子どもの負担を減らすことも考える

中学受験は、高校受験や大学受験とは少し事情が違います。学校で習う内容だけでは入試問題に対応できないため、どうしても塾を中心に受験勉強を組み立てることになります。

しかし、その塾通いが年々長期化し、通塾日数も増えてきました。以前と比べれば、一人の子どもが中学受験までに塾へ支払う総額も、かなり大きくなっているでしょう。

費用がかかるだけならまだしも、子どもたちの負担も相当なものです。週に何日も塾へ行き、帰宅してから宿題をし、さらにテストの準備をする。それでも成績が思うように上がらなければ、授業を増やしたり、個別指導を加えたりすることになる。そうやって、さらに時間と費用が増えていくことも少なくありません。

しかし、本当にそこまでしなければ中学受験はできないのでしょうか。

今はいろいろなIT技術があります。授業をオンラインで受けることもできるし、問題演習の結果から、その子が何を理解していて、何がまだできていないのかを把握することもできます。そうであれば、全員が同じ曜日に塾へ集まり、同じ授業を受け、同じ宿題をすることだけが受験勉強の形ではないはずです。

子どもによって理解する速さは違います。早く進めるところはどんどん進めればいいし、難しいところには時間をかければいい。必要になった時期に、必要な内容をしっかり勉強できる仕組みを作れば、今よりずっと効率よく受験準備を進めることはできるでしょう。

中学受験だけが子どもの生活のすべてではありません。本を読んだり、スポーツをしたり、家族と出かけたり、自分の好きなことに夢中になったりする時間も、子どもが成長するためには大切です。

時間は有限です。だから、受験勉強についても「もっとやらせる」ことばかりを考えるのではなく、「どうすれば負担を減らせるか」という視点を持つ必要があります。

必要な勉強はしっかりする。しかし、必要以上の負担はかけない。これからの中学受験には、そんな考え方がもっと必要になってくると思います。

全問に手をつける

過去問に取り組むとき、最初から試験時間を計って解かせるご家庭は少なくありません。しかし、まだ問題に慣れていない段階で時間ばかりを意識すると、前半の問題に時間を使いすぎて、後半はほとんど見ないまま終わってしまうことがあります。

これでは、せっかく過去問を解いても、その学校がどのような問題を出すのか、最後まで十分に知ることができません。過去問を始めたばかりの時期は、時間内に終えることよりも、まず全部の問題に手をつけることを優先してください。

すぐに解き方が分からなくても、問題文を読み、図を描き、条件を整理してみる。国語なら本文のどこを使うのかを探し、理科や社会なら資料や設問を最後まで確認する。正解できるかどうかは別として、一度は自分で考えてみることが大切です。

全部に手をつけてみると、前半は解けるが後半になると条件を整理できない、知識問題はできるが記述で止まる、といった課題が見えてきます。そこまで分かれば、その後に何を勉強すればよいかも具体的になります。

もちろん、入試本番では時間内に得点をまとめなければなりません。しかし、時間配分を考えるのは、まず問題全体を知ってからです。最初から時間に追われて、できそうな問題まで見落としてしまっては意味がありません。

過去問の初期段階では、点数よりも、全部の問題を見て、全部の問題について一度は考えること。その積み重ねが、やがて「どの問題を先に解くか」「どこで見切るか」という本番の判断力につながっていきます。

積み重ねが大事

中学受験の勉強を続けていると、「カリキュラムは一通り終わったはずなのに、まだできない問題が多い」と感じることがあります。基本的な問題で間違えたり、以前できたはずの内容を忘れていたりすると、保護者の方も不安になるでしょう。

しかし、中学受験の学習範囲は非常に広く、一度習っただけですべてが身につくわけではありません。習ったときには分かったつもりでも、しばらく時間がたてば忘れることもあります。別の問題になると、同じ考え方を使えないこともあるでしょう。

だから、受験勉強では積み重ねが大事なのです。

一度でできるようにしようとするのではなく、忘れたら覚え直す。間違えたら、もう一度考える。前にはできなかった問題が少し分かるようになり、やがて自力で解けるようになる。そうした小さな積み重ねによって、少しずつ力がついていきます。

もちろん、受験までの時間には限りがあります。しかし、だからといって、今すぐすべてを完璧にしようとすると、かえって勉強が苦しくなります。大切なのは、今日できなかったことを確認し、次にできるように準備することです。

子どもの力は、毎日の学習の中ではなかなか見えにくいものです。それでも、数週間、数か月と振り返ってみれば、読める文章が増え、覚えた知識が増え、解ける問題も確実に増えているはずです。

目の前の結果だけで、「伸びていない」と決めつけないことです。今日の勉強が、すぐに点数に表れないこともあります。しかし、その努力はなくなったわけではありません。積み重ねたものがつながったとき、急にできることが増える時期がやってきます。

焦らず、しかし止まらず、毎日少しずつ進んでいく。中学受験では、その積み重ねが最後に大きな力になります。