叱るときは一呼吸

叱らなければいけない場面は、もちろんあります。

ただ、そのときに大事なのは、すぐに言葉を出さないことです。

親の方が焦っていたり、腹を立てていたりすると、どうしても言葉はきつくなります。

「何度言ったらわかるの」
「どうしてこんなこともできないの」

そう言ってしまうと、子どもは中身を聞く前に、まず身構えます。そうなると、こちらが本当に伝えたいことは届きません。

結局、親はさらに腹を立て、子どもはますます黙る。そういうことになりがちです。

だから、叱るときほど、一呼吸置く。

深呼吸をして、少し間を置く。その間に、「何を叱るのか」「何を直してほしいのか」を、自分の中ではっきりさせるのです。

叱る目的は、親の怒りをぶつけることではありません。子どもが次に同じことをしないようにすることです。

だとすれば、感情を先に出すよりも、短く、具体的に伝えた方が良い。

「今のやり方だと、あとで困るよ」
「ここはもう一度やり直そう」
「これは約束と違うから、直そう」

そのくらいで十分なことも多いのです。

勉強を見ていると、親の方がどうしても先回りします。なぜわからないのか。なぜ同じ間違いをするのか。そう思ってしまう。

しかし、子どもには子どもの理解の段階があります。

まだわかっていないのなら、もう一度説明すれば良い。疲れているのなら、少し休ませれば良い。やる気がないように見えるときも、実は何から手をつければ良いかわからないだけ、ということもあります。

そこで強く叱ってしまうと、勉強そのものが嫌になってしまう。

親子で勉強する時間は、うまくいけば大きな力になります。しかし、感情がぶつかる時間になってしまうと、逆効果にもなります。

だから、叱る前に一呼吸。

その一呼吸で、言葉はかなり変わります。言葉が変われば、子どもの受け止め方も変わる。親が落ち着いていれば、子どもも少しずつ落ち着いてきます。

叱らないのではありません。叱るべきことは叱る。ただし、怒りにまかせない。

この区別ができるようになると、家庭での勉強はずいぶん進めやすくなります。

今のやり方が親子ともに苦しくなっているなら、少し距離の取り方を変えることも大事です。家庭で進めやすい学び方については、こちらもあわせてご覧ください。

通塾日はなぜ増えたのか?

最近は、週に何日も塾に通う子が増えました。

もちろん、昔から6年生になれば塾の日数は多くなります。しかし、今はそれだけではありません。授業の日だけでなく、自習室に行く日、質問をする日、補習を受ける日、テストを受ける日、と、気がつけば週のほとんどを塾で過ごしている、という子も少なくありません。

では、なぜそうなったのでしょうか。

ひとつには、塾の側が子どもを長く預かるようになった、ということがあります。保護者の方もお仕事がありますし、家で勉強を見続けるのはなかなか大変です。だから、塾で面倒を見てもらえるなら、その方が安心だ、という気持ちになるのは当然でしょう。

ただ、ここで考えなければいけないことがあります。

塾に行っている時間が長いからといって、必ずしも力がつくわけではない、ということです。

授業を受けることは大事です。しかし、勉強は授業を聞いただけでは定着しません。自分で解いてみる。間違えた問題をやり直す。なぜ間違えたのかを考える。もう一度、自分の力でできるようにする。

この時間が必要なのです。

ところが、毎日のように塾に通っていると、その「自分で考える時間」がなかなか取れません。塾から帰ってきたらもう遅い。ご飯を食べて、お風呂に入って、少し宿題をやったら寝る時間。これでは、じっくり復習する余裕はなくなってしまいます。

しかも子どもたちは、学校にも行っています。学校の宿題もあります。習い事がある子もいるでしょう。友だちと遊ぶ時間も、本当は大事です。何もしないでぼんやりする時間も、子どもには必要です。

そういう時間がどんどん削られていくと、子どもは疲れてきます。

疲れているのに、また塾に行く。課題は増える。テストはある。成績で席順やクラスが変わる。そうなると、勉強そのものがだんだん苦しくなってしまうことがあります。

中学受験では、最後は自分の勉強が必要になります。

特に6年生の後半になれば、過去問を解かなければなりません。志望校に合わせた対策も必要です。苦手な分野をやり直す時間も必要です。これは、全員が同じ授業を受けていれば済む、というものではありません。

