■子どもが中学生になったら、特にお母さんは子離れの意識をもたなければいけません。お母さんはどちらかといえば、まだ子どもでいてほしいし、手を焼きたいという気持ちが強いものです。特に男の子の場合は、女の子に比べて精神年齢が幼いですから、お母さんはまだまだかまいたくなるだろうと思います。
■しかし、中学生は自立したい年頃です。第一次反抗期から第二次反抗期へ移る時期に進む時期ですから、何でも自分のやり方でやりたい、お母さんにはあまり干渉してほしくないと思うようになります。反抗期というのはある意味、自分に自信がでてきたということなのですが、もちろん、まだまだ力不足ではあります。ただ、だからといって親が先回りしても本人に力がつくわけではありません。やらせてみて、ほめてあげなければ人は育たないのです。
■ところが「うるせえな、いいだろ、別に!」と子どもに言われると、お母さんは我を忘れます。本当はその前に、お母さんがいろいろと子どもの自立心を踏みにじっているケースが多いのですが、もうここまで行くとお互い戦わなければ気がすまなくなります。これがエスカレートすれば、家庭内暴力にもなるわけですが、誰も最初からそうなるのではなく、当然、小さなものが積み重なって爆発するのです。
■中学生になったら、親は一歩下がって子どものやり方を見てください。もちろん危なっかしいことは多いでしょうが、それを禁じても、やる子はやるのだし、かえって隠されるとわかりにくくなります。ですから、叱るのはかまいませんが、常に叱るという状態でなく、子どもと話し合うことが大切でしょう。
■ところがそうやって距離感をうまく保ち、かつ親は心配するということが子どもたちに伝わっているとすれば、やがてその反抗期は、少しずつ変わっていきます。落ち着いたなと思えるようになるのは、中3から高2くらいまで長短ありますが、だいたい収まってくるものです。
■この距離感の作り方として大事なことは、お母さんが子どもへの関心とは別の世界をしっかり持たれることだと思います。仕事をお持ちになるのもひとつ、あるいは趣味をはじめられるのもひとつです。要はすべての関心が子どもにいかないようにすることです。
■中学受験が終わった後も、子どもたちの成長は続きます。しかしこれからは、子どもが一人で成長していく部分が多くなっていきます。親はこれまでのように関わる時間も少なくなりますが、それを寂しいと思わないでください。むしろ認めてあげたり、アドバイスしてあげたりすることで、違った意味での長い付き合いが始まるのです。お父さんは、息子と一杯やれる時期が近づいたことを喜んでいるかもしれませんね。そういう気持ちで、これから子どもたちを見守ってあげてください。
(平成15年1月26日)
1年間に渡り連載させていただきました「はたまた母親講座」は今回で最終回となりました。ご購読いただいた方、ありがとうございました。新年度からは新たに「パパママ先生合格術」という連載をスタートします。またご期待に添えるようがんばります。(田中貴)