中学受験辞典

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5年生は基本に徹する

5年生のこの時期は、算数でも理科でも新しいテーマが続きます。理解することが多いうえに、毎週のように内容が変わる。基本を覚え、考え方をつかもうとしているうちに、次のテーマへ進むこともあるでしょう。応用問題まで手が回らなくても、不思議ではありません。

しかし、それで良いのです。

難しい問題に取り組んでいないと、保護者は遅れているように感じるかもしれません。けれども、習ったばかりの内容が曖昧なままでは、応用へ進んでも考えが途中で止まります。今週の基本がわからないうちに次の内容が始まれば、わからないところがそのまま残る。5年生で気にしたいのは、問題の難しさよりも、子どもが基本をちゃんと理解しているかどうかです。

テーマによっては、入試でそこまで難しい問題を出さない学校も多いのです。それなら、無理に難問へ手を伸ばすより、基本を一つずつ確かなものにした方がよい。ちゃんとわかっていれば、6年生になってからその知識を使い、自分で考えられます。あとから力を伸ばしやすいのは、そのためです。

応用問題をたくさん解いているから安心、ということではありません。何となく解き方を追うより、いま習っていることを自分で考えられる方が、よほど結果につながります。5年生は基礎で良い。そう決めて、慌てずに取り組んでください。

やらないものがあってもよい

この時期、本当に忙しいスケジュールをこなしている子どもたちがいます。

塾もあり、個別指導もあり、家庭教師もある。模擬試験があり、学校別の特別授業もある。あちらこちらに出かけているうちに、家で勉強する時間がほとんどなくなってしまう。

「来週までにこれを覚えておいてね」と言っても、

「その時間、いったいどこにあるの?」

ということになりかねません。

残り時間が少なくなってくると、どうしても「あれもやった方がいい」「これも追加した方がいい」と考えたくなります。

あとになって、「あのとき、やっておけばよかった」と後悔したくない、という気持ちもあるでしょう。

しかし、追加したことが逆に仇になることもあります。

ですから、新しい授業を入れるにしても、家庭教師を頼むにしても、

「何のためにやるのか」
「具体的にどんな効果を求めているのか」

ということを、はっきりさせておく必要があります。

例えば、過去問を解いていて、どうしてもわからない問題がある。解説を読んでもよくわからない。塾の先生に質問しようと思っても、質問の列が長くてなかなか聞けない。

それなら、その問題を教えてもらうために先生に来てもらう。

これは目的がはっきりしています。

しかし、せっかく教えてもらったのに、それをもう一度自分で解いたり、理解したことを確認したりする時間がないまま、次の予定に追われてしまうのであれば、少し考え直した方がいい。

それでは、せっかく時間を使っているのに、十分な効果が出ません。

「何となく不安だから、もう少しやれば成績が上がるかもしれない」

という理由だけで予定を増やしていくのは危険です。

つねに、

「何のためにこれをやるのか」
「やった結果、どうなったのか」

を確かめながら、必要なものを選んでいくべきでしょう。

そして、もうひとつ大事なことがあります。

何かを追加するのであれば、その分、やめるものがあってもよいのです。

時間は増えません。

新しいことをひとつ入れるなら、何かをひとつ減らす。

全部やろうとするのではなく、今、本当に必要なことに時間を使う。

この時期は、そういう整理も大事な受験勉強です。

問題文が読み切れない

問題文の読み違いで多いのは、だいたいパターンが決まっています。

「間違っているものを選びなさい」と書いてあるのに、正しいものを選んでしまう。

「分速で答えなさい」と指定されているのに、時速のまま答えてしまう。

こういうミスは結構多いものです。

もちろん本人も「問題をよく読まないといけない」ということはわかっています。注意して読んでいるつもりでもある。

それでも、なぜ最後まで読み切れないのでしょうか。

これは、問題を読んでいる途中で頭が動き始めるからです。

「あ、これはこうやればいい」

と解き方が浮かぶと、もう問題を解き始めてしまう。最後まで条件を確認することよりも、「早く解きたい」という気持ちの方が勝ってしまうのです。

ただ、これは必ずしも悪いことではありません。

問題を読んで、すぐに解き方が浮かぶというのは大事なことです。そのひらめきを「最後まで読まなければ」と無理に止めてしまうと、せっかく浮かんだアイデアが消えてしまうこともある。

だから、そこを無理に直そうとしなくてもいいと思うのです。

では、どうするか。

答えが出てから、もう一度問題文を確認すればいい。

「さて、答えはこれだ」と思ったところで、問題に戻る。

すると、

「あぶない、分速だった」

とか、

「正しいものではなく、間違っているものだった」

と気がつくことができます。

問題を解く勢いは止めなくていい。

その代わり、

「答えを書く前に、もう一度問題を確認する。」

これをひとつのルーティンにしてしまうことです。

読み間違いをゼロにしようとするよりも、最後に自分で気がつける仕組みを作る。

その方がずっと現実的だと思います。