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第4回 算数のカリキュラム

まずは下記のpdfをごらんになってみてください。

http://www.tanakatakashi.net/pdfs/sancari.pdf

    これは私がサンプルとして考えてみた、算数のカリキュラムです。
    いろいろな塾のカリキュラムやテキストから見て、だいたいこんな感じが算数でやるべき内容だと思います。で、まず順番としては整数→小数→分数という数の計算をなるべく早めにやるという意味で4年生に入れて、その分一般的には多い場合の数を後ろに回してしまいました。また、広く、浅くという主義で5年生までに一通りのカリキュラムを終えています。それでも1回について1テーマで絞り込んでみました。
    考え方として4年生では整数→小数→分数という数の概念をしっかり理解してもらうのが目的。5年生では比まで学習して、いわゆる受験算数の基礎をマスターしてもらう。ここで第一志望が決まれば、その出題傾向にあわせて後は演習を中心にしてより深く、より絞り込んだ学習をするということができるわけです。
    4年生で理科社会をやらないので、計算力をつける時間は十分にあるでしょう。また5年生では、あまり難しいことをしないというのが原則。ここではまだ子どもたちのモチベーションが高くない(志望校が決まっていないし、なぜ受験するのかも、今ひとつピンと来ていないでしょう。)ので、できる、わかるということを大事にする。そうすると、毎週どんどんカリキュラムが変わっていくのも大変だから、1つのテーマを2週間ぐらいかけてじっくり理解しようか、とまあこんな感じで組み立ててみました。

もちろん、こんな塾はあまりないかもしれませんが、ご家庭で中学受験を組み立てるのであれば、こんな感じでいけるでしょう。

    ところで、4年生は自宅でいいとして、5年生は? というご質問をいただきました。私は塾は利用してほしいと思うので、最後まで自宅中心の学習の組み立てが良いと思っています。週1回、ないし週2回で塾で4教科を学習するのですが、5年生でも算数、国語の学習が中心。ただし、理科、社会を計画をたてて学習していくことも大事だと思います。
    テストは、5年生でどのくらい受ければいいのか?というご質問もいただきました。私は月1回ぐらいで十分だと思っていますが、これはお子さんの状況にもよるでしょう。毎週確認した方がペースにあうというのであれば、利用してもかまいません。ただ、カリキュラムが決まっているので、うまくいく週とそうでない週があるでしょう。このとき点数や偏差値にこだわってしまうと、細かい知識を覚えなければいけないので、まあそこそこでいいのではないかなあと思います。
    算数と国語はある程度成績がとれているが、理社は細かいことが覚えられていないから、成績がふるわない程度が理想です。
    で、志望校については算数と国語の状況で考えていけばいいわけですね。
    もちろんこれは目安に過ぎませんが、「相当がんばらないと届かないか」「案外、すぐ合格圏か」という目安はそれでも十分立つでしょう。それをひとつの前提にして、第一志望校を選んでいけばいいのではないかと思います。
    連載を始めてまだ4回目なのですが、ご質問をいくつかいただきました。これはとてもありがたくて、私自身のことば足らずがあるので、ご不明な点があればどんどん学習相談に入れていただければと思います。
    今回ペースが速いのは、最初の部分がとても大事だと思っているからです。これから冬期講習なので、少しずつペースはいつも通りになっていくと思いますが、スタートにあたり、必要なことはどんどん書いていきたいと思いますので、どうぞお役立てください。

第3回 国語の学習の問題点

    3・4年生のとき、一番困るのは国語の読解問題の対処です。
    中学入試で出題される文章は、ほぼ中学生レベルといってよく、3・4年生で読みきれるものではありません。しかし、3・4年生向けに説明文や論説文を書く人はほとんどいないので、学齢にあった教材を見つけることが難しいのです。
    本来はこの段階でもなるべく長い文章を読んでほしいのですが、教材に採録されている文章は著作権の関係もあり、短かったり、古かったり、と多少問題があります。
    ですから、通信講座などを使うのが確かに便利なのですが、科目別に申し込める通信講座というのは今のところ、見当たらず苦しいところです。
    ので、まずは読解に関しては子どもの好きな本を読むというところから始めましょう。

