またして母親講座」カテゴリーアーカイブ

第38回 4教科のバランス

最近の塾では4教科の先生がばらばらというところが増えてきました。少なくとも文系、理系で分けているところも多いようですが、小学生に各科の先生がかかわるというのは、本来はまだ難しいといわなければなりません。

小学校では担任の先生がなるべく多くの教科を見る、中学校では各科の先生にかわります。これは学習の優先順位や状況の把握を小学生の側ではなかなかしにくいので、なるべく情報の一元化を図る方がいいからです。中学生になれば、科目的な専門性がでてくるので、どうしても科目別の先生に分かれるのですが、中学受験では専門性は中学生程度ありますが、しかし勉強するのは小学生(しかも最近の小学生の精神年齢はさらに幼いので)ですから、受験指導という点では1人の担任指導の方が結果が出ると私は思います。

というのも4教科の先生がばらばらだと、各科の内容を先生が子どもに伝える。そのときの優先順位が決まらない。結局、子どもは全部やらないといけないので、「がんばるしか」ないのです。

私の教室は、やはり文系科目を同僚に任せていますが、一方で週1回、私自身が4教科をみる時間を作っています。どういう状況にあるのか確認するためにやるのですが、そうすると何が問題点なのか絞りきれるので、家庭での勉強などの指針を切り替えることができるのです。

ただ、4教科をみる先生は圧倒的に少なくなりました。これは先生に負担がかかるので、当たり前ですけどたくさんの教室を持つ塾には向きません。ただ、そういうスタイルで子どもたちの面倒を見て成果をあげている塾が地域にはあります。

中学受験は中2までの先取り学習が本質ですから、学習は合理的に進めるべきなのです。

全部やるというと、物理的な時間が不足するのは当たり前のことなので、そこをいかにシンプルにするか、大人が工夫しなければなりません。

学校別対策も学習の効率化には役立ちます。

「全部やる」ということが当たり前になっていると中学受験準備としては遠回りをしてしまうことになるので、要注意です。

第37回 模擬試験の見方(2)

何を失敗したのか?という点でいえば、いくつか問題点が浮かび上がってきます。

(1)まだよくわかっていない分野がある。
(2)問題を読み飛ばした
(3)条件を勘違いした
(4)計算間違いをした
(5)時間が不足した

などがあるでしょう。それぞれについて対策を考えていきましょう。

(1)まだよくわかっていない分野がある。
早急に復習する必要があります。例えば理科では浮力、電気、天体など、子どもたちが不得意な範囲はある程度決まってきます。これまでのテキストを読み直したり、練習問題をやってみたりする必要がありますが、自分が受ける学校であまり出ないということになれば、それほど時間をかける必要はありません。要は、頻出する範囲に対する苦手がないかどうか?ということが一番大事です。

また、あまり細かいことまで覚えていても仕方がありませんから、むしろ、「まとめ」を利用すると良いでしょう。四谷大塚の四科のまとめなどをいい教材になると思います。

(2)問題を読み飛ばした
これはやはりあせっているから起こることでしょう。過去問や入試傾向の似た他の学校の過去問を時間を決めてやることによって、練習をしていくのが良いと思います。このとき、
①条件にしっかり下線を引くこと
②それを使っているかどうかチェックすること
③答えが出たと思ったら、もう一度問題を確認すること
の3点をしっかり守ることでしょう。

(3)条件を勘違いした
早飲み込みというか、自分が知っている問題だと勘違いする場合が多いようです。(2)と同じ対策をしていきますが、これもあせりからくるケースが多いので、自分のできる問題をしっかりできればいいんだという考え方に切り替えることでしょう。

(4)計算間違いをした
よくありますね。最初から計算間違いをして、ずいぶん損をしている子どもたちが多いものです。
①計算は式をまず書くこと
②たて式の計算をやったら、その場でもう一度見直すこと。
の2点を徹底します。日ごろから計算練習をしていると思いますが、たくさんやる必要はありません。その代わり「絶対に間違えない」というやり方をしてください。1日3問でいいですから、見直しをして、これで絶対あっているという確信を得たところで、答え合わせをするように練習すると、ミスは減っていきます。

(5)時間が不足する
基本的にあわてても、ミスが連発するだけです。合不合は差を大きくするために、たくさんの問題を出していますが、受験する学校の入試は多分、これほど忙しくはないでしょう。ですから、時間が不足してもあまり気にしない。むしろ「できる問題」を確実に得点する練習をしたらいいと思います。

秋の学習のポイントは
(1)授業の復習
(2)過去問の練習
(3)知識の暗記
の3点です。特に(3)にはこれから時間がかかると思いますが、しかし、算数の答案練習は欠かさないように注意してください。もはや、あまり難しい問題はいいので、ミスをしない、という一点に絞って演習を進めていくことが大事です。

