スランプ?と思ったら

夏休みは勉強時間も増えるので、ここで一気に力を伸ばしたい、と考えるご家庭は多いでしょう。

ところが、思ったように成績が上がらない。以前はできていた問題を間違える。机には向かっているものの、どうも集中していない。

そんな様子を見ていると、「スランプなのかな?」と思うことがあります。

ただ、夏の場合は、まず疲れていないかを考えた方が良いでしょう。

講習で長い時間拘束され、家に帰れば宿題がある。さらに過去問や復習まで加われば、本人が思っている以上に疲れはたまります。最初のうちは気持ちで頑張れていても、それが何週間も続けば、だんだん集中力が落ちてくるのは当然です。

そこで、「もっとやらないと」と勉強量を増やしてしまうと、かえって状況が悪くなることがあります。

少し寝る時間を増やす。半日勉強を休む。外に出かける。好きなことをする時間をつくる。そうやって一度気持ちを切り替えた方が、また勉強に向かいやすくなることも多いのです。

受験勉強は長丁場ですから、ずっと同じ調子で進めるわけではありません。調子の良い時もあれば、なかなか進まない時もあります。

「スランプかもしれない」と思ったら、すぐに勉強法を変えたり、課題を増やしたりする前に、まず少し休ませてみる。夏は特に、そういう判断も大事です。

子どもの負担を減らすことも考える

中学受験は、高校受験や大学受験とは少し事情が違います。学校で習う内容だけでは入試問題に対応できないため、どうしても塾を中心に受験勉強を組み立てることになります。

しかし、その塾通いが年々長期化し、通塾日数も増えてきました。以前と比べれば、一人の子どもが中学受験までに塾へ支払う総額も、かなり大きくなっているでしょう。

費用がかかるだけならまだしも、子どもたちの負担も相当なものです。週に何日も塾へ行き、帰宅してから宿題をし、さらにテストの準備をする。それでも成績が思うように上がらなければ、授業を増やしたり、個別指導を加えたりすることになる。そうやって、さらに時間と費用が増えていくことも少なくありません。

しかし、本当にそこまでしなければ中学受験はできないのでしょうか。

今はいろいろなIT技術があります。授業をオンラインで受けることもできるし、問題演習の結果から、その子が何を理解していて、何がまだできていないのかを把握することもできます。そうであれば、全員が同じ曜日に塾へ集まり、同じ授業を受け、同じ宿題をすることだけが受験勉強の形ではないはずです。

子どもによって理解する速さは違います。早く進めるところはどんどん進めればいいし、難しいところには時間をかければいい。必要になった時期に、必要な内容をしっかり勉強できる仕組みを作れば、今よりずっと効率よく受験準備を進めることはできるでしょう。

中学受験だけが子どもの生活のすべてではありません。本を読んだり、スポーツをしたり、家族と出かけたり、自分の好きなことに夢中になったりする時間も、子どもが成長するためには大切です。

時間は有限です。だから、受験勉強についても「もっとやらせる」ことばかりを考えるのではなく、「どうすれば負担を減らせるか」という視点を持つ必要があります。

必要な勉強はしっかりする。しかし、必要以上の負担はかけない。これからの中学受験には、そんな考え方がもっと必要になってくると思います。

全問に手をつける

過去問に取り組むとき、最初から試験時間を計って解かせるご家庭は少なくありません。しかし、まだ問題に慣れていない段階で時間ばかりを意識すると、前半の問題に時間を使いすぎて、後半はほとんど見ないまま終わってしまうことがあります。

これでは、せっかく過去問を解いても、その学校がどのような問題を出すのか、最後まで十分に知ることができません。過去問を始めたばかりの時期は、時間内に終えることよりも、まず全部の問題に手をつけることを優先してください。

すぐに解き方が分からなくても、問題文を読み、図を描き、条件を整理してみる。国語なら本文のどこを使うのかを探し、理科や社会なら資料や設問を最後まで確認する。正解できるかどうかは別として、一度は自分で考えてみることが大切です。

全部に手をつけてみると、前半は解けるが後半になると条件を整理できない、知識問題はできるが記述で止まる、といった課題が見えてきます。そこまで分かれば、その後に何を勉強すればよいかも具体的になります。

もちろん、入試本番では時間内に得点をまとめなければなりません。しかし、時間配分を考えるのは、まず問題全体を知ってからです。最初から時間に追われて、できそうな問題まで見落としてしまっては意味がありません。

過去問の初期段階では、点数よりも、全部の問題を見て、全部の問題について一度は考えること。その積み重ねが、やがて「どの問題を先に解くか」「どこで見切るか」という本番の判断力につながっていきます。