失敗に学ぶ中学受験」カテゴリーアーカイブ

国語読解のポイント

 中学入試の場合、国語の読解問題の作り方にはあるルールがあります。それは文中の叙述を根拠として問題を作ることです。
こういう見方もある、こういう考え方もあるという問題は、子供の独創性を見るという面ではおもしろいのですが、やはり入学試験は合理的理由で差をつけなければなりませんから、「誰が読んでもこの答えはこう」という問題の作り方をしなければならないのです。

 紛らわしい選択肢にしても、この部分から考えてアであってイではないという根拠が示せなければならないのです。
逆に読解問題のコツはその根拠を文中で探すことに尽きます。
そういう意味で、読解問題を解くとき、大事だと思う部分に傍線をつけながら読んでいくくせをつけると良いでしょう。特に大事だと自分で思ったときは、花丸をつけてもいいかもしれません。
そうやって視覚的にわかりやすくしておくと、後で問題を読んで答えを書くときに、その部分が見つかりやすいし、書き抜きも簡単になります。
もちろん一朝一夕にできるものではありませんから、毎週の読解の練習でぜひ実行させてください。

親子で受かる![中学受験]まいにち目標達成ノート
クリエーター情報:田中貴
ディスカヴァー・トゥエンティワン

基礎学力をつけるー計算力と漢字

 最近、私は6年1学期まではしっかりと基礎学力をつけて、第一志望を決めてから、その出題傾向にあわせて応用の枝葉を伸ばすというやり方が良いのではないかと思っています。中学受験の範囲は小学校5年生から中学2年生ぐらいまで4年分の範囲があり、そのすべてをやりこなそうとするのは土台無理な話です。ですから、しっかりと基礎学力を作り、正確に計算をしたり、文章をしっかり読み取る力を先につけて、出題傾向にあわせて発展させていくほうが効率が良いように思います。そこでここでは、基礎学力のつけ方についてまとめてみます。

計算力
 算数の解説を聞いている子どもたちの様子を見ていると、先生のしゃべった計算がすぐ頭に入る子と、そうでない子がいるようです。
「この辺が12cm、この辺が8cmだから面積は12×8=96平方cmになります」
という説明で、12×8がすんなり頭に入らない子がいて、そういう子は大抵、計算があまり得意ではないようなのです。
中学入試では教室に電卓を持ち込むわけにいかないので、計算力はつけなければなりません。

 練習をするにあたって、あまりたくさんやっても効果がありません。子どもが真剣に集中できる量を考えましょう。大人だって分数、小数の計算を20題もさせられたら辟易するでしょう。

 私は毎日3題練習する方法をお勧めしています。

 その代わり、絶対間違えない! という条件をつけます。絶対間違えないためには、検算を何回かするということが必要になります。そして、この答えは絶対合っている、という確信を子どもが持てるように練習しましょう。
できたら、記録をつけて、何日連続ノーミス記録! なんていって子どもたちを誉めてあげてください。
計算練習は、面倒なもの。
少しでも楽しくやれる工夫をしましょう。

「親鸞」という字も書けるように

 最近はパソコンを使うことが多いので、漢字を覚えなくなりました。自分で書こうと思うと、なかなか出てきません。だから、子どものころからの蓄積だけで勝負をしているようなものです。今後、この傾向は続くでしょう。漢字の勉強はしっかりやっておいたほうがいいのです。

 小学校のときは、毎年習う漢字が決まっていますが、そんな枠を超えて覚えられるときにどんどん覚えたほうがいいのです。小学校4年生くらいのとき、小学校で習う漢字を全部書けるようになったら、なかなかすごいと思います。

 読み書き、計算は学習の基本です。

 その中でも漢字の力があるのは、いろいろな点で役に立ちます。私は「親鸞」という字も漢字で書けるように指導します。そのほうが、ものを覚える力がつくからです。こんなところにも、漢字の力は役立つのです。

幼さとの戦い

 11月に入って6年生の子供たちの顔を見ていても、そんなに差し迫った感じになっていないと半ば「あせり」半ば「あきらめた」方もいらっしゃるのではないかと思います。子どもたちはまだまだ幼いので、すべてをなげうって受験に挑めるわけではありません。本人たちは精一杯やっていると思っているでしょう。だから腹がたって、お母さんが横にビターとついて、夜遅くまで勉強しているご家庭もあるかもしれません。

 ふとそんなことを思ったのは、実は今日、塾に出かけてくるまでの間に何人か、小学校受験の子供たちの姿を見かけたからです。スーツ姿のご両親、あるいはお母さんに手をひかれた「お受験スタイル」の子どもたち。6年後の姿もあまり変わらないなとつい思ってしまいました。

 しかし、実際には小学校受験と中学受験は明らかに違います。本人が試験でできなければ話にならない。つまり、子どもに力がついていないと道は開かないのです。お母さんが横について、「ああしろ、こうしろ」といってできたことが、果たして本番の受験でできるのか。その点を冷静に考えていないといけないのです。

 よく「家で勉強するとまだできるが、模擬試験に行くとぜんぜんだめ」という相談を受けます。それは本当に力がついていないといってしまえばそれまでなのですが、つまり「問題を自分で解決する能力」が備わっていないのです。

 「精神年齢が幼い」といってもいいかもしれません。いろいろなことをお母さんにしてもらった子供たちが果たしてプレッシャーのかかった受験会場で自分の力を発揮できるのか、考えてみてください。「何かしなければ」と思う気持ちはわかりますが、「与えてしまえば自分でとることをしなくなる」のが子どもなのです。

 その意味では、横についているばかりでなく、本人がどのくらいやれるのかをやや距離を置いて見てみることも大事なことでしょう。そして「できるようになったこと」をほめてあげることが必要です。ここからは子どもたちに自信を持たせなければなりません。「~ができない」ということに注目するより「~ができるようになった」を数えていってほしいのです。そしてほめてあげること、認めてあげることが多くなればなるほど、子どもの幼さが逆に武器になります。力以上のものを本番で発揮するのです。波に乗せるためには幼さは長所となります。

 しかしそれを生かすも殺すも回りの大人次第と言えるのです。