つまり、最後に必要になるのは「自分の時間」なのです。

通塾日が増えたことで、保護者の負担は少し軽くなったかもしれません。しかし、その分、子ども自身の時間がなくなっていないか。そこは一度、見直してみても良いでしょう。

塾に行くことが悪いわけではありません。大事なのは、塾に行くことで本当に力がついているのか、ということです。

もし、ただ忙しくなっているだけなら、少しペースを変えることも考えていいと思います。

塾のペースからいったん離れて、まずはできる問題を確実に増やす。自分で考える時間を取り戻す。そうすると、子どもは少しずつ自信を取り戻していきます。

受験勉強は、長く塾にいることを競うものではありません。

自分で考え、自分で解き、自分で前に進めるようになること。その力をどう育てるかを、もう一度考えてみたいところです。

塾のペースから脱却して、まずは確実に自信を取り戻す、という方法もあります。こちらもあわせてご覧ください。

男子校も悪くはない。

最近は、共学校の人気が高くなっています。

大学入試の実績を見ても、共学校でしっかり結果を出している学校が増えてきましたし、男女が一緒に学ぶ方が自然だ、という考え方もあるでしょう。

ですから、最初から「男子校はちょっと」と考えるご家庭もあるかもしれません。

しかし、男子校には男子校の良さがあります。

特に男の子の場合、中学・高校の6年間は、まだまだ幼い時期でもあります。女子に比べると、精神的な成長がゆっくりな子も少なくありません。

その時期に、男子だけの環境で、少しのびのびしながら、自分の居場所を見つけていく。これは決して悪いことではないのです。

共学校では、どうしても女子の方がしっかりして見える時期があります。

その中で、男の子が妙に格好をつけたり、逆に萎縮してしまったりすることもある。

一方、男子校では、そういう比較から少し自由になります。

多少不器用でも、多少幼くても、周りも似たようなものですから、本人なりのペースで成長していけるところがあります。

また、男子校は、男の子の扱いに慣れています。

すぐに忘れる。すぐに調子に乗る。でも、何かのきっかけで急に伸びる。

そういう男の子の特性を、先生方もよくわかっている学校が多い。

もちろん、学校によって違いはあります。しかし、男子校には男子校なりの育て方の蓄積があります。

友だち関係も、意外にさっぱりしていることが多いものです。

もちろん、トラブルがないわけではありません。ただ、くだらないことを言い合いながら、長い時間を一緒に過ごしていく中で、自然に仲間ができていく。

そういう関係は、あとになって大きな財産になることもあります。

中学受験では、つい偏差値や進学実績で学校を見てしまいます。

しかし、6年間通う学校ですから、子どもがそこでどんなふうに過ごすか、どんな友だちと出会うか、どんな先生に見守られるか、という視点も大事です。

男子校だから古い。共学だから新しい。

そう単純に分ける必要はありません。

むしろ、男の子が少しのびのびできる場所、失敗しながらも見守ってもらえる場所、自分のペースで成長できる場所として、男子校は今でも十分に意味があります。

もちろん、すべての子に男子校が合うわけではありません。

共学の方が力を出せる子もいるでしょうし、女子がいる環境の方が自然に振る舞える子もいるでしょう。

でも、最初から「男子校はちょっと」と外してしまうのは、少しもったいない。

学校を選ぶときには、実際に足を運んでみることです。

文化祭や説明会で、生徒たちの様子を見る。先生方の話を聞く。校内の雰囲気を感じる。

その上で、

「ああ、この学校なら、この子は楽しくやっていけるかもしれない」

と思えるなら、男子校も十分に候補に入れてよいと思います。

男の子は、ある時期から急に変わります。

その変化を待ってくれる環境、背中を押してくれる環境があるなら、それは大きな価値です。

男子校も、悪くはありません。

むしろ、その子に合えば、なかなか良い6年間になるのです。