次はできるように

問題を解いていると、そのときはできなかったのに、あとでもう一度やってみると、意外に簡単にできることがあります。

「なんだ、できるじゃないか」と思うわけですが、受験ではここが難しいところです。入試は、その日に初めて見た問題を、その場で解かなければいけません。あとからできても、その試験の点数が戻ってくるわけではありません。

もちろん、あとからできるのであれば、力がないわけではありません。必要な知識もあるし、考える力もある。ただ最初に問題を見たときに、条件をうまく整理できなかったり、解き方のきっかけを見つけられなかったりしたのでしょう。

だから、復習では「解説を読んでわかった」「もう一度やったらできた」で終わらせないことが大切です。

なぜ最初にできなかったのか。

問題文の条件を読み落としたのか。知識がすぐに出てこなかったのか。途中で考え方を間違えたのか。あるいは、少し難しそうに見えて、早々にあきらめてしまったのか。

そこをはっきりさせておくと、次に似た問題が出たときの対応が変わってきます。

そして、できれば少し時間を置いて、もう一度最初から解いてみてください。答えや解説を思い出しているだけではなく、自分で考えて最後まで解き切れるかを確かめるのです。

6年生はこれから過去問を解く機会が増えていきます。そこで大事なのは、できなかった問題をただ直すことではありません。「あとからならできる問題」を、「次は最初からできる問題」に変えていくことです。

入試は一回勝負です。だからこそ、復習では「次に出たらできる」というところまで持っていく。その積み重ねが、本番で点を取る力につながっていきます。

スランプ?と思ったら

夏休みは勉強時間も増えるので、ここで一気に力を伸ばしたい、と考えるご家庭は多いでしょう。

ところが、思ったように成績が上がらない。以前はできていた問題を間違える。机には向かっているものの、どうも集中していない。

そんな様子を見ていると、「スランプなのかな?」と思うことがあります。

ただ、夏の場合は、まず疲れていないかを考えた方が良いでしょう。

講習で長い時間拘束され、家に帰れば宿題がある。さらに過去問や復習まで加われば、本人が思っている以上に疲れはたまります。最初のうちは気持ちで頑張れていても、それが何週間も続けば、だんだん集中力が落ちてくるのは当然です。

そこで、「もっとやらないと」と勉強量を増やしてしまうと、かえって状況が悪くなることがあります。

少し寝る時間を増やす。半日勉強を休む。外に出かける。好きなことをする時間をつくる。そうやって一度気持ちを切り替えた方が、また勉強に向かいやすくなることも多いのです。

受験勉強は長丁場ですから、ずっと同じ調子で進めるわけではありません。調子の良い時もあれば、なかなか進まない時もあります。

「スランプかもしれない」と思ったら、すぐに勉強法を変えたり、課題を増やしたりする前に、まず少し休ませてみる。夏は特に、そういう判断も大事です。

子どもの負担を減らすことも考える

中学受験は、高校受験や大学受験とは少し事情が違います。学校で習う内容だけでは入試問題に対応できないため、どうしても塾を中心に受験勉強を組み立てることになります。

しかし、その塾通いが年々長期化し、通塾日数も増えてきました。以前と比べれば、一人の子どもが中学受験までに塾へ支払う総額も、かなり大きくなっているでしょう。

費用がかかるだけならまだしも、子どもたちの負担も相当なものです。週に何日も塾へ行き、帰宅してから宿題をし、さらにテストの準備をする。それでも成績が思うように上がらなければ、授業を増やしたり、個別指導を加えたりすることになる。そうやって、さらに時間と費用が増えていくことも少なくありません。

しかし、本当にそこまでしなければ中学受験はできないのでしょうか。

今はいろいろなIT技術があります。授業をオンラインで受けることもできるし、問題演習の結果から、その子が何を理解していて、何がまだできていないのかを把握することもできます。そうであれば、全員が同じ曜日に塾へ集まり、同じ授業を受け、同じ宿題をすることだけが受験勉強の形ではないはずです。

子どもによって理解する速さは違います。早く進めるところはどんどん進めればいいし、難しいところには時間をかければいい。必要になった時期に、必要な内容をしっかり勉強できる仕組みを作れば、今よりずっと効率よく受験準備を進めることはできるでしょう。

中学受験だけが子どもの生活のすべてではありません。本を読んだり、スポーツをしたり、家族と出かけたり、自分の好きなことに夢中になったりする時間も、子どもが成長するためには大切です。

時間は有限です。だから、受験勉強についても「もっとやらせる」ことばかりを考えるのではなく、「どうすれば負担を減らせるか」という視点を持つ必要があります。

必要な勉強はしっかりする。しかし、必要以上の負担はかけない。これからの中学受験には、そんな考え方がもっと必要になってくると思います。