もあるでしょうが、それよりは例えばスケジュール表を本人が持っていて、それを自分で確認するような工夫はできるのではないでしょうか。

■自立しない、幼いということは簡単ですが、いつまでも面倒をみているわけにもいかないのです。そして親が子離れができないから、子どもの精神年齢の成長が遅れているように私は思います。洗濯物の片付け、部屋の掃除、いろいろと子どもが自分でできることはたくさんあります。勉強があるからと思わずに、自立させる工夫をぜひしてください。

(平成16年9月30日)

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