またして母親講座」カテゴリーアーカイブ

最終回 新パパママ先生合格術

    先日、あるお父さんと話をしました。
    その方は子どもたちと毎月1回は旅行をしたいと思っておられたので、中学受験で塾にたくさん通うのは「カンベンしてほしい」と思っていたのだそうです。そこで、近くの塾で理科と社会の授業だけをとり、算数と国語は自宅学習というスタイルにして、わからないことはお父さんがフォローすることになったそうです。そういう形になってから約半年。非常にいい学習スタイルができあがってきましたとおっしゃっていましたが、
    でも、先生。そういうことをやろうと思っても、なかなかできないご家庭が多いんだと思いますよ。実際方法がわからないといわれる方は多いんです。
    中学受験は学校のカリキュラムとは大きくかけ離れているため、塾に通わなければいけない面はあるでしょう。ただ、塾に預けっぱなしだと子どもたちの負担が案外大きくなってしまいます。だからこの方のようにうまくお子さんとコミュニケーションをとりながら、自宅中心の中学受験をされていけば、中学受験のデメリットを減らすことができると私も思います。
    ただ、そういうノウハウがないと言われてしまうと、確かにそうだなあとも思うのです。
    そんなとき、本サイトの検索キーワードの一覧があがってきました。第一位、あたりまえですが田中貴でした。で、そのリストを見ていたら、ベスト10に「中学受験 塾に行かない」という検索キーワードが出てきたのです。
    最近、通塾が始まるのは3年生という塾が多くなってきましたが、私は本格的な4教科の受験勉強は5年生(4年3学期)からで十分だと思っています。ただ、さすがに何もしないまま小学校5年生で初めて塾に行くというのは、なかなか大変でしょう。
    そこで以前に書いた「パパママ先生合格術」を現状に合わせてまた、書いていくことにしました。塾に行くことがいけないのではなく、塾を上手に利用しながら、なるべく自分で勉強できるスタイルと築いていくのが目標です。というのは、中学受験ではもちろん合格も目標ですが、もうひとつ「自分で努力して、目標を達成する」術を身につけることも大事な目標だと思うからです。
    前回の連載は、どちらかというと「母親講座」に近い内容でしたから、今回は「ノウハウ集」を前提に書いてみたいと思います。塾に早くから出すことがすべてではありませんので、ぜひお役立ていただければと思います。

またして母親講座も、今回が最終回になりました。今後は、途中で終わっていた「それでも母親講座」を続けていきたいと思いますので、こちらも併せてお読みいただければと思います。

    これまで、どうもありがとうございました。

第49回 お試し受験で落ちるな!

    いよいよ1月が近づいてきました。関東では、千葉、埼玉の学校でお試し受験をされる方も多いかと思います。塾によっては、調子を見るために、結構高い学校を受けて、受験生を振り分けるという話を聞いたことがありますが、私はお試し受験では「落ちてはいけない」と思います。
    もちろん、千葉や埼玉の学校でも難しい学校がたくさんあります。だから、そういう学校は「行く可能性がある」場合だけ受ければいいのです。確実に合格しそうな学校でお試しをしなければ、「良いイメージ」は生まれません。初めての入試を体験させたい、と思われるなら「入試」だけではなくて「合格」を体験させてあげることが大事です。子どもたちに良いイメージが残ることが大事なのですね。
    実際にお試しで落ちる子どもたちはたくさんいます。これは見ていると、「明らかな選択違い」をしている子が多いのです。

      なぜ、お試しでも「有名校」を選ぶのか

    「でも、合格できるとわかっている学校を受けてもお試しにならないのでは?」と考える保護者の方や塾関係者もいるでしょう。(塾関係者の場合は、実績の問題があるから、まあ、ちょっと置いておきましょうか。)

