解説を読んでもわからない

問題を間違えたら、解説を読んで理解する。受験勉強では当たり前のように言われることですが、実際には「解説を読んでもわからない」ということはよくあります。

解説には、書いてあることを理解するための前提があります。例えば算数なら、途中の式が省略されていたり、「ここからこの考え方を使う」という部分が当然のこととして進んでいたりする。解説を書いた側にとっては簡単な一歩でも、子どもにとってはそこが大きな飛躍になっている場合があります。

ですから、解説を何度読んでもわからないからといって、いつまでも一人で考え続ける必要はありません。

大事なのは、「どこからわからなくなったのか」をはっきりさせて、質問できるようにすることです。

「この式になる理由がわからない」「なぜここでこの図を使うのかわからない」「解説の3行目まではわかるけれど、その次がわからない」。そこまで整理できれば、先生も説明しやすくなりますし、本人も自分が何を理解できていないのかが見えてきます。

逆に一番困るのは、わからない問題をそのままにして、次々と先へ進んでしまうことです。

もちろん、すべての問題を完全に理解しなければ先へ進めない、ということではありません。しかし、今後もよく使う考え方や、志望校で必要になりそうな問題については、やはりきちんと解決しておいた方が良いでしょう。

そのためには、質問できる環境を用意しておくことが大切です。塾の先生に聞く、個別指導で確認する、オンラインで質問するなど、方法はいろいろあります。ポイントは、「わからないことが出てきたら解決できる」という流れをつくっておくことです。

6年生の後半になれば、過去問や学校別の問題に取り組む機会が増えます。当然、これまで以上に「解説を読んでもよくわからない」という問題も出てくるでしょう。

そんなときに、何となく答えを写して終わるのではなく、わからないところを見つけ、質問し、納得して次へ進む。この習慣がある子は、過去問演習から吸収できるものも多くなります。

解説はゴールではありません。解説を読んでもわからなければ、そこからが勉強です。

一人で抱え込ませず、「わからなければ聞ける」という環境をつくっておくことが、これからの受験勉強では大切だと思います。

粘り強く考える

受験勉強を続けていると、どうしても「今日は何題やったか」「この教材をどこまで進めたか」ということが気になってきます。塾の宿題もありますし、やらなければならないことも多いので、子どもたちも次々と問題を処理することに慣れていきます。

しかし、問題をたくさん解けば、それだけ力がつくとは限りません。特に算数や理科の計算問題では、すぐに答えが出ないときに、そこでどのくらい粘れるかが大事です。

「わからない」と思ったところですぐに解説を見るのではなく、まず図を描いてみる。条件を書き出してみる。簡単な場合で試してみる。あるいは途中まででも式を作ってみる。そうやって手を動かしているうちに、「もしかすると、こう考えればいいのではないか」という糸口が見えてくることがあります。

この経験が大切なのです。

入試では、見た瞬間に解き方がわかる問題ばかりが出るわけではありません。むしろ、初めて見るような問題を前にして、持っている知識を組み合わせながら答えに近づいていく力が必要になります。その力は、普段から「すぐにわからなくても、もう少し考えてみる」という練習をしていなければ、なかなか身につきません。

ですから、時には問題数を減らしてもいいのです。10題を急いで終わらせるより、3題についてしっかり考え、なぜそうなるのかまで納得した方が、結果として大きな力になることがあります。

もちろん、いつまでも一題に時間をかければよい、ということではありません。しかし、「わからないから次へ」という癖がついているのであれば、少し学習の進め方を変えた方がよいでしょう。

特にこれから学校別の問題に取り組んでいくと、簡単には解けない問題も増えてきます。そんなときこそ、すぐに答えを求めず、自分の知っていることを使って、もう一歩考えてみる。その粘りが、やがて入試問題を自分の力で解き明かす力につながっていきます。

塾のペースに追われ、問題を終わらせることばかりが目的になっているのであれば、一度そこから離れて、じっくり考える時間を取り戻すのもひとつの方法です。

学校別対策は2月1日校ばかりではない

2学期になると、多くの塾で学校別対策の授業が始まります。志望校ごとの出題傾向に合わせて問題を解き、過去問や類題に取り組む時期ですから、6年生にとっては非常に大事な学習になってきます。

ただ、塾の学校別対策のパンフレットを見てみると、どうしても2月1日に入試を行う学校が中心になっていることが多いようです。受験者数が多く、塾としても多くの生徒を集めやすい学校から講座を設置することになるので、ある意味では当然のことかもしれません。

しかし、すべての家庭にとって2月1日校が第一志望とは限りません。

例えば神奈川県の男子の場合、栄光学園、聖光学院はいずれも2月2日に入試があります。こうした学校を第一志望にしている家庭にとっては、当然ながら2月1日の学校よりも、2月2日の学校の対策の方が重要です。

以前、ある塾でこのことが問題になったことがありました。現場の先生方は、ぜひ2月2日校の学校別講座を設置したいと本部に働きかけたのですが、なかなか認められなかったそうです。

その理由は、「2月2日を受験する前に、2月1日にも当然どこかを受験するのだから、まず2月1日校の対策を優先すべきだ」という考え方でした。

塾全体の受験戦略としては、そういう考え方もあるでしょう。しかし、家庭から見れば話は違います。

2月1日の学校も大切ではあるけれど、何としても合格したいのは2月2日の学校。あるいは2月3日の学校が第一志望、という家庭もあります。その場合、限られた時間をどこに使うかを考えれば、第一志望校の対策により多くの時間を振り向けるのは当然でしょう。

ここで大切なのは、塾に用意されている学校別対策だけを見て、受験勉強全体を組み立てないことです。

塾には塾の事情があります。講座を成立させるためにはある程度の人数が必要ですし、すべての学校について専用講座を作ることはできません。だから、塾に学校別講座がないからといって、その学校の対策が重要ではないということにはならないのです。

第一志望が2月2日校や2月3日校であるなら、2月1日校の学校別特訓には参加せず、その時間を第一志望校の過去問や類題の研究に使う、という判断があってもまったくおかしくありません。

過去問を何年分進めるのか。どの分野を重点的に補強するのか。記述や作図、スピード、時間配分など、その学校特有の課題をどう練習していくのか。そうしたことを家庭でしっかり考え、必要なら個別に対策を組んでいく必要があります。

学校別対策とは、本来「塾にある講座を受けること」ではありません。

第一志望校に合格するために、何を勉強すべきかを考えて実行することです。

入試日が2月1日であろうと、2月2日であろうと、2月3日であろうと、その考え方は変わりません。塾の講座の並び方に受験戦略を合わせるのではなく、わが子の第一志望を中心に、これからの学校別対策を組み立てていってください。