パパママ先生合格術」カテゴリーアーカイブ

第3回 テスト

■家庭での学習を中心にする場合、一番必要なのが成績管理です。毎週の勉強がどのくらいわかったのか、何がわからなかったのかをつかんであげておくと、夏休みなどの長期休みの勉強にも役立ちます。

■ 私は自分もそのカリキュラムで中学受験をしたので、四谷大塚の予習シリーズと日曜テスト(今はそういう呼び方はしないのかもしれません。)をお勧めしています。最近は通信でもテストを受けられるようになったので、海外の方でも日本にいるのと同じ感覚で勉強が進みます。(通常のクラスに比べて1週間遅れるという話のようですが、1週間くらい大きな問題ではありません。)

■ただ、このテストの見方をパパママ先生にはマスターしていただきたいと思います。
どうしても点数や順位、偏差値が気になるものです。しかし、受験前ならともかく数字をとやかく言っても、先には進みません。それよりも、何ができなかったのかを前向きに考えていくことが大切です。

■何ができなかったかを前向きに考えるとはどういうことか。
「できない」という事実をとらえてしまうと、親はどうしても子供を非難しがちです。
「あの時、ちゃんとやっていなかったからよ。」
「ゲームばかりしてるから、こんな成績になっちゃうのよ。」
言いたい言葉はあるでしょうが、ここは飲み込んでください。

■それより、子供に「何があれば」この問題はできたのか?を教えてあげることです。知識の場合もあるでしょう。思いつきの必要な問題もあるかもしれません。あるいは逆に、こんな問題はできなくても良いという問題もあるでしょう。

■いずれにしても、こういうことが君にそなわっていれば、これは「できる」問題なのだということを教えてあげてほしいのです。私はテスト直しが一番大事な勉強方法だと思っています。真剣に考えて、できなかったという経験は子供たちにたくさんのことを教えてくれます。

■点数や偏差値に目がいって、本当に大事なことに力が入らないように、注意してください。

(平成15年4月7日)

第2回 「叱る」と「怒る」

■「叱る」と「怒る」は違います。当然子どもは不注意でミスをします。したがって注意をしなければならないことはあるでしょう。ただその注意が子どもに届かなければ意味がありません。

■ところが「注意」している間にだんだん腹がたってきて、「怒る」に変わってしまうことがあります。その言葉がさらに自分の感情を荒立ててきます。こうなると子どもたちには「怖い」という感情が出てきて、早くこの時間が過ぎ去ることだけが重要になってきます。したがって、注意の言葉が届かなくなります。

■逆に、子どもの態度が悪かったり、何回いっても聞かないということもあるでしょう。反抗期の子どもにはありがちなことです。でも、振り返ってみてください。お父さんやお母さんも同じ時期があったはず。あのとき、どう思っていましたか?
あの時、どんな言葉を、どんな注意をしてもらったら、素直に耳を傾けられたでしょうか。パパママ先生も先生である以上、結果を出さなければなりません。ですから子どもの耳に届く注意の仕方を工夫してください。

■私はとにかく、静かに話すということだと思います。あるいはニコニコ話すということでしょうか。ニコニコ話していれば、子どもは怒られたような気はしませんから、逆に言葉は残ります。ついでに言えば、誉めながら注意するということが大事かもしれません。

■子供に注意をするときは、ほめるときにやると効果があります。たとえば先月より成績が良かったら、「えらかったね。」とほめてあげて、「こんなふうに字をていねいに書けば、合格できそうね」と言ってあげると、子供には具体的な内容が届くことになります。あくまで注意は具体的でなければなりません。「がんばりなさい!」は意味がないのです。だって本人は少なくともがんばっていると思っているのですから。「字をていねいに書く」「問題文は答えがでたとき、もう一度見直す」「計算はその場で検算する」といった具体的な指示をほめながら、してあげてください。


「あれ、ここで計算間違いしてるね。」
「あ、いけない。」
「これ、見直したの?」
「わかんない。やったような気もするし。」
「もう一度、計算してみて?」
「うん、」(計算する)
「出た。」
「そこで、もう一度見直して。」(見直す)
「大丈夫、あってるよ。」
「そう、それを本番でも忘れなければ、この問題は丸だったね。(赤く丸をつけ
なおす。)この問題はできる問題だったね。」
「うん。」

■このくらいのトーンでないと、子供には届きません。お母さん、いつもはどうですか?あるお母さんは、「先生、こんなことでは、やっていけません!!」といっておられましたが。

(平成15年3月30日)

第1回 パパママ先生合格術とは?

■平成15年度の入試はなかなかきびしかったようです。最終的な集計は待たなければなりませんが、首都圏の受験率は14%を越え、2月1日の受験者数も昨年に比べて7、8%増えた感があります。

■昨年の指導要領改定以降、また受験熱が上がり始めたようです。少子化で教育産業も再編されそうな感じでしたが、ここに来て通塾する生徒の数も増加しています。ただ、受験するのに塾ばかりに頼っていて良いのでしょうか。最近では通塾回数も増えましたし、拘束される時間も長くなりました。「そのくらいやらないと、上位校には合格しないわよ」と言われて、「そんなものかな」と思いつつも、何か割り切れない気持ちをお持ちの方は意外に多いのではないでしょうか。

■今回「パパママ先生合格術」というコラムをスタートさせようと思ったのは、まさにここです。塾に行かないというのは難しいかもしれないけれど、やはり親が教育の主権をしっかりと握って、子どもの教育にあたっていくことは、私は大事な姿勢だと思うのです。そういう意味でお父さんやお母さんが先生になって、家庭で受験指導ができるようなノウハウを作っていきたいと思います。

■そこでお父さんや、お母さんが家庭で子どもたちに勉強を教える場合、次のことをまず守らなければ、うまくいきません。
1 勉強中、大きな声をだしたり、たたいたりしない。
2 つねに子どものよいところを見つけ、ほめてあげることを多くする。
3 子どもの成績に一喜一憂しない。
4 中学受験の結果など、子どもの人生にとって大したことではないという前提に立てる。
5 つねに子どもと話し合い、子どもと楽しい時間を過ごす。

■親子という関係においては、子供は従属的な存在になりがちです。したがって教える親の側が気配りをしていかなければ、うまくいきません。ですから、人任せにした方がうまくいく場合もあるでしょう。しかしながら、全面的に塾に依存してしまうと、時間が自由にならない面が出てきます。好きなサッカーができなかったり、おけいこごとが続けられないとすれば、やはり家庭が受験の中心になってコントロールしなければならないでしょう。

■塾に依存しないことのもうひとつの欠点は情報でしょう。今年の2月の受験は、非常に高倍率で推移しました。したがって、どの学校がどのくらいのレベルなのかを知るために、塾の情報提供力はこれまで以上に重要になっています。しかし一方で、各学校ともインターネットを通じていろいろな情報を公開してくれるようになりました。したがって、親が調べれば塾のフィルターがかからない情報を得ることも可能になったのです。

■すべて塾を否定する必要はありません。塾の便利な面はどんどん利用していけばよいでしょう。ただ、すべてを塾に依存するのではなく、家庭が教育の主権を持って、お父さん、お母さんが子供たちをリードしてあげると、受験は非常に効率よく成功することだろうと思います。

(平成15年3月23日)