子どもたちのための合格手帳」カテゴリーアーカイブ

第3回 計画を立てよう

■中学受験の新年度は2月です。学校は4月から新年度ですが、塾は2月から新しい学年の授業が始まります。さて、新しい学年に進むと、これまでやってきた勉強からまた少し、難しくなっていきます。例えば算数でも毎週1テーマしか勉強しなかったものが2テーマ、勉強することになったりします。

■塾でも学年によって勉強のやり方が変わるところが多いものです。例えば宿題や復習など、きっと先生からやるべき学習内容を指示されたり、新しく宿題用のテキストを渡されるかもしれません。さて、これらをみなさんは、どうやって勉強しますか。なるようになる?そうはうまくいきません。

■みなさんは学校から帰ってきて、何となく時間を使っていることがあるものです。ふと気が付くと、おけいこに行かなければならなかったり、また友達と遊びに行くこともあるでしょう。しかし、やらなければいけないことに加えて、やりたいことを全部やろうとすると、残念ながら時間が足りません。

■そこで1週間の計画を立てましょう。最初は保護者の方と相談しながらやってみると、かんたんに作ることができます。まず1週間にやらなければいけないことを全部書き出してみましょう。教科ごとに、問題集や、テキスト、復習などをあげます。さらにそれにかかる時間も書き出してみましょう。この問題集から1回分をやるのにかかる時間がだいたい1時間半だとおもったら、90分と書き出します。

■一方で、みなさんが毎週、通っている塾の時間、おけいこ事の時間、あるいは友達と遊びに行く時間を書き出してみましょう。これは横に曜日、たてに時間をとって一枚の紙の上に書き出してみると、とてもわかりやすくなります。さて、勉強をやる時間はどれくらいあるでしょうか?

■意外に少なくなってしまったかもしれません。やらなければいけない勉強時間と実際にできる時間が同じでないとすれば、考えなければいけないことが2つあります。1つは時間を増やすことができるか?ということです。みなさんは中学受験をすると決めたので、当然、それにともなって勉強時間を増やさなければなりません。だから何かをガマンしなければいけないのです。遊びたい、おけいこにもいきたい、勉強もしたいでは時間は不足します。

■そう考えてみても、取れる勉強時間は限られるでしょう。すべてを受験勉強に費やすのはなかなか骨がおれることです。いろいろ考えて、これ以上は無理だということになったら、次はやる勉強に優先順位をつけていきます。例えば絶対やらなければいけない勉強(A)、できればやっておいた方がいい勉強(B)、今は見送ってもいい勉強(C)の3つに分けてみてください。そしてまず時間割の中に(A)ランクの勉強を割り振りましょう。次は(B)ランクです。どうでしょうか?(B)まで入ったら、まずはスタートしましょう。

■できあがった計画は必ず手帳に書き写します。そして毎週、新たに何をするのか、具体的に書き込んでください。例えばテキストは何を何ページやるのか、プリントを何枚やるのか、などを書き込みます。そうすると、みなさんの手元には今日、何をやらなければいけないのか、はっきりしますから、後は実行しましょう。多くの子どもたちがここまではやれるのですが、一番の問題は実行がともなわないことです。みなさんはどうですか?

(平成17年1月18日)

第2回なぜ塾に行くの?

■まもなく、入学試験が行われます。5年生以下のみなさんは時間があったらその日、見学に行ってみてもいいかもしれません。入学試験は、多くの場合、算数、国語、理科、社会の4教科の試験で行われます。学校によっては算数と国語の場合もありますが、4教科の学校の方が増加していますので、準備は4教科で進めていった方が良いでしょう。

■では、そのレベルはどのくらいのものでしょうか。出題範囲はみなさんが小学校で勉強している範囲なのですが、レベルはかなり難しくなります。例えば算数は、範囲によっては中学校で勉強するレベルまでふくまれています。なぜ、こんなに難しいのでしょうか。実際の入学試験の競争率は3倍です。つまり100人合格するところに300人の人が受験します。入りたい人が多いので、試験を難しくしないと、差がつかないのです。

■では、その準備はどこですればよいのでしょうか。学校の勉強だけでは不足するので、進学塾で受験勉強をするのです。保護者の方がみなさんに塾に行くことを勧めたのはそのためです。したがって学校が終わってから週2回とか週3回とか、進学塾に通っている人が多いでしょう。塾で提供している勉強は、中学受験の入試問題を研究して、それができるようにカリキュラムを作っています。したがって、そのカリキュラムにしたがって勉強すればいいのです。

■しかし、塾の勉強だけでは不足します。塾では新しいことを習ったり、いろいろな問題の解き方を教えてくれますが、しかし、それが自分の力にならなければなりません。入学試験で合格するためには、問題ができなければならないからです。そのために、塾でならったことを復習したり、塾の宿題をしたり、あるいは過去の入試問題を解く練習をしたり、いろいろ自分でやらなければいけないことがあります。

