早寝、早起き、朝ご飯

中学受験の勉強を進めていると、どうしても「もっと勉強時間を増やさなければ」と考えがちです。塾の宿題もある、復習もある、過去問もやらなければいけない。そうなると、つい夜遅くまで机に向かうことになります。

しかし、小学生の場合、夜遅くまでがんばったからといって、必ずしも成果につながるわけではありません。むしろ、眠い頭で問題を解いても、集中力は続かず、ミスも増えます。時間はかけているのに、内容が頭に入っていない。そういう勉強になってしまうことが少なくありません。

だからこそ、まず大事にしたいのが「早寝、早起き、朝ご飯」です。

成績を上げるためには、難しい教材を増やす前に、子どもが元気に勉強できる状態をつくる必要があります。睡眠が足りていなければ、授業を聞いていてもぼんやりする。家で問題を解いても、途中で集中が切れる。せっかく勉強しているのに、効率が悪くなってしまいます。

一方で、早く寝て、朝きちんと起き、朝ご飯を食べてから一日を始める子は、勉強に向かう力が違います。朝食をとることで体が動き出し、頭も働きやすくなります。朝の時間に少しでも計算や漢字を進められれば、それだけで一日のリズムが整います。

もちろん、受験生ですから、やるべき勉強はあります。ただ、それを夜に無理やり押し込むのではなく、生活のリズムの中で無理なく続けられる形にしていくことが大切です。夜遅くまでがんばるより、早く寝て、朝すっきりした状態で取り組む方が、結果的に身につくことは多いのです。

特に夏以降は、塾の時間も長くなり、課題も増えていきます。その中で生活リズムが崩れると、勉強の質は一気に落ちます。疲れが抜けないまま次の日を迎え、また夜遅くまで勉強する。その繰り返しになると、子どもはどんどん消耗してしまいます。

保護者がまず見直すべきなのは、勉強時間の量だけではありません。何時に寝ているか。朝は余裕を持って起きられているか。朝ご飯をきちんと食べているか。ここが整っていないと、どれだけ教材を増やしても、思うような効果は出にくいでしょう。

中学受験は、最後まで走り切ることが大事です。そのためには、子どもの体力と気持ちを守ることが欠かせません。早寝、早起き、朝ご飯。昔から言われている当たり前のことですが、受験勉強が忙しくなるほど、この基本が大きな差になります。

まずは生活の土台を整える。そこから、勉強の集中力も、学習の効果も変わっていくのです。

終わらせるだけ?

塾にも通っている。家に帰ってからも宿題をしている。それなのに、なかなか成績が上がらない。

そういうお子さんに多いのが、「勉強を終わらせること」が目的になってしまっているケースです。

もちろん、課題をやっていないわけではありません。宿題も出している。ノートも埋まっている。けれども、その中身を見ると、「わかった」「できるようになった」というところまで届いていないことがあります。

とにかく終わらせる。丸つけをする。直しも一応書く。これで本人としては「やった」という気持ちになります。しかし、実際には同じ問題をもう一度出されても解けない。少し形を変えられると手が止まる。そうなれば、時間をかけているわりに力がつかないのは当然です。

では、なぜこれほど多くの宿題が出るのでしょうか。

理由はいろいろありますが、ひとつには「やることがない」と家庭に思われたくない、という事情もあるでしょう。子どもが家で手持ちぶさたにしていれば、保護者は「この塾だけで大丈夫だろうか」「個別指導も必要ではないか」と考えます。そうならないように、塾は一定量の課題を出します。

ただし、その宿題が本当に一人ひとりの理解につながっているかどうかは、別問題です。大量の宿題を丹念に確認し、どこでつまずいたかまで見ていけば、授業時間は足りなくなります。実際には、ときどき提出状況を見て、「やっていないのか」と注意する程度になっていることも少なくありません。

すると子どもたちは、「理解するため」ではなく、「叱られないため」「提出するため」に宿題を進めるようになります。これが続くと、勉強時間は長いのに、成績につながらない状態が生まれます。

大事なのは、宿題を全部やったかどうかではありません。

その宿題を通して、何ができるようになったのか。どの問題で止まったのか。解説を読んで本当に理解したのか。もう一度、自力で解けるのか。そこを見なければ、勉強の質は変わりません。

もちろん、すべての課題が無駄だというわけではありません。しかし、お子さんにとって今必要ではないもの、量をこなすだけになっているもの、ただ時間を奪っているだけのものが混じっていることはあります。

「勉強しているのに上がらない」と感じたら、まず確認すべきなのは勉強時間ではありません。

何をやっているのか。なぜそれをやっているのか。それによって何ができるようになっているのか。

ここを一度、具体的に見直してみてください。終わらせるだけの勉強から抜け出さない限り、時間を増やしても、塾を増やしても、なかなか結果にはつながりません。

行ける学校はひとつだけ

中学受験では、複数の学校を受けるのが普通です。

午前入試、午後入試、1月校、2月校と考えていくと、受験する学校の数はどうしても増えていきます。合格をいくつかいただくこともあるでしょう。けれど、最終的に通える学校はひとつだけです。

ここを忘れてしまうと、受験準備がどんどん広がっていきます。

この学校も良い、あの学校も気になる。ここも対策しておいた方が良いかもしれない。そう考え始めると、学校ごとの傾向も気になり、やるべきことが増えていきます。もちろん併願校を考えることは大事です。しかし、全部の学校に同じだけ力を入れようとすると、結局どれも中途半端になりやすいのです。

だから、まずは「本当に行きたい学校」をはっきりさせることが大切です。

子どもがその学校に通う姿を思い浮かべられるか。毎日通いたいと思えるか。合格したら本当にうれしいと思えるか。そういう気持ちがある学校を中心に据えることで、勉強の方向も決まりやすくなります。

第一志望校が決まれば、やるべきことも絞られてきます。その学校の出題傾向を見て、何を優先するかを考える。過去問を通して、どこで点を取るか、どこを補強するかを決めていく。これは、ただたくさんの問題を解くよりも、ずっと実戦的な準備になります。

もちろん、第一志望校に必ず合格できるとは限りません。思うような結果にならないこともあります。だからこそ併願校を考える必要がありますし、受験の安全策も大切です。

ただ、それでも中心に置く学校はひとつで良いのです。

「ここに行きたい」という気持ちがあるから、子どもは苦しい時期も踏ん張れます。何となくいくつもの学校に向けて勉強するよりも、目標がはっきりしている方が、本人の気持ちも続きやすいのです。

入試当日まで、受験校はいくつかあるかもしれません。でも、進学する学校はひとつだけです。

だからこそ、早い段階で「わが家にとって一番大事な学校はどこか」を決めておきたい。その軸があることで、勉強の優先順位も、親のサポートの仕方も、ずっと整理しやすくなります。

たくさん受けることよりも、本当に行きたい学校に近づくこと。

中学受験では、その考え方を忘れないようにしたいものです。