次はできる?

できなかった問題を復習するとき、解説を読んで終わりにするのではなく、もう一度自分で解き直してもらうことがあります。

説明を聞いた直後は、本人も「わかった」と思っています。ところが、こちらが「本当に大丈夫かな」と感じて、もう一度最初からやってもらうと、やはり途中で引っかかることがある。式の立て方がわからなくなったり、条件をひとつ見落としたりして、結局、解説をもう一度確認することになります。

まあ、勉強とはそういうものです。一度説明を聞いただけで、何でも完全にできるようになるわけではありません。「わかった」と「自分でできる」の間には、思っている以上に距離があります。

ただ、6年生になると、残された時間は少しずつ短くなっていきます。今できなかった問題と、まったく同じ問題にもう一度出会えるとは限りません。次に似た問題が出てくるのは、模擬試験かもしれないし、場合によっては本番の入試かもしれないのです。

だからこそ、復習する以上は、「一応わかった」というところで終わらせないことが大切です。

なぜその式になるのか。どの条件を使ったのか。最初に何を考えればよいのか。途中で迷ったときは、どこに戻ればよいのか。そうしたことまで確認して、次に出会ったときには自分の力で解ける状態にしておきたい。

できれば、「次は絶対にできる」と自信がみなぎるくらいまで理解してほしいと思います。

もちろん、実際にはそこまで簡単ではありません。時間がたてば忘れることもあるし、問題の形が少し変わっただけで迷うこともあります。それでも、「答えが合ったから終わり」ではなく、「次は自分でできるところまでやる」という意識を持つだけで、復習の中身は大きく変わります。

解説を読み直し、必要なら例題に戻り、何も見ないでもう一度解いてみる。そして、解き終わったときに「これなら次はできる」と思えるかどうかを確かめる。

復習は、過去の間違いを眺めるためにするのではありません。次に正解するためにするものです。

忘れるのは当たり前

せっかく覚えたのに、しばらくすると忘れてしまう。

これは、ごく当たり前のことです。人間の記憶は、一度覚えればそのままずっと残る、というものではありません。時間が経てば薄れていきますし、使わなければ思い出しにくくなります。

ですから、子どもが以前覚えたはずのことを忘れていても、すぐに「ちゃんと勉強していなかったのではないか」と考える必要はありません。忘れることを前提に、もう一度覚え直せばよいのです。

大切なのは、忘れないように一度で完璧に覚えようとすることではなく、忘れた頃にまた戻ることです。そのためには、学習範囲を広げすぎず、同じ教材を繰り返した方が良いでしょう。

何度も同じ教材を使っていると、問題の内容だけではなく、ページの配置や図の位置まで記憶に残るようになります。

「これは右上に載っていた問題だ」

「このページは前にも間違えた」

そんな記憶も、答えを思い出すきっかけになります。教材を次々に替えるより、一冊を繰り返す方が覚えやすいのは、そのためです。

覚えることと忘れることは、反対のように見えて、実はひとつの学習の流れです。

忘れたら、また覚える。しばらくして、もう一度確かめる。その繰り返しによって、少しずつ忘れにくい知識になっていきます。

忘れるのは当たり前です。だから、忘れたことを責めるのではなく、もう一度戻れる仕組みを作っておくことが大切なのです。

下位クラスですり込まれるな

組み分けテストで下位クラスが続くと、子どもはだんだん「自分はこのくらいなのだ」と思い始めます。

最初は上のクラスを目指していたはずなのに、結果がなかなか変わらないと、その目標も少しずつかすんでいく。そして、「どうせやっても無理だから」という気持ちが出てくると、その先の受験勉強はなかなか好転しません。

しかし、クラスはその時点の組み分けテストの結果で決まったものにすぎません。子どもの力のすべてを表しているわけではないのです。

実際には、下位クラスにいたとしても、以前よりできるようになったことはたくさんあるはずです。

「知識が確実に増えてきた」

「場合の数の問題が解けるようになった」

「計算ミスが減ってきた」

「長い文章題にも取り組めるようになった」

そうした変化に、きちんとスポットライトを当ててください。

大切なのは、漠然と「がんばっているね」と言うだけではなく、何ができるようになったのかを具体的に本人へ伝えることです。見える成果として示されれば、子ども自身も「自分は少しずつ進んでいる」と感じることができます。

クラスが上がってから自信がつくのではありません。小さな成長を認められ、自信がついてくるから、その先の結果が変わっていくのです。

下位クラスという位置づけを、本人の能力だと思わせてはいけません。今できるようになっていることを積み重ね、前に進んでいる実感を持たせる。それが、やる気を引き出し、やがて好結果につながっていきます。