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反抗期を迎えたら

 中学受験は高校受験や大学受験と違い、親が上手にかかわっていくことが成果をあげる意味で重要です。

 高校受験と中学受験では3年しか違わないのですが、この間に子どもたちはだいぶ成長していき、いろいろなことを一人でできるようになっていきます。

 しかし中学受験の場合はそうではありません。したがって親のコーチングが非常に大きな役割を持っています。いまの子どもたちはどちらかといえば過保護に育っているし、(いやな事件が多いので、仕方がない部分もありますが)精神年齢はやはり幼い。一方で第一次反抗期は始まっていますから、簡単に親のいうことを聞くわけでもないのです。

 反抗期には二つあって、小学校4年生くらいから始まる第一次反抗期と、中学2年生でピークを迎える第二次反抗期です。中学受験生は第一次反抗期から第二次反抗期に入っていく段階です。

 第一次反抗期は、子どもたちが成長するにつれて「自分で考えて、自分のしたいように行動したい」と思う気持ちからスタートするものです。これは子どもの成長においては非常に大事なステップで、これが来ないのはかえって問題でしょう。ただ、実際には「うるせえなあ」などという言葉を子どもが口にするので、お父さん、お母さんとすれば「頭に血が上る」場合が少なくないでしょう。

 しかも、行動としては口ばっかり。「自分でやるからほっといてよ」といいながら、何もやっていないことなんてざら、というのではないでしょうか。

 子どもからすればそういう気分だからそういう言葉を口にするのであって、そこに実績が伴いません。だから第一次反抗期はまだ楽なのです。第二次反抗期は、その反抗的な態度が実際に行動につながるからやっかいなのです。第一次反抗期の場合は、口ばっかりですから、むしろ具体的な指示が必要になるのです。

 第一次反抗期の段階では、まず子どもとの距離感を上手にとることが大事です。「本人は自分でやっている、自分なりに進んでいる」という感覚が持てるように親が距離をはかってあげてください。

 実際にやっている内容は親が決めてよいのです。子どもたちはこの内容がどういう目的で、何を強化するためにやるものなのか、具体的に知っていることが大事です。何をするか決める過程でも本人が参加していることが不可欠です。

 そういう過程で「やらされている」のではない、「自分がやるんだ」という意識を持たせていくことが大事です。

 ご自分の中学受験や高校受験のときのことを思い出してみられるといいでしょう。こんな風にいってもらえればよかったと思うスタイルを考えてみてください。
「いや、あのときは何もいわれないのが良かった」と思って何もやらないのは、こと中学受験を成功させようと思ったらNGです。

 それは12歳の子どもたちにはかなり難しいからです。

 これだけの分量を残り半年の間に目標にあわせて効率よく進めるのは、かなり大変なことです。しかも塾や個別指導は子どもたちと毎日に顔をあわせるわけではないから、保護者のみなさんほど影響力があるわけではないのです。

 もし、「塾にお任せして」とか「本人が塾の先生と相談して自分でやればいい」と考えておられるなら、結果についてはあまり大きな期待をしてはいけません。私は教育的には、そういうやり方がだめだとは思いません。ただ、結果は出にくいと思います。

 上手な親のコーチングは、子どもの力をつけていくうえで効果を発揮することが多いのです。もちろん、やり方を間違えればかえって遠回りになったり、親子関係がきまずくなったりするかもしれません。

 しかし、この先、子どもたちといっしょに勉強するなどということは、まずありませんから、どこかで「楽しみ」ながらやってください。その余裕が実は大事なのです。

直前期の特効薬は?

 受験まで残りわずかになって、急に実力を上げる特効薬などそうあるものではありませんが、第一志望に何が出題されているかをよく研究されることでしょう。例えば物語文の記述が出題されるとわかっているなら、それに集中すべきでしょうし、一行問題がたくさん出るのなら、それを特訓しておくことが大事です。
 ですから、過去の入試問題をしっかり勉強していくことがこの時期一番良いでしょう。「あれもやってない」「これもやっていない」と数える必要はありません。残りの時間、これだけやりきればよいとしっかり学習する内容を絞ってやりあげてください。
 私が子どもたちに指示しているいくつかの注意点をここで列挙しておきますので、その場その場にあわせて「具体的な方法」を示してあげてください。

(1)算数
 ○式を書ききること。
 ○計算の工夫ができないか、すべてを見てから計算を始めること。
 ○答えが出たら何が出たのか、メモすること。
 ○「答えが出た」と思ったら、もう一度問題を読んで、何を求めるのか確認すること。
 ○うまく解けなかったら、使っていない条件がないか、探してみること。

(2)国語
 ○問題の指示を確認すること。「正しいものを選ぶ」のか。「正しくないものを選ぶ」のか。
 ○書き抜くときは、書き抜く部分に傍線を引いて、横において写すこと。
 ○選択肢に迷ったら、それを選ぶ根拠が文中のどこに書いてあるか探すこと。
 ○記述は一文を短くすること。一つの文は一つのことをいえばよい(子どもたちの解答を読むと、ずーっと続いていて句点が最後にひとつだけあるという答えが多いものです)。
 ○言葉や漢字の問題を先にやること。
 ○問題文を読む前に問題に目を通すこと。

(3)理科・社会
 ○問題の指示を確認すること。「正しいものを選ぶ」のか。「正しくないものを選ぶ」のか。
 ○計算問題は算数と同じように式を書き、何が出たのか必ずメモすること。
 ○答えがいくつあるのか、確認すること。「すべて選びなさい」か「ひとつ選びなさい」か。
 ○記述で説明する場合、一文を短くすること。
 ○答えを書き終わったら、もう一度問題を確認すること。

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直前期、親が心がけること

入試直前期、大きく成績が伸びる子どもがいます。試験が近づいてきて、本気で勉強しはじめたからでもありますが、この時期の学習ではいくつか気をつけるポイントがあります。

(1)やるべき内容を絞り込むこと
 あれもやっていない、これもできていない、子どもの成績表を見るたびにいろいろな思いがあると思いますが、残り3ヵ月だからといって時間の流れが変わるわけではありません。したがってこの3ヵ月間で何を仕上げるのか、具体的な勉強内容を絞り込む必要があります。私はこの時期はまず知識。良く出る内容をしっかり覚えることだと思います。次にはていねいさ、確実に問題を解きあげることに注力します。もはや、あまり難しい問題に時間を割くよりは、どの問題ができるか見極められる必要があるでしょう。自分ができそうな問題から確実に得点するという練習を過去問などを通じてやっていくべきです。

(2)プラスイメージをもつこと
 落ちることを考えてはいけません。第一志望に入ったらどんなクラブに入るかなど、プラスイメージをしっかり持たせるようにします。また成績が下がっても、あまり心配せずやるべきことを確実にやればいいと腹をくくってください。この時期家庭教師や個別指導を頼まれる方も少なくないと思いますが、具体的に何をするのか絞り込んでいなければ時間の無駄です。親の不安を取り除くためにやったところでプラスは少ない。電気のところをもう一度復習する、過去問でわからないところを教えてもらう、そのような目的がはっきりしているやり方を考えてください。

(3)少し子どもから距離を置く
 最終的に入試会場に入っていくのは子どもだけです。子どもが自分の力で何とかこの試験を乗り切っていかなければなりません。何でもかんでも手を出していたら、子どもが自分でいろいろな問題を解決することができなくなります。お母さんは試験会場に入っていけないのだから、子どもが自分で問題を解決できるように少し距離を置いて見てあげるとよいでしょう。


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