参考「子どもが本を読むようになるには

    もちろん、予習シリーズの文章読解の問題をやっていただくのはかまいません。ただ、そんなに時間はかからないでしょう。ですから、文章を読むということが「当たり前」になるようにしていかないと、子どもたちの文章読解力は上がらないのです。なるべく、図書館にでかけて子どもたちが毎週1冊から2冊の本を読み上げるように、工夫してみてください。
    ただ、漢字についてはいろいろな教材があります。私は学年の壁を越えてどんどん覚えてほしいと思います。おすすめは漢字検定
    できることなら、お父さん、お母さんも挑戦してみたらいいと思うのです。
    家族みんなで漢字検定を受けるというのは、共通の話題ができるし、子どもたちが勉強する習慣につながります。お父さんもお母さんも準備していると、ぜったいにまねしたくなる年頃ですから、いっしょに勉強すると思います。
    最近は私もそうですが、パソコンが漢字を書いてくれるので、いざ自分で書くとなるとえらく苦労することが多いのです。大人も大いに役立ちますから、家族そろって挑戦してみてはいかがでしょうか。
    こんなところから、子どもたちが自ら勉強する姿勢が身についてくれれば、大変すばらしいことだと思います。

第2回 長期的なビジョン

中学受験を組み立てていく中で、大事なのは長期的なビジョンです。

最近は最初のお子さんである場合が多いので、この先どうなるのか?ということがわかりにくいと思いますので、簡単にまとめてみましょう。

  • 3・4年生→算数と国語の基礎力を固める
  • 5年生→4教科の勉強を開始。あまり難しいことはやらない。細かい知識は覚えない。そのかわり確実にカリキュラムを進めていく。平行して第一志望の選定。
  • 6年生→第一志望の学校別傾向に併せて学習を絞り込む。併願校についての対策は不要。むしろ徹底的に第一志望に狙いを定める。
  • というのです。

      まず3・4年生では学校の勉強から中学受験の勉強に切り替わります。以前ですと学校でも十分に計算の練習をしていましたが、今は進行も遅くまた練習量も不十分です。その結果、5年生になって分数や小数を扱う段になって、その計算力不足が露呈してしまうのです。ですから、いたずらに勉強範囲を広げるのではなく、確実に計算力を養う時期にすべきでしょう。
      5年生で4教科をスタートさせます。ここから学習する範囲が入学試験には出題されます。ただ、あまり難しい範囲までは勉強しない。ここであまり難しいことをやっても、まだ空回りする可能性があるのと、実際に受験する学校によってはいらないという範囲もでてくるからです。むしろ広く浅く学習する。そして基礎はしっかり固めるという感じがいいでしょう。理社の細かい知識も覚える必要はありません。どうせ、忘れますから。ただ勉強をしていきながら、興味は広がってほしいと思います。たとえば歴史の本を読むとか、理科の実験をしてみるとか、そういう勉強を中心にしましょう。
      親の方は、子どもたちの進行状況をみながら、どこを第一志望にするか、候補を考えてください。5年生の秋に、学校の説明会には行くべきです。6年生はもう絞り込んだ後ですから、受ける学校だけ聞きにいけばいい。むしろ5年の段階でいろいろな情報を集め、子どもに合う学校を選んでください。これは親の大事な仕事です。
      6年になったら、第一志望に向けての学習を開始します。塾に行くと、これが遅いのです。いろいろな学校を前提として組み立てるから致し方ない部分はありますが、しかし、学校でいえば4年分ぐらいの勉強を一気にするのですから、省けるところはどんどん省くのがいい。たとえば算数の問題を見ていて8題以上、答えの数で12問以上出る学校というのは、あまり難しい問題は必要ありません。というのも例えば45分で解答数が12とすると1解答あたり4分ありません。ということは、そんなに時間がかけられないのだから難しい問題はでないでしょう。逆に5問以下である場合は、これは1問あたり10分近くかかるので、じっくり考える勉強に特化していく必要があるわけです。国語についても記述が必要であれば、その練習をしないといけないでしょう。つまり6年生の春からは、第一志望にある程度特化した学習の優先順位を組み立てていくことが必要なのです。
      ただ第一志望が決まってしまえば、傾向もはっきりするわけだから、対策はきわめて具体的になるでしょう。
      という話をしますと、「先生、併願校の対策は?」ということになってきます。東京、神奈川の場合ですが、最近は受験日程が絞られてきているので本気で受ける学校は1校か2校でしょう。滑り止めは、確実に合格する学校を親が選べばいいので、対策は不要です。となれば、第一志望と第二志望を考えればいいでしょう。そのうち夏休み前までは第一志望中心でいいのではないでしょうか。で、第一志望と第二志望の傾向が違っていれば、第二については夏休み以降勉強に加えていきましょう。ただ、やはり中心は第一志望の学校に併せていくのがいいと思います。

    そうすると大分やる勉強が絞れてくるでしょう。

      塾にいくタイミングは4年3学期。それまでにしっかりとした基礎力をつけていれば、何の問題もありません。
      で5年のうちは週1回か週2回。まだ習い事は続けられるペースでいいと思います。3・4年生のうちから、自宅で勉強するくせがついていれば、それでも十分に受験準備はできるでしょう。