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失敗に学ぶ中学受験 -はじめに-

 近年中学受験の受験者数は減少を始めています。2007年がピークで、リーマンショック後、公開模擬試験の受験者数も逓減していて、2012年度の受験生はやはり若干少なめ。また今年の進学塾の4年生募集を聞いていますと、決して高くはない。したがって中学受験はこれから、冬の時代に入っていくのではないかと思われます。

 ただ、過去にもこういう上下動はあり、加熱したかと思うと、また少なくなりという繰り返しです。一方で上位校の倍率は3倍程度で毎年、大きな変化はありません。したがって中学受験は今後もある程度の層が、ある程度の学校の入学を競うという形が続くものと思います。特に関西の中学受験はそうですね。関西の場合、関東ほど学校が多くないこともあり、受験の中心は高校受験です。しかし灘をはじめとする私立中高一貫校の受験はなかなか熾烈です。これは塾も同じで、ある程度決まったパイを争っています。

 高校、大学が全入時代を迎えることを考えると、中学受験の競争はまだまだ厳しい状況が続くでしょう。関東でいえば、結局のところ小学6年生の20%だけが受験しており、その3分の2は偏差値55以上の学校を狙っているので、それなりの厳たさは全体の受験者数が減少したとてても、あまり変わらないのです。し、その厳しさを考えるならば高校受験でもいいのではないかと考えられる方もおられるかもしれませんね。

 しかしながら、高校受験は実はもうすでに公立と大学一貫校しか残っていない、と言っても過言ではないでしょう。多くの私立高校は中学を併設して、一貫教育を実践しています。したがって、高校受験はどちらかといえば公立高校受験にシフトしています。実際に公立高校受験の塾は、比較的、順調に生徒を集めています。

 ところがここにも落とし穴があります。

 公立高校の中で格差が広がっているからです。

 地域の1番手、2番手ぐらいしか、上位の大学受験に向いてはいないといっても過言ではないかもしれません。例えば大阪府では、府立高校10校を特別校として独自入試を始めました。(逆に神奈川の県立は独自入試をやめてしまいそうですが。)

 そうなると中学受験をやめても、高校受験である程度がんばらないと大学受験までたどり着かない。だからどこかでがんばらなければいけないのです。

 私はこれまで中学受験をずっとおすすめしてきました。まずそれは今後も変わらないだろうと思います。なぜなら中学受験は保護者と子どもがひとつになって進めなければなりません。したがって保護者が受験にともなうデメリットをある程度、カバーしてあげることができます。中学受験をしないと、高校受験、大学受験と2年おきに受験が待っていることになります。じっくりと部活動をする余裕がないかもしれません。中高一貫であれば6年間というまとまった時間がありますので、将来を考えるにおいてもじっくり時間を使うことができるでしょう。

 ただ、高校受験がだめなのかといえば、そんなことは全くありません。全国レベルで見れば、圧倒的に高校受験の割合が高いのです。高校受験は高校受験でやり方があります。ただ、チャンスがあるならば、まず中学受験を考えてみられた方がいいと私は思うのです。

 中学受験では、保護者のかかわり方が非常に重要です。したがって成功例をたくさん聞かれたことがあるかと思います。ところがなぜ失敗したのか、ということはなかなか目にすることができないでしょう。実際、人に聞くこともむずかしいでしょうから。そこで今回は「失敗に学ぶ中学受験」と題して、お話を進めていきたいと思います。今後、保護者のみなさんに上手に子どもたちを引っ張って行っていただければうれしいです。
なお現在田中貴.com(http://tanakatakashi.com)というサイトでも引き続きお話を続けています。こちらもご参考になさってください。

 お役に立てば幸いです。