目標を置く

受験勉強を続けていく上で、やはり目標は大事です。

中学受験の場合、その目標は志望校になるでしょう。

ただ、子どもたち自身がいろいろな学校のことをよく知っているか、というと、そうでもありません。名前は知っていても、実際にどんな学校なのか、どんな子が通っているのか、何を大事にしているのかまでは、なかなかわからないものです。

だからこそ、ここは保護者のみなさんが一緒に考えてあげてほしいのです。

偏差値だけで決めるのではなく、その子がどんな学校生活を送りたいのか、どんな環境が合いそうなのかを話し合っていく。その中で、少しずつ「この学校に行きたい」という気持ちが育ってくれば、勉強に向かう姿勢も変わってきます。

志望校を考える上で、やはり学校を見に行くことは大事です。

説明会でもいいし、文化祭でもいい。体育祭のような行事でもいいでしょう。実際に学校に足を運ぶと、パンフレットだけではわからないことがたくさんあります。

教室の雰囲気、先生方の様子、生徒たちの表情、クラブ活動の空気感。そういうものに触れて、「ここに通いたい」と思えるようになる子は少なくありません。

特にクラブ活動は大事な要素です。これまでやってきた習い事が続けられるかもしれないし、新しく興味を持てることが見つかるかもしれない。学校に入ってからの生活が具体的に思い描けるようになると、受験勉強の意味もはっきりしてきます。

もちろん、今の成績を見て、最初から無理だと決めつける必要はありません。

受験勉強は、ここからのがんばりで伸びる部分がたくさんある。むしろ、「この学校に行きたい」という気持ちがはっきりしてから、子どもが変わることもよくあります。

目標が決まれば、勉強はやらされるものではなくなります。自分のためにやるものになる。その違いは大きいのです。

ですから、保護者のみなさんは、勉強をただ管理するのではなく、子どもが目標を持てるように手伝ってあげてください。

迷っているときは一緒に考える。不安になっているときは話を聞く。そして、勉強しやすい環境を整えていく。

受験は長い道のりですが、目指す学校が見えてくると、子どもは少しずつ前に進めるようになります。

その一歩を作るのは、家庭の役割でもあるのです。

努力ができる子

子どもが中学受験を経験する中で身につけるべき最も大切な力の一つは、「努力を続ける力」だと私は考えています。合格の成否にかかわらず、日々の積み重ねによって自分を高める姿勢は、その後の人生においても大きな財産となります。もちろん合格は喜ばしい結果ですが、それに安住して努力をやめてしまうと、その後の成長にとって好ましくない影響を及ぼすこともあるのです。

むしろ、思いがけず結果が望んだものにならなかった場合こそ、そこから立ち直り新たな目標に向けて歩みを進める経験は、子どもにとってかけがえのない糧となります。失敗や挫折に直面してもなお、諦めずに努力し続けられることが、将来の自立や自己実現の基盤となるのです。結果だけに目を奪われるのではなく、努力の過程やプロセスを認め、励ますことが子どものやる気を育てるうえで重要です。

また、成功を掴んだ子どもたちも安心しすぎて努力を怠ることのないよう、周囲が見守り続ける必要があります。努力を重ねる習慣があれば、どんな環境にあっても柔軟に対応し、さらなる成長を続けることができるでしょう。親としては、子どもが結果に一喜一憂するのではなく、挑戦し続ける姿勢を評価し、支えていくことが何より大切だと感じます。

教育の現場で日々感じるのは、子どもたちが努力を通じて経験する成功も失敗も、すべてがその成長の糧となるということです。どのような結果であれ、努力の価値を認め合う環境をつくることが、子どもたちの未来に向けての大きな力になるのだと信じています。

自分で図を描く

立体の形や構造を頭の中で正確に思い描く力は、子どもだけでなく大人にとっても簡単なことではありません。例えば、実際に物を切ってみる体験は感覚を掴む手助けにはなりますが、それだけで空間を把握する深い理解が得られるわけではありません。見た目や触ってわかることと、頭の中で三次元の形を組み立てる力は別の訓練が必要です。

こうした力を育てるには、地道に立体の図を描くことが効果的です。たとえば、子どもが立方体の見取り図を描くとき、最初は形が歪み、角度や長さの感覚がずれてしまうことが多いものです。しかし、繰り返し描くうちに、どの辺が平行であるべきか、どの長さが等しいのかといった空間のルールに気づき始めます。この意識の積み重ねが、立体を正確にとらえる目を養っていくのです。

問題集にある図に頼るだけでなく、自分の手で図をノートに書き直してみることが大切です。解くこと自体に夢中になるあまり、図を描く訓練がおろそかになると、本当に必要な空間認識の力はなかなか伸びません。受験勉強においても、焦らずじっくり図を描きながら理解を深めることが、将来的な学力の土台を築くことにつながります。

こうした基礎力は一朝一夕には身につかないため、早い段階から継続して取り組むことをおすすめします。手を動かし、目で確かめ、頭で考える。この三つの作業を重ねることが、空間を自在にイメージする力を育てる最善の方法だからです。

家庭のペースで学習を立て直したいときは、やることを絞って進める形が合う場合もあります。こちらも参考にしてください。