■しかし、、学校によっては宿題も出るだろうし、それ以外にやらなければならないことがあるでしょう。塾に行き始めると、学校の勉強と塾の勉強と2種類の勉強をしなければならないことになります。それ以外に、習い事があったり、クラブがあったり、だいぶ忙しいことになりそうですね。

■ですから塾に行かないで、家だけで勉強する方法もあります。これはテスト会に参加する方法です。こういうテスト会では、テキストを用意してくれますから、そのテキストを毎週自分で勉強して、その結果を試すためにテストを受けるのです。この方法を塾に行きながら、いっしょにやる方法もあります。テストのカリキュラムを塾で学び、その塾でテスト会のテストを受ける方法です。

■だから、中学を受けるにあたって、いろいろな方法があります。ただ、どの方法がいいかは、保護者の方とみなさんがよく相談してみてください。例えばサッカーをやっている人は、サッカーの練習日と重ならないようにスケジュールを組みたいでしょうし、もしかすると近くに中学受験の塾がない場合もあるかもしれません。その場合は通信のテスト会という方法もあります。ただ、どんな方法にしろ、みなさんがやってやろうと思わなければなりません。

■どうして塾に来たの?と聞くと、「お母さんに行けといわれたから」という理由が圧倒的に多いです。しかし、塾は中学受験をするために、勉強しに行くところです。ですから、自分で一生懸命勉強しようと思って通わなければなりません。もし、その気持ちがないのなら、かえって塾は大変になるでしょう。ですから、中学を受けようと決めたら、それなりにやらなければならないことが増えるのだと覚悟してください。ただ、それだけがんばればきっと、みなさんのためになることがたくさん出てくるでしょう。がんばった人には、がんばった分だけ楽しいことが起こるものなのです。

(平成17年1月11日)

第1回どうして中学受験をするのでしょうか?

■さて、この講座を始めるにあたって、どうして中学受験をするのか考えてみたいと思います。日本では中学校までが義務教育です。義務教育というのは国民全員が必ず受けなければならないのです。多くのみなさんが公立小学校に通っていると思いますが、住まいの近くには公立の中学校もあるでしょう。みなさんは小学校を卒業すれば、かならず公立の中学校にはいけるのです。

■一方で、みなさんには学校を選ぶ自由があります。自分が教育を受ける学校を自分で選ぶことができるのです。最近では公立中学でも選ぶことができるようになりました。ですから、ちょっと家から離れているけれど、例えば自分の大好きなスポーツのクラブがあるのでそちらの学校を選ぶということも可能です。

■また中学校には公立中学校ばかりでなく、私立中学や国立中学があります。これらの学校は、あるルールにしたがってできた学校ですから、中学校であることに変わりはありません。ただ、どういう教育をしようかということをいろいろ考えて作られた学校ですから、公立中学校に比べればいろいろな特徴があります。そしてこれらの学校の多くには付属の高等学校があるので、たいていの場合は中学に入ることで高校入試を受けずに高等学校へ入学することができます。

■公立中学校に行くと、みなさんはたいてい高等学校に進学しますから、高校受験をしなければなりません。ただこれら私立、国立中学に進学すれば高校受験はなくなります。ただ、その分、中学の入学試験を受けなければならなくなります。これらの学校に入学を希望する人は多いので、学校としてはその希望者の中から試験によって入学者を決めているのです。

■さて、そうするとみなさんの前にはいま大きく2つの道があることがわかります。中学受験をして6年間いっかん教育(大学付属の場合ですと10年いっかん教育になります)に行くか、今は受験勉強をせず、公立中学に進学して、中学3年生で受験して高校に行くかです。ただこの場合は、3年後に大学を受けることになり、3年、3年と受験勉強が続くことになりますね。

■私立、国立中学に行く利点の第一は6年間は受験勉強をせずに、自分の勉強やクラブ活動ができるという点です。2番目の利点は私立、国立は独自の教育内容を受けられることです。英語の学習時間が公立より多かったり、クラブ活動が広範囲だったり、海外に留学することができたり、いろいろおもしろいことがあるのです。また勉強は入学試験に合格した人たちだけのクラスですから、一般にレベルは高く、早くから難しい勉強に取り組むこともできます。

■もちろん、公立中学に行って、その後、高校受験、大学受験をしている人たちはたくさんいます。首都圏でいえば全体の15%の人たちが中学受験をしているだけで、残りの人たちは高校受験、大学受験というコースを選んでいます。もちろん私立の場合は公立にくらべて費用がかかります。だからたくさんの人がいけるわけではありません。ただ、みなさんには学校を選ぶ自由がありますから、自分の行きたい学校を選ぶことができるのです。

■さあ、ここから、みなさんが保護者の方と相談して、いろいろ考えてみなければいけません。自分はどういう学校で、どういう勉強をしたいのか?みなさんは考えたことがありますか?考えたことのない人は、ぜひこの機会に考えてみてください。そして保護者の方といろいろ話し合ってみてください。きっといろいろな話をしてくださるでしょう。そしてもし、中学を受験しようときめ、保護者の方も賛成してくださったなら、この後の私の講座をぜひ聞いてみてください。さあ、始めましょう。

(平成17年1月4日)