月別アーカイブ: 2003年1月

最終回 中学生になったら

■子どもが中学生になったら、特にお母さんは子離れの意識をもたなければいけません。お母さんはどちらかといえば、まだ子どもでいてほしいし、手を焼きたいという気持ちが強いものです。特に男の子の場合は、女の子に比べて精神年齢が幼いですから、お母さんはまだまだかまいたくなるだろうと思います。

■しかし、中学生は自立したい年頃です。第一次反抗期から第二次反抗期へ移る時期に進む時期ですから、何でも自分のやり方でやりたい、お母さんにはあまり干渉してほしくないと思うようになります。反抗期というのはある意味、自分に自信がでてきたということなのですが、もちろん、まだまだ力不足ではあります。ただ、だからといって親が先回りしても本人に力がつくわけではありません。やらせてみて、ほめてあげなければ人は育たないのです。

■ところが「うるせえな、いいだろ、別に!」と子どもに言われると、お母さんは我を忘れます。本当はその前に、お母さんがいろいろと子どもの自立心を踏みにじっているケースが多いのですが、もうここまで行くとお互い戦わなければ気がすまなくなります。これがエスカレートすれば、家庭内暴力にもなるわけですが、誰も最初からそうなるのではなく、当然、小さなものが積み重なって爆発するのです。

■中学生になったら、親は一歩下がって子どものやり方を見てください。もちろん危なっかしいことは多いでしょうが、それを禁じても、やる子はやるのだし、かえって隠されるとわかりにくくなります。ですから、叱るのはかまいませんが、常に叱るという状態でなく、子どもと話し合うことが大切でしょう。

■ところがそうやって距離感をうまく保ち、かつ親は心配するということが子どもたちに伝わっているとすれば、やがてその反抗期は、少しずつ変わっていきます。落ち着いたなと思えるようになるのは、中3から高2くらいまで長短ありますが、だいたい収まってくるものです。

■この距離感の作り方として大事なことは、お母さんが子どもへの関心とは別の世界をしっかり持たれることだと思います。仕事をお持ちになるのもひとつ、あるいは趣味をはじめられるのもひとつです。要はすべての関心が子どもにいかないようにすることです。

■中学受験が終わった後も、子どもたちの成長は続きます。しかしこれからは、子どもが一人で成長していく部分が多くなっていきます。親はこれまでのように関わる時間も少なくなりますが、それを寂しいと思わないでください。むしろ認めてあげたり、アドバイスしてあげたりすることで、違った意味での長い付き合いが始まるのです。お父さんは、息子と一杯やれる時期が近づいたことを喜んでいるかもしれませんね。そういう気持ちで、これから子どもたちを見守ってあげてください。

(平成15年1月26日)

1年間に渡り連載させていただきました「はたまた母親講座」は今回で最終回となりました。ご購読いただいた方、ありがとうございました。新年度からは新たに「パパママ先生合格術」という連載をスタートします。またご期待に添えるようがんばります。(田中貴)

第49回 合格して失敗する子、不合格でも成功する子

■入試と合格発表が続々と行われています。合格、不合格、悲喜こもごもだと思いますが、子供の教育においては、ほんの通過点。ゴールなどでは決してありません。中学受験はある意味、子どもがはじめて、自分の力で突破しなければならない関門ですが、それを突破したからといって、それですべて大丈夫なわけはないのです。

■合格した子どもたちが陥るわなは、そこにあります。がんばって合格した、もう大丈夫、これからは好きなことをやっていこうと考えてしまうと、学校に入ったあと、大変苦労します。面倒見のよい学校なら、いろいろと手を尽くしてくれる可能性がありますが、放任主義の学校だったり、どんどん進んでしまう学校の場合だと、落ちこぼれてしまいます。それがひどくなると登校拒否になったりするのです。

■一方で力及ばず、突破できなかった子たちも、この失敗を教訓にして、中学になって努力するようになりますから、失敗も悪くはありません。私が塾で教えていたころ、ある大学の付属高校に中学から進学した子どもと中学受験で失敗して高校でその学校に入った子どもが、そろって遊びにきたことがあります。このときばかりは、なるほどと思いました。中学受験で失敗した子どもは、それなりに大変だったとは思いますが、努力もし、実にしっかりしていました。中学で入った子どもたちは、どうものんびりしすぎといった感じでしたから、落ちたときはつらかったろうが、かえってその方がこの子にとってはよかったかも知れないと思ったものです。