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第36回 模擬試験の結果の見方(1)

現在、模擬試験がいろいろな塾で行われています。その中から四谷大塚の合不合判定テストの見方について、お話をしたいと思います。

合不合判定テストは、長年、追跡調査を実施してきた試験です。つまり、実際の入試の結果はどうであったのかを調査することによって、合不合の判定の内容をアップデートしてきています。

合不合グラフ
合不合では80%偏差値と20%偏差値が出てきます。受験生に送られた成績表で、各判定校についてのグラフがありますが、折れ線グラフで上のラインが80%偏差値、下のラインが20%偏差値です。追跡調査の結果、その学校を受験した生徒を合不合の成績で分布させます。そして偏差値で輪切りにしていった後、受験生のおよそ8割が合格しているラインを80%偏差値、2割が合格しているラインを20%偏差値というのです。

この元になっているのは、以前お話したデータになります。

(参照 またして母親講座 第24回 中学受験の難しさ

もう一度ごらんいただくと、例えば麻布中学の場合は、次のようなデータになっています。

麻布中学合格者分布

黄色と緑が合格者です。ごらんいただけてわかるように、すでに偏差値69のところで合否が分かれ始めています。したがって80%ラインは67、
ト%ラインは62、20%ラインを57で設定しているわけです。

各中学についてこのようなデータを算出したあと、合不合の結果にあわせて分布させ、かつ、合不合の場合は同日に違う学校を並べてかけませんから、重複を排除した形で実入試と同じような分布を実現させています。

毎年受験者の動向は少しずつ違いますから、その微調整も行った上で合格可能性を判定しているわけです。

しかしながら、20%以下でも合格するし、80%以上をとっていても不合格になる場合はあります。これについて、もう少し詳しくお話しましょう。

まずは試験傾向。合不合は1つの試験ですべての学校を判定するという作業を行っていますので、各校の傾向に出題は配慮してあるものの、「ある学校の出題傾向のまま」の試験ではありません。したがって、記述の問題ばかりをいう学校の判定をするのには、無理があります。
同様に応用問題が数少なく出るのと違い、算数などはかなりたくさんの問題を出しますから、明らかに傾向は違うでしょう。

ただ、合不合の算数はなるべく算数の得点分布を広くしようという配慮で出題されています。したがって、易しい計算問題から応用問題まで数多く出題することで、判定の正確さを出そうとしているので、これは目的からすれば妥当な設問といえると思います。

しかしながら、これだけたくさんの問題をスピーディーに解けるか?という話になると、なかなかそう簡単にいくわけではありませんから、この種の問題に対して不慣れな子のデータは下にぶれる可能性があります。

もうひとつは、やはり1回の試験であるということ。これは、どの模擬試験でも、そして入学試験にもいえることですが、一発勝負ですから、そのときうまくいけば、ラインを越えるし、そうでなければ20%以下になってしまうという面がどうしてもあります。

子どもたちの成績は4回総じて同じレベルになることは少なく、アップダウンが激しいのです。いいときもあれば、悪いときもある。しかも合不合は、差がつきやすいように作られていますから、ちょっとしたミスが大きな得点差を生みます。

例えば80%偏差値が64、340点だとして280点しか取れなければ、合格可能性は20%近くになってしまうでしょう。しかしながら、その差の60点は算数の小問で12問、大問レベルで4問から6問ということになります。算数だけでなく、社会や理科でもできる問題が少し変わるだけで、得点は大きく変化するのです。

ですから、「こういう出来であれば、こういう合格可能性になる」というのが最も基本的な考え方でいいでしょう。むしろ、そこから

1 何に失敗したのか
2 それを防ぐにはどうすればいいか

という2つのテーマを考える必要があるのです。

したがってそこから新たな勉強法が生まれます。これについては次回詳しくお話をしましょう。

さて、ではこの合格可能性をどう見るか。
多くのみなさんが複数回受験されると思いますが、上下を平均するのはあまり意味がありません。いいときだとこのくらい。下がでればこのくらい。という考え方でみてください。

そして20%偏差値から下に5~10ポイントの幅で「合格者」が存在することを忘れないでください。先の麻布中学の例で言えば、20%が57ですが、54まで合格者がいます。したがってその幅であるならば、「受験してもいい」ということになるでしょう。

もちろん合格可能性は低いので、その分併願校を考えなければいけませんが、いずれにしてもそのくらいを目安にしていいでしょう。

特にこの時期第一志望を変更することは、あまりいいことではありません。本人が自信がなく、勉強もしないというのなら別ですが、やる気になって勉強しているのであれば、安全は併願校で考える方が良いと思います。

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