子どもたちのための合格手帳」カテゴリーアーカイブ

第37回 あと4ヶ月、あと何点?

■入試まであと4ヶ月です。そして100日を切り、3ヶ月を切りという具合で、近づいてきます。ということは、4ヶ月やればもう中学入試の準備は終わりです。あと4ヶ月がんばればいい、だからここから締め切り効果が現れます。

■これは大人でもそうですが、締め切りに何とか間に合わせようとするから最後がんばります。このことを締め切り効果というのです。みなさんの場合もあと4ヶ月やれば、ゲームだってできるし、塾にも行かなくてよくなります。だからそこまでは思い切り勉強できるのではないでしょうか。

■私は子供たちにあと4ヶ月になったら、入試に合格することだけ考えて準備しなさいと良くいいます。もう遊びのことも、クラブのことも、ちょっと置いておいて、とにかくできる限りの準備をするのです。試験が終わって残念な結果になって、「ああ、あのときやっておけばよかった」といっても始まりません。そういう後悔をしないためにも、とにかく今は集中してがんばることです。

■ここでポイントなのは「入試に合格することだけを考える」点です。落ちるなんてことは一切考えないのです。どうやれば合格できるか、その一点に集中しましょう。例えばある学校の合格点が60%だとします。満点が350点。算国が100点、理社が75点満点です。そうすると合格点は210点ですから、どうやって210点をとるかを考えるのです。過去の入試問題を解いた結果いつも、算数が50点、国語は60点、理科は30点、社会が40点ぐらいしかとれないとします。合計で180点ですから、この点では合格はしません。

■とすればあと30点をどこで伸ばすか?になるわけです。まず算数で何とか65点とれるようにしましょう。あと15点、理科で10点、社会で5点で届きます。とすると算数はあと1問解く工夫、理科と社会は何とかもう少し知識を増やすという作戦が考えられるでしょう。残りの時間は限られています。すべての科目を等しく準備しても間に合いません。

■だから作戦を考えるのです。残りの時間で算数のミスをなくす方法を身に着けること、さらに理科社会の知識を増やすことが課題になれば、やるべき勉強は絞られてくるでしょう。もちろん、それだけやっているのではバランスを失いますが、バランスばかり気にしても仕方がありません。今力をつけるべき分野はどこか、そこを模擬試験の結果などから考えて、塾の先生とも相談しながら作戦を考え、実行してください。

(平成17年10月4日)

第36回 得点力

■成績の良い子どもたちのテストの解き方にはいくつか特徴がありますが、私がこの子は絶対合格すると太鼓判を押すのは「ていねいな子」です。ていねいな子というのは、「解けた問題は間違えない子」です。例えば70点という点数は全部手をつけて7割できたという70点もあれば、70点分手をつけてそれが全部できた70点もあります。絶対合格する子というのは後者の子なのです。

■同じ70点だから同じじゃないかと思う人がいるかもしれません。しかし、前者の子は7割はできる子なのです。ということは逆に3割は間違える可能性があります。ところが後者の子は正解率10割なのです。この違いは、独特な緊張感を持つ入試会場で威力を発揮します。3割間違う子は4割間違うかもしれないが、正解率10割の子はそうはくずれません。

■ではこの子たちはどうやって解いているのでしょうか?きっと、バシ、バシ解いているんだろうと思うかもしれませんが、実はそうではないのです。彼らもしょっちゅう間違えます。計算間違いもするし、問題の読み違いもするのです。ただ、途中で気がつくのです。「あ、間違えた。」そして修正するから、試験が終わるころには正解率10割の答案ができているのです。

■ではどうやって自分の間違いに気がついているのでしょうか?ひとつひとつはつまらないことです。計算をもう一度見直す、答えが出たと思ったらもう一度問題文を見直す、解けないなあと思ったら使っていない条件がないか、考える。そして答えが出たらもう一度条件にあてはめてみる、こういう確認作業を成績の良い子どもたちは何らか方法を考えてやっているのです。

■逆にミスの多い子は、先を急ぎます。早くやらなきゃ、早くやらなきゃという気持ちが強くなり、計算間違いをしたり、問題の読み違いをします。しかしあせっていますから、見直しもしないし、問題の読み直しもしない、結果としてミスを繰り返すのです。あとひとつ何か計算をすれば正答だったのに、それをしなかったばかりに全部間違えてしまうことがあるのです。

■残り4ヶ月でみなさんは得点力をつけなければなりません。そのためにはていねいに解く習慣をつけなければならないのです。時間を決められたテストでも、ていねいに考える、計算を確認する、問題文を読み直す、ひとつひとつ確認をすることで、合理的に時間を使うことができるので、結局早く解けたりするのです。自分のミスを振り返って、どうすればミスを見つけられるか考えてみましょう。その力が最大の得点力といえます。

(平成17年9月29日)

第35回 パターン

■例えばこんな問題解いたことがありませんか?1×2×3×・・・×100までかけた積をPとします。このPは1の位から何個0が続きますか?ある、そうきっと問題を解いたことはあると思うのです。実はこの問題は、数の性質の典型的な問題で、毎年どこかの学校の入試問題に登場します。解説すれば、10=2×5ですから素因数分解したときに、5がいくつあるかがわかれば、0の数もわかります。

■100÷5=20 100÷25=4で答えは24個になるわけです。似たような問題でこの積が3で何回割り切れますか?というのも典型的な問題でしょう。

■理科はもっと、パターンが決まってきます。たとえば水溶液の中和の問題。これは水酸化ナトリウム水溶液と塩酸をまぜる実験しか、出題されません。しかも水酸化ナトリウムを固定して、塩酸を加えるか、その逆しかないので解き方を覚えていれば、簡単に解ける問題といえるでしょう。もちろん、その場で解き方を考え出すのでもいいのですが、これはこう解くと覚えておくと、あまり時間をかけずに解くことができます。

■こういうパターンは、いろいろなところでみなさんが自然に使っています。例えば速さの比をひっくりかえせば、同じ距離を行くのにかかる時間の比になりますね。これをみなさんは、問題を解くときに良く使っているでしょう。つまり、算数の問題を解く(あるいは理科の計算問題を解く)というのはそのパターンをいくつか組み合わせながら、自分で解き方を考え出していくプロセスといえるのです。

■算数ができない人は、実はこのパターンが少ない。解き方を覚えられていないのです。でも等差数列の和の公式はほとんどの人が覚えているでしょう。台形の面積の公式もきっと覚えていますよね。それと同じで、問題の解法はある程度覚えてしまうのが良いのです。ただ、社会の年号と違って、覚えにくい部分はあります。だから、基本問題で練習しながら、解き方を覚えてしまうことが大事なのです。

■算数や理科の計算問題は暗記だ、というとみなさん、びっくりしてしまうかもしれません。でもそういう側面をもっているのです。算数が得意でない人は、もう一度、基本のまとめの問題集をやり直しながら、解き方を覚えてみてください。2ヶ月でずいぶん結果が変わってくるはずです。

(平成17年9月22日)