    しかし、落ちると大変ですね。しかも本番まで10日前後しかないのです。それで立ち直れるような太い子なら、別にお試し受験をする必要がないと私は思います。
    むしろ、あがったりするのでは?と思う子がお試し受験をするわけで、それで落ちたら、そう簡単に立ち直れない部分はあるのです。
    だから、お試し受験は100%合格する学校を選んでください。私はいつも合格率100%です。(だって、そういう学校しか選びませんから、当たり前っちゃあ当たり前なんですが。)
    大事なのは経験以上にイメージなのです。これは親がしっかり考えておかないといけないことですから、もう一度スケジュールを見直してください。

第48回 いったいどこまで・・・

    先日、中学生が期末試験の質問に来ました。質問は理科第一分野、斜面の運動です。
    「あらら・・・」と思ってしまいました。先日作ったDVDの力のつりあいに出てくる内容なのです。
    「これ、やったよね」
    「え、やりましたっけ?」
    まあ、そんなもんでしょう。もう3年も前の話になるのだから。
    しかし、最近の入試問題を見ていると「いったいどこまで教えればいいか?」と思ってしまうことがよくあります。
    電気でも同じで、発熱量の計算は中学では「電力×時間」で習います。電力は、電圧×電流ですが、電力だって多くの小学生にとってはわからない内容でしょう。だから電圧=電流×抵抗ですから電力は電流×電流×抵抗になるので、
    私は発熱量は電流×電流×抵抗に比例するとだけ、教えます。これだけでも、電熱線の発熱の問題はかなりの分野がカバーされるのです。
    ただ・・・
    最近の入試問題はいったいどこまで行くんだろうかと思います。
    受験校は明らかに大学入試を意識して、中学校の課程をかなりの部分勉強している子をとろうという傾向があるように感じます。
    本来中学入試は小学校卒業程度の問題を出すべきですが、しかし、それではあまりにも簡単すぎる。(現在の指導要領などを考えたら、問題が作れないでしょう。) だから小学生でもできる問題になるのは、わかります。しかし、過度に先取りが進むのはいかがなものかと、思うのです。
    実際に私が教えている内容も、中学校の課程の話が多いです。相似形や場合の数でいえば、高校入試のレベルなんて超えているでしょう。これは入試に出ているからやるわけですが、ポイントを絞らないとそれこそ高校受験の問題を解かなければいけないということになってくるでしょう。
    中学受験の対策の難しさはここにあります。全部やるのであれば、中学校の課程をそこそこ全部やるような感覚になってしまうでしょう。しかし、それを約2年間で終わることはかなり難しい。(3年生や4年生でやるのは、さらに無理ですから2年間が勝負です。)だから、効率化を考えないといけない。
    しかし最近のいろいろな塾の教材を見ていると、むしろ全部やろうとしているような感じがしているのです。大量の宿題と早いカリキュラムは、実際に消化することはかなり大変でしょう。
    一方で実際の入試問題を見てみると、そういう勉強が必要な学校はそれほど多くはないのです。これに6年生の2学期に気がつかれる方が多い。
    別に御三家を受けるわけではないし、うちの子が受ける学校にはそんな問題はでていないんです。だから今の塾でやっていることは意味がないような気がして。
    その通りなのです。
    だから早めに第一志望を決めて、6年生の1学期までは基本的なことを中心に学習する、その上で学校別の対策を早めに立てていくことが勉強を効率化するコツなのです。
    私が早い時期からの組み分けテストに危惧を感じているのは、第一志望が決まり学校別の対策を立てようとする前にすでに子どもたちから自信がなくなっていることです。
    子どもたちは、そういう状況にさらされてしまえば、当然、がんばりますが、しかし全員が上位のクラスにいけるわけがない。上位にいないのであれば、その勉強方法は、「違う」ということに気がつかなければいけないのは親なのです。子どもは「がんばる」だけなのですから。
    方法は親が与えたのだから、親が方法を変えてあげる必要があります。ところが、親は塾任せにしてしまう。だから、どんどん子どもたちの可能性がせばまってしまうのです。
    子どもたちが自分で学習方法を変えることはできません。だから親がフォローする必要があります。ただ、それができるからこそ、中学受験のメリットがあるのです。