■親とすれば、なるべく子どもたちには失敗してほしくないと思うのが当然かもしれません。しかし、なるべくならまだ小さいうちに多少の失敗は克服して、また明日がんばろうという気持ちをもってもらえた方がよいのです。お母さんの中には、なるたけ、子どもが失敗しないようにと考える方が多いのですが、あまりその気持ちを強く持たない方が子どものためになります。

■私は、子どもたちにはこれから生きていくうえで2つのことを、中学受験で修得してもらえばよいと思います。1つは、常に積極的な気持ちをもつこと。偏差値にも合格可能性にも、お母さんの罵声にもめげず、よし、またがんばろうという気持ちを常に持てるようになってほしいのです。「今の僕よりは明日の僕に期待してて」なんて言えるようになったら、その子の人生はきっとすばらしいものになると思うのです。

■もうひとつは月並みですが、やはり努力できる子になってほしいと思います。別に勉強にとどまらず、スポーツでも音楽でも、自分がこうなりたいと思っただけではそうなれるものではありません。でも、積極的な気持ちをもって努力できれば、目標に近づいていくことができます。そういう努力ができる子になってくれれば、あとはそんなに心配しなくても、子どもたちは成長していくでしょう。

■合格して失敗した子どもたちも、その失敗に気づけばまたがんばるようになります。そうやっていろいろ経験しながら、子どもたちは大きくなっていくのです。ぜひ、今度の受験が子どもたちにとって、実りの多い受験になってくれればと思います。

(平成15年1月19日)

第48回 競争率

■1月校の競争率が発表されました。これから2月の神奈川、東京の学校も願書の受付が始まり、競争率が発表されると思います。

■近年の入試の倍率は一部の学校を除いて2.5倍から3倍までにおさまっているようです。2日校でも、名目倍率が4倍とか5倍の学校もありますが、実質の倍率はだいたい2倍くらいになります。

■例えば2月2日に募集を行う男子校を例にとりましょう。昨年の募集は90名で、応募人員は550名ですと倍率は6倍になります。ところが実質は受験した生徒が430名、合格者が200名でしたので倍率は2倍でした。出願したにもかかわらず受験者が120名も減少しているのは、二重に出願されているからです。2日校の場合、1日の出来によって安全に行く場合と、挑戦校を選ぶ場合と最後まで迷うケースがありますし、1日に結果の出る学校を選んでいる場合、その結果によって2日の受験校を変えることがあるからです。募集人員が90名にもかかわらず200名の合格者を出す理由は当然、合格者が全員入学をするわけではないからです。2日の場合は、1日校が合格だと入学辞退になるケースが多いので、どうしても合格者を多めに発表します。

■ですから、だいたい2倍から3倍が平均的な競争率といってよいでしょう。しかし事前に発表される倍率と実質の倍率は必ずしも一致しません。したがってこの数字をごらんになって、あわてて受験校を変える方がたまにいらっしゃいますが、私はあまりお勧めしません。

■ひとつには数字が不正確である可能性があること、実際に出願者が増加しても受験者はあまり変わらなかったということもあります。また何か入試のシステムで変化がない限り、数字が大きく変化することはあまりありません。したがって、その数字よりも学校の内容を考えて選んだ選択を大切にするべきなのです。

■気になる方は、見ない方が良いかもしれませんね。何倍であるかということはそれほど重要ではないし、だいたいどこの学校でも倍率は2倍から3倍の範囲ですから、そういう意味で変わりはないといっても過言ではないのです。

■受験には隔年現象というのがあります。ある年難しくなると翌年やさしくなり、そうするとその翌年はまた難しくなるという現象のことです。やはりその倍率が気になる方が少なくないということかもしれません。そろそろ、そういう現象はなくなって、子どもたちが自分の行きたい学校をしっかり選ぶという受験になってほしいなと思うのです。

(平成15年